12
◯高山委員 それは
特命随意契約か。
13 △財政局長
特命随意契約によるものと、
見積もり合わせによるものとがある。
14
◯高山委員 運転保守業務13億2,300万円と脱水汚泥の
輸送処理業務10億6,300万円は
特命随意契約によるものと思うが、どうか。
15 △
道路下水道局長 中部水処理センターほか
機器運転保守業務委託及び
中部水処理センター脱水汚泥輸送処理業務委託については、いずれも
特命随意契約である。
16
◯高山委員 新
西部水処理センターほか運転業務も
キュウセツAQUA(株)へ発注しているが、発注時期及び発注金額について、また、
特命随意契約によるものか、尋ねる。
17 △
道路下水道局長 新
西部水処理センターほか機器の
運転保守業務委託については、25年度に
制限つき一般競争入札を行い、5社による入札の結果、
キュウセツAQUA(株)が受注となったもので、26年度の
委託契約金額は9,720万円である。
18
◯高山委員 中部水処理センターは40年経過していることから仕方がないとしても、新
西部水処理センターのように新しい施設についても随意契約というのは納得できない。なぜ随意契約か、説明を求める。
19 △
道路下水道局長 新
西部水処理センターほか機器の
運転保守業務委託については、
制限つき一般競争入札で契約を行っている。
20
◯高山委員 キュウセツAQUA(株)の26年度末の
利益剰余金と負債額は幾らか。
21 △財政局長 把握していない。
22
◯高山委員 昭和41年の
転廃対策事業から、50年近くも
特命随意契約で契約しておきながら、会社の業務内容はわからないということか、再度尋ねる。
23 △財政局長
キュウセツAQUA(株)の26年度末の
利益剰余金と負債額については把握していない。
24
◯高山委員 ほかの件は把握しているのか。
25 △財政局長
キュウセツAQUA(株)の26年度末の財務状況については把握していない。
26
◯高山委員 これほど随意契約や競争入札が社会的に注目を浴びているのに、把握していないのか。
貸借対照表によると平成24年3月31日現在、
キュウセツAQUA(株)は、
利益剰余金63億5,500万円、負債金合計が23億円、差し引き40億円が純粋な利益の剰余金になっており、別途、積立金も62億円あるなど、優良な会社である。これほどの取り引きを行っていながら、内容を全く言わないとは、非常に納得がいかない。
キュウセツAQUA(株)の社長は本市のOBか。
27 △
道路下水道局長 本市のOBと聞いている。
28
◯高山委員 (株)環境開発は、26年度に本市及び外郭団体から幾ら受注しているのか。
29 △財政局長 本市及び本市の外郭団体と(株)環境開発との26年度当初契約における契約総額については、約37億7,700万円と把握している。
30
◯高山委員 37億円余のうち、
特命随意契約によるものは幾らになるのか。
31 △財政局長 約37億7,700万円のうち、
特命随意規約によるものは、約19億7,800万円と把握している。
32
◯高山委員 26年度
競争入札資格審査の申請手続における(株)環境開発の資料の
貸借対照表及び損益計算書において、純資産、当期純利益、
利益剰余金は幾らになっているか。
33 △財政局長 (株)環境開発の財務状況について、公表されている情報で、現在把握しているところでは、平成26年3月期で、
利益剰余金が56億5,067万4,000円と把握している。
34
◯高山委員 (株)環境開発は負債も相当あり、一概に
利益剰余金だけでは述べられないが、企業努力として認めておきたいと思う。本市の
ごみ処理事業は、
包括外部監査で13業者との
特命随意契約により維持され、多額の委託料が支出されていることから、市民に情報開示することにより透明性、公平性を高めるべきだと2002年に意見が出されているが、何を請求しても資料が出されない。
し尿転廃業者の15社の
経常収益状況は完全に安定していると思っているが、直近の資料で、この15社の平均的な状況を示されたい。
35 △環境局長 手元に資料を持ち合わせていない。
36
◯高山委員 今までずっと資料要求してきたが、一切出さない。調査によると、
し尿転廃対策について、平成24年3月31日現在の15業者の収支状況は、負債を除いて、平均5億3,555万円の
利益剰余金があるが、承知しているか。
37 △環境局長 指摘の内容はそのとおりである。
38
◯高山委員 これ以上安定した企業はないのではないか。20年前からずっと言ってきたことでもあるが、福岡市
公正入札監視委員会の提言どおり、きちんとした形で終期を確定すべきである。
三笠特殊工業(株)については話がついたのか。
39 △環境局長 質問の
あっせん終了時期が確定していない1社については、福岡県の外郭団体が契約している事業者であり、現在、福岡県と連携を図りながら、
あっせん終了に向けた協議をその事業者に対し重ねているところである。
40
◯高山委員 家庭系ごみについて、福岡市
公正入札監視委員会は、14社と
特命随意契約により継続している
家庭ごみ収集運搬業務について、まずはモデル的に実施することを含め、26年度中をめどに競争性を導入する方向での検討を行い、その結果を公表すべきと言っているが、モデル的な事業は進んでいるのか。
41 △環境局長
家庭ごみ収集運搬業務委託契約のうち、粗大ごみは
事前申し込み制で、排出者、排出場所、排出品目が特定され、かつ昼間の収集であることから、競争性を導入し、新規業者が参入した場合でも業務を滞りなく実行できる可能性が高いと判断しているが、燃えるごみ、燃えないごみ及び空き瓶、
ペットボトルについては、市民から高い支持を得ている夜間、戸別収集であり、収集場所や道路事情等の地域特性を熟知し、蓄積されたノウハウと経験を要する難度の高い業務である。一日でも収集が滞ることとなれば、市民の健康や生活環境への影響が懸念されることから、粗大ごみの結果等を踏まえて、
ふくおか環境財団が担当する地域も含めて、引き続き検討することとしている。
42
◯高山委員 福岡市
公正入札監視委員会の意見では、26年度をめどに検討を行うようにとなっているが、それが進んでいるのかと聞いている。26年度は終了しているが、どの程度の進捗状況か。
43 △環境局長
モデル自主事業については、28年度から2年間、7区のうち1つの区において実施し、市民対応を初めとして、収集漏れや収集遅延がないかなど、業務の履行状況を確認の上、
市民サービスの水準が低下しないかを検証して、30年度から段階的に本格実施に移行したいと考えている。
44
◯高山委員 家庭ごみの収集の問題であって、粗大ごみの収集の問題を議論しているのではない。環境局が扱っているごみは、一般家庭から出るものとして可燃ごみ、不燃ごみ、空き瓶、
ペットボトル、粗大ごみとあるが、一番少ないのが粗大ごみである。家庭ごみは夜間に収集しているため、
モデル事業については夜間に実験すべきである。粗大ごみは注文制で昼間に収集しており、決算額としては5億円程度の取扱高で、
家庭系ごみの中では最も割合が少ない。
家庭ごみ収集運搬業務については、モデル的に実験して、26年度中をめどに検討を行い、競争性のある契約手続への移行をとの提言に関して、26年度に何か行ったのか。28年度からモデル的に実施して、30年度から漸次実施すると言って、何も実行していない。2002年の
包括外部監査による指摘から今まで何年たっているのか。環境局は、
家庭系ごみへの
競争性導入のためのモデル実験として、まず粗大ごみで実施すると答弁したが、粗大ごみは
家庭系ごみ全体の6.7%にしか過ぎず、しかも唯一、昼間に注文収集するものであり、検証するには不適格ではないか。
家庭系ごみの
不燃物ごみ、空瓶、
ペットボトルなどほかは全部夜間収集であり、粗大ごみは注文したものを予約制で昼間に収集する。可燃ごみは夜間の収集であるため、夜間の収集が特殊能力という理由で
特命随意契約と言っているが、夜間の収集の主力は全体の4分の3を占める可燃ごみであって、その対策が問題なのではないか。それを28年度、29年度に粗大ごみで実験して、30年度以降、段階的に実施するとはどういうことか。この問題を指摘してから20年ぐらい経過しており、当局は結論を一日でも延ばそうとしているようだが、どのように考えているのか。
45 △環境局長 指摘のとおり、家庭ごみの収集の中では燃えるごみが一番量も多いものとなっているが、戸別収集という特殊な方法により収集しているものでもある。市民から高い支持を得ているこの収集方法は絶対に崩してはならないと考えており、粗大ごみについて最初に戸別収集の実証的な
収集段階等を検証し、少しずつ課題を解決しながら、最終的には燃えるごみについても検討していきたい。
46
◯高山委員 家庭系ごみは、市の外郭団体である
ふくおか環境財団が収集しており、26年度は7,700万円分を収集しているが、主力の
可燃性ごみは
ふくおか環境財団で実験し、早急に競争性を導入すべきではないか。
競争性導入の完了時期はいつになるのか明言されておらず、30年度から段階的に移行するとの答弁であるが、けじめをどのようにつけていくのか。福岡市
公正取引監視委員会の意見では、26年度をめどに検討を行い、その結果は公表されるべきであるとされており、競争性の導入を急げというものである。一番割合の少ない粗大ごみは電話で注文し、日時を決めて出したものを昼間に収集に来る。夜間の戸別収集は守るという説明であるが、夜間の収集をやめろとは言っていない。夜間収集は、本市の先人がつくった大変よい仕組みだと思っており、これを崩そうとは思っていないが、
ふくおか環境財団がごみ収集を実施しているのであれば、一般家庭から排出されるごみで実験して早急に移行できないのか。
47 △環境局長 それらの課題については、
ふくおか環境財団が担当する地域も含め、今後引き続き検討していくこととしている。
48
◯高山委員 終期を決めるべきである。少しずつ検討と言っても、転勤や異動、退職等により職員が入れ替わって当てにはならない。競争原理の導入は、20年前から出ている話である。
家庭系ごみ収集13社の収益状況、経営状況は把握しているのか。1社平均どれくらいの収益か、直近の決算で示されたい。
49 △環境局長
公益財団法人ふくおか環境財団を除く燃えるごみの
収集運搬委託業者13社の決算の平均については、純利益が約1,900万円、預金現金額が約3億2,100万円、純資産が約6億円、従業員数が44人、
保有車両台数が12台となっている。
50
◯高山委員 それはいつの決算か。純利益が約1,900万円との説明であるが、私の試算によると、純利益は3,700万円、現金と預金が3億2,130万円、純資産で1社当たり6億8,281万円持っている。既に超一流の立派な企業に育っているのではないか。28年度から粗大ごみで実験して、30年度以降、順次本格実施に移行と言っても、今までの過去20年間は何もしていない。きちんと終期を決めてもらいたいと思っている。決算の数値に間違いはないか。
51 △環境局長 答弁した数字は、26年度決算の平均である。
52
◯高山委員 可燃性のごみについては、13社と、市の外郭団体の
ふくおか環境財団が収集運搬しているが、不燃性ごみ、粗大ごみ、空き瓶、
ペットボトルの収集を行っている事業者と、埋め立て管理の委託先について尋ねる。
53 △環境局長 燃えないごみ等の収集運搬業務については、福岡環境整備(株)、(株)エフ・ケイ・ケイ、
公益財団法人ふくおか環境財団の3社に委託している。埋め立てについては、大成管理開発(株)に委託している。
54
◯高山委員 それぞれの事業者について、本市のごみ関連での26年度の売り上げの決算額を尋ねる。
55 △環境局長
家庭ごみ収集運搬業務委託料は、福岡環境整備(株)への委託料が26年度は約17億400万円となっている。
56
◯高山委員 (株)エフ・ケイ・ケイ、
公益財団法人ふくおか環境財団、大成管理開発(株)の3社についてはどうか。
57 △環境局長 26年度について、(株)エフ・ケイ・ケイへの委託料は約2億4,300万円、
公益財団法人ふくおか環境財団への委託料は約1億100万円、埋め立てを委託している大成管理開発(株)への委託料は約5億1,100万円となっている。
58
◯高山委員 メーンで受託している福岡環境整備(株)と、埋め立てを受託している大成管理開発(株)の決算内容、会社概要を示されたい。
59 △環境局長 福岡環境整備(株)は、昭和46年に燃えるごみ収集運搬業者13社の役員と15名の個人出資により設立されている。大成管理開発(株)は、昭和42年に設立され、清掃工場から排出される焼却灰の運搬業務、埋立場の管理業務等を現在まで受託している。
60 △財政局長 財政局においては、福岡環境整備(株)の財務状況については把握していない。また、大成管理開発(株)の財務状況について、公表されている情報で現在把握しているところでは、平成26年5月期で
利益剰余金が6億5,893万5,000円である。
61
◯高山委員 指名願いはどこに行っているのか。本市から受注する場合、指名願いというのがあり、それに会社内容や決算状況など全部記載されているのではないのか。昭和46年から44年、昭和42年からは48年経過している。1社のみの
特命随意契約で、26年度は17億400万円を福岡環境整備(株)に発注している。指名願いがあれば、その中に当然会社概要があるはずである。福岡環境整備(株)の株主を尋ねる。
62 △環境局長 株主に関する情報については、会社法第125条により、株主名簿の閲覧請求ができるものは株主及び債権者に限定されていることから、福岡市情報公開条例第7条第2号の規定により非公開情報とされている、公にすることにより当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報と判断され、また個人株主に関する情報については、同条例第7条第1号の規定により、非公開情報とされている特定の個人を識別することができる情報とも判断されるため、回答はできかねる。
63
◯高山委員 環境局は指名願いを受けていないのか。それに基づいて厳しいチェックを行っているのではないのか。会社法で閲覧できないとの答弁であるが、閲覧できないところに50年近くも発注してよいのか。
64 △環境局長 指名願いではなく、委託契約の相手方が法令に定められた委託基準を満たしていることを確認するために各会社に提出させた資料はある。
65
◯高山委員 2002年の
包括外部監査では、適切な情報公開により透明性を高める必要があると考えることや、地方公共団体の契約について、契約手続は結果がよければそれでよいわけではなく、その手続の全てについて適正、公正が保たれていなければならないことなど、情報の透明性を高めるために開示せよということが明瞭に出されている。これが2002年のことで、13年前である。20年前から環境問題を扱っているが、ほとんどなし崩し的な対応である。会社の指名願いというのは、財政局にも環境局にもないのか。
66 △財政局長 福岡環境整備(株)から、直近の期間で、競争入札参加資格審査申請はなされていない。
67
◯高山委員 2年前の10月21日の決算委員会の質問で、平成25年4月締め切りの競争入札参加資格審査の申請手続において、(株)環境開発が提出した23年度決算に係る資料によると、
貸借対照表及び損益計算書において、純資産57億2,000万円余、当期純利益1億5,000万円余、
利益剰余金52億5,000万円余となっていると、財政局長は回答している。これは(株)環境開発のことであるが、公の場で、財政局長は自分が発注していると言っている。どこを見ても環境局の発注権限の箇所がなく、財政局に問い合わせると、財政局では指名願いは預かっていないということであり、環境局が発注していると思うが、はっきりしない。このように膨大な金額の取り引きを50年近くも行う中で、外部からも透明性を高めるように明確に指摘されていることについて、どう考えるか。
68 △財政局長 財政局契約課においては、工事や物品、設計等委託などを中心に市全体での発注頻度が比較的高い業種について集中契約を行っており、その他の契約については、各事業の所管局で契約事務を所掌している。
69
◯高山委員 中部水処理センターの契約額は約13億円であり、小さい金額ではない。26年度の
家庭系ごみについては約61億円の支出であり、福岡環境整備(株)だけで17億円を発注している。発注業務は、件数が多く大変だと思うが、肝心なところだけは適切に押さえておくべきである。企業が悪いとは全然思っていない。恐らくこの
利益剰余金も、目に見えない努力をして、何十年間かかかっている。会社というのは流れに沿って仕事がとれるように動くのが当たり前であって、会社については一言も非難していない。市として、もう少し凜として、けじめをつけるようにと言っている。業者の内訳を知るために、財政部契約課に指名願いの会社概要を求めたところ、ないとの回答で、発注は環境局直営という、契約課長の回答であった。なぜ契約課が本市の入札概要を掴んでいないのか、入札の指導を行うことになっているのではないかと契約課長には言ったが、環境局もなぜ把握していないのか。環境政策部総務課長は、福岡環境整備(株)等の受注業者の会社概要の請求に対して、制度的に提出できないと回答した。収集管理課長は、会社の指名願いの株主名、損益計算書、
貸借対照表の提出要請に、株式会社の会社概要は会社に備えておくもので、それを見られるのは株主と債権者のみと回答した。第三者が見る場合は全株主の同意が必要で、会社に電話したが断られたため、わからない。本市から毎年20億円前後の仕事を随意契約で受注しているのに、その指名願いも出せないのかと尋ねたが、最後まで提出を断られて今日まで来ている。そして、環境局長のところへ行って、随意契約の独占4社の概要、指名願いを出すよう請求したが、断わられた。なぜそこまで担当局が隠すのか、出せない理由を文書で出すようにと言ったところ、期限ぎりぎりの10月6日に、黒く塗りつぶされた文書が届いた。全部真っ黒で、その理由は、関係法令によって通常公表されない情報の公開に相手方の同意が得られなかったとのことであったが、本当にもう少しきちんと締めるところは締めてほしいと思う。福岡環境整備(株)と大成管理開発(株)の会社内容について尋ねる。
70 △環境局長 今回提供ができなかった資料については、委託契約の相手方が法令に定められた委託基準を満たしていることの確認のために各会社から提出された資料の一部であり、個人名や
住所などが含まれた資料でもあったため、会社法や本市情報公開条例に基づき検討したところ、非公開と判断したものであり、ここでの答弁も差し控える。しかしながら、議会での審議や議員活動を尊重して、必要な情報を可能な限り提供できるよう努めており、今回も相手方の同意による資料提供を目指して各会社に協力を依頼したが、相手方の同意は得られなかったものである。
71
◯高山委員 し尿業者については、下水道普及による転廃対策として昭和41年8月からスタートし、本市においては昭和42年ごろから50年近く随意契約による取り引きを行っている。札幌市でも10年で打ち切っており、50年間も続いているのは本市だけであるが、所見を尋ねる。
72 △環境局長 し尿転廃業対策については、昨年1月に福岡市
公正入札監視委員会からその目的は達成されていると考えられるという趣旨の意見書が出されており、意見書の趣旨を踏まえて、関係事業者と精力的に協議を行い、1社を除き
あっせん終了時期を確定したところである。残りの1社についても精力的に業務を遂行していく。
73
◯高山委員 福岡環境整備(株)を調べたところ、平成27年3月31日現在で、
利益剰余金約45億円、負債は約1.7億円の超優良企業であることがわかったが、これは事実か。
74 △環境局長 間違いない。
75
◯高山委員 株主について、ごみ収集等を行っている13社が設立したと聞いていたが、環境局が資料を出さないため調べたところ、この会社の株主の取締役は、会社を2つ持っていることがわかった。ごみの許可業者の会社とは別に事業系ごみの会社の株も保有し、取締役になっている。福岡環境整備(株)の取締役の多くが、2つの会社の株を保有している。本市指定の
家庭系ごみの収集運搬業務の許可業者と、もう1社は本市指定の事業系ごみ収集運搬の許可業者である。1人の社長で
家庭系ごみと事業系ごみの2社を持っているが、間違いないか。
76 △環境局長 指摘の趣旨はそのとおりである。
77
◯高山委員 家庭系ごみは、24年度の1社平均で3,700万円の純利益を出しており、事業系ごみは、平成22年12月31日時点の1社平均で経常利益4,615万円である。その2つの会社を持ち、そのうち1つの会社が、粗大ごみや
不燃物ごみ、
ペットボトルを収集する福岡環境整備(株)で、本市はそこに全部の業務を
特命随意契約で発注し、当該会社は配当後に45億円の
利益剰余金が出ているが、これは事実か。
78 △環境局長 福岡環境整備(株)の26年度決算期の
利益剰余金については、約44億9,400万円である。
79
◯高山委員 事実であれば、福岡環境整備(株)は超優良企業である。13社と
ふくおか環境財団の計14社で
家庭系ごみを全部収集し、この13社と事業系ごみの許可業者が別会社をつくって
不燃物ごみや粗大ごみ、
ペットボトル等を送り込んでいる。埋め立てを請け負っている大成管理開発(株)が、昭和42年に13業者の出資により設立されているが、この会社の状況はいかがか。
80 △環境局長 大成管理開発(株)は、昭和42年に燃えるごみ収集運搬業者13名の役員と16名の個人出資により設立されたが、現在は個人株主4名で構成されている。
81
◯高山委員 その株主名を教えるように言っているが、とにかく出さない。出してもらって、説明等を聞けば、いろいろな事情があることは理解できる。資産を活用して多くの収集車を備え、そのおかげでごみ収集が円滑になされているわけであるから、一概に悪いとは言えない。そういう事情を説明して提出すべきであると思うが、とにかく隠す。福岡環境整備(株)は昭和46年9月1日に設立され、44年間の独占受注である。
利益剰余金が、27年3月31日で45億円、このうちの別途積立金は33億円で、負債は1億7,000万円である。(株)エフ・ケイ・ケイ本社の
住所を尋ねる。
82 △環境局長 福岡市西区である。
83
◯高山委員 西区の
住所は小戸1丁目3番地と思うが、その
住所地には事業系ごみの会社と、
家庭系ごみの会社が存在している。大成管理開発(株)と同じ
住所ではないか。公による発注であり、貴重な税金を使うにもかかわらず、けじめがついていないということを言っている。とにかく競争性を持たせようと、方針を決めて、外部委員で構成される福岡市
公正入札監視委員会が意見書を出したが、その意見を全部骨抜きにしているのではないか。行政のなれ合いではなく、福岡市
公正入札監視委員会意見書で示されたように、適切に対応されたい。現在、個人商店や商店街は、非常に厳しい状況にある。本市職員の26年度の休日について人事課に聞いたところ、勤務が222.4日で、有給休暇なども全部含めて146日は休みである。週に3日弱は休んでいることになるが、商店街などは、そのようなものではない。中小企業などに対しては、その育成のために貴重な公費を投じてもよいが、行政として言うべきことは堂々と言うべきである。余りにも
家庭系ごみや事業系ごみを取り巻く環境はよくない。もう少し真剣にやってもらいたい。次に、施工能力を有する会社が2社以上ないため、1社と随意契約を締結しているが、ほかに履行可能な者がいないことを理由として随意契約してきた契約について、履行可能な者が1社のみであることを対外的に立証するために契約手続に先立ち、必要な技術、または設備等の状況をホームページで告示し、参加希望者を確認する制度を導入するとのことであった。道路下水道局所管の清掃業務について、事前に募集したが、誰も手を挙げなかったために、施工能力のある(株)環境開発に発注したことになっているが、矛盾がある。応募資格が、本市の下水道管きょ幹線清掃業務の登録者の中には初めから施工能力のある者がいないことがわかっていた。また、年商6億円以上の実績があることについては、ほとんどが1~2億円であり、11社のうちに6億円以上の能力があるのは(株)環境開発、本社が東京にあるため応募資格がない管清工業(株)、造園会社で下水の技術は有していない西鉄グリーンの3社である。下水道の清掃事業において、本市が求めている年商6億円以上という金額では誰も応募できない。また、全国的に競争入札を導入しているが、本市だけが随意契約である。事前に、初めから応札業者不在の状況を知った上で、事前応札社の公募をしており、応募のハードルが高過ぎるのではないか。福岡市
公正入札監視委員会の意見書では、処理区域内下水道管理清掃委託については、地場の育成という観点から、発注ロットを小さくし、経験を踏ませていくことを検討してはどうかということや、履行可能な内容を区別し、その他の業者でも履行可能な内容を履行させることなどが言われている。人口比で96%の下水道管の清掃委託を一括発注しているが、発注ロットを小さく分割するようにということである。西区の新
西部水処理センターにおいては、人口比4%分の入札を行い、1,200万円規模の清掃業務を6社ぐらいが実施しているが、そのような方式で実施するようにと言っている。年商6億円以上でないと応札できないことや、発注ロットの問題について、どう考えるか。
84 △
道路下水道局長 処理区域内下水道管清掃業務委託については、25年度までは市内一括で発注し、これに対応できる特定の者と随意契約を行っていた。26年度からは、福岡市
公正入札監視委員会の審議を踏まえて、業務区域を分割するとともに、新
西部水処理センターの処理区域を除く区域については、新たに策定された随意契約における参加者の有無を確認する公募手続要項に基づき、特定の者以外にこの業務を実施する者がいないか公募したところ、応募者がいなかったため、特定の者と契約を行っているところである。なお、その公募要件については、業務の履行を確実とするため、その業務に必要な技術者の資格要件など、清掃体制の確保や応募者の信頼性を確認する目的で、売上高である年商などを設定したものである。また、下水道管清掃業務については、26年度から新規参入者の育成を図るため、試行的に新
西部水処理センターの職務区域において、業者の能力に配慮して、区域を2分割し、さらに年度を上半期と下半期に分けて発注を行うなど、受注機会の拡大に努めている。
85
◯高山委員 本市の人口比で4%分だけを1,200~1,700万円に分割して発注しているが、残りの96%は一括発注で、応募資格が年商6億円以上となっている。下水道管きょ幹線清掃業務の登録業者は11業者で、ほとんどが1~2億円の年商規模である。6億円以上は3社のみで、しかも、本市に本社があることが条件であるため、東京に本社があるところは外れて、(株)環境開発以外は造園会社である西鉄グリーンだけが残り、初めから応募者がいないことを認識しながら、そのような見え透いたことを行っている。(株)環境開発は立派な会社だと思っているが、本市の中小企業の業者を育成すべきであり、発注する側の市がもう少し凜として、締めるところは締めるべきである。平成13年3月に竣工した箱崎臨海工場の建設費は478億円で、東部清掃工場は箱崎臨海工場と同じ処理能力であるが、建設費は313億円で、川崎重工が施工した。両者の建設費に165億円の差があり、おかしいということを言ってきたが、本市の環境局長経験者が日立造船の顧問に就任し、平成13年3月に箱崎臨海工場の管理は日立造船の子会社であるニチゾウ九州サービスが行うことになった。日立造船のプラントが298億円で、同じ日に台湾の彰化市で受注した日立造船のプラントが、納品当日のレートで133億円である。298億円と133億円の差は約160億円であり、なぜこのように違うのか。このような談合をするなと言っているうちに、公正取引委員会が日立造船とメーカー5社に談合の排除勧告を出し、箱崎臨海工場もこれに該当していた。日立造船から本市に20億8,800万円が返還されたが、承知しているか。
86 △環境局長 指摘の件については、6~10年度にかけて、全国の地方公共団体が発注した焼却施設の建設工事において30件を超える談合がプラントメーカーにより行われたものである。本市においては、箱崎臨海工場プラント建設工事の入札に参加したプラントメーカー5社の談合により損害をこうむったため、5社に対して2回の指名停止を行うとともに、判決に基づく損害賠償金を請求して受領している。
87
◯高山委員 日立造船が本市に20億8,800万円を返還したことを知っているか、再度尋ねる。
88 △環境局長 間違いない。
89
◯高山委員 箱崎臨海工場におけるプラントの発注は平成10年ごろから始まっている。この業界のリーダーが日立造船だった。箱崎臨海工場の管理業務は、日立造船の子会社であるニチゾウ九州に4億3,000万円で発注している。北九州市は同じメーカーで2億3,000万円、広島市は1億9,000万円である。本市では20年ほど前に4億3,000万円で発注して、そのまま今日まで続いている。このような点を見直せと言っているのに、全然見直さない。広島市の中工場600トンと本市の南部工場540トンを比較すると、管理費が広島市の1億5,200万円に対して、本市は2億8,500万円であり、広島市は本市の五十数%である。オーバーホールについては、本市は2億2,700万円であるが、広島市は9,800万円で、本市の43%の金額である。広島市においては、メーカー系のプラント管理会社は高いため、必ず管理専門業者を2社入れるため、受注するために必死になって安くなっている。次の年は、メーカー系の子会社がそれを下回る金額で提示するため順調とのことである。この方式を研究するように言ってきたが、全く行っていない。平成13年8月に、九海産業開発等が有機性汚泥30万トンを動植物性残渣と偽って不法海洋投棄するという事件があった。海洋投棄はロンドン条約により禁止されており、当時、このような違法投棄を認めるべきではないと市当局に言ったが、業者が動植物性残渣と偽って全部で30万トンもの有機性汚泥が海洋投棄されたものである。海洋投棄は、そのあたりの海で捨てるから、陸上投棄の単価とは乖離がある。陸上投棄の業者を育成して利益を上げさせ、海洋投棄をやめさせるべきであると訴えてきた。現環境局長は当時の産業廃棄物所管課の担当だったと思うが、市は海洋投棄を放置していたのか。
90 △環境局長 私が環境局産業廃棄物指導課に在籍していたころの事件である。直接の担当ではなかったが、平成13年8月に九海産業開発(株)と(有)一翠社が大量の有機性汚泥を海洋投棄していたことにより摘発されたものである。当時、本市が黙認していたとの新聞報道等もあったが、内部調査を実施したところ、そのような事実はなかった。
91
◯高山委員 福岡市
公正入札監視委員会は、競争性のある契約への移行への可能性について点検するように言っており、他の自治体等や庁内の他課で同様の事例があるということでもある。また、業務内容を分離できるものについては、作業マニュアル等の整備により他社の参入が可能であるため、競争性を導入すべきであると言っている。ヨーロッパやアメリカでは、メーカー系の管理会社は少なく、管理専門会社が育っている。環境局の言い分は、ヨーロッパから技術を導入しており、特殊技術であるため
特命随意契約でなくては対応できないとのことである。ヨーロッパでは全部外注しており、なぜ本市だけ、このようなメーカー系の会社が管理業務を行わなければならないのか。全国では、プラント類は東京都を初め市職員が直接管理している自治体が多々ある。どこでもマニュアルがきちんと整備されているからである。岸和田クリーンセンターや東京都クリーンセンターなど延べ2,800社のうち400社ぐらいが非プラント系の管理会社であり、メーカー系列の子会社のみに特命で発注せずに競争させるべきである。広島市では管理専門会社に発注して本市の半分の金額で済んでいる。また、下水道管の清掃でも小さい区分に分離して発注できるのであるから、98%の中小企業を大事にしながら、少しでもチャンスを与えていくことが政治というものである。世の中が生きるのに必死になっている時代であり、このことを20年間言い続けているが、環境局は何もしない。福岡市
公正取引監視委員会に環境局が提出した資料には、経済性よりも確実な履行を重視と書いてある。経済性の確保等の要請より業務の確実な履行を重視しているのである。収集場所と道路事情と地域性を熟知しているから特殊業務だということが、競争性の導入が難しい理由として書かれ、さらに、競争には適さないということまで書かれている。ごみ収集は週2回であり、しかも、共同住宅、アパート、マンション等に人口の80%ぐらいの人が住んでいるため、1カ所で居住世帯分のごみをすぐに収集できる状況である。現在、152万人の人口に対して14社でごみ収集を行っており、1社当たり10万8,000人が対象となる。業者を倍にして5万人分を1社で収集すれば、もっと丁寧にできると思うが、多いところでは25万人分を1社で収集している。本市の
包括外部監査は、弁護士が総ざらいするため、非常に厳しいものであるが、その報告書の中で、本市のごみ収集について、トン当たりの委託料の他都市との比較がなされていた。本市と4都市との比較で、本市の委託料が最も高く、4都市の1.74~4倍であった。2002年から価格競争などを導入するように言ってきたが、13年たっても何も進んでいない。競争原理導入に反対しているのは環境局長本人ではないかと思うが、時代錯誤ではないのか。公明正大に行うべきであり、もっと勇気を持って取り組むべきである。事業系ごみの20%は自己搬入であるが、自己搬入しなければ手数料が非常に高いため、自社にトラックを置いて、全部のごみを搬入しているとのことである。北九州市のように50社から見積もりをとるようにして、競争の原理を導入すべきではないか。
92 △環境局長 競争性の導入については、昨年3月の条例予算特別委員会で、定期修理においてプラントメーカー以外の業者に分離分割発注して競争性を導入すべきとの意見をいただいたことを真摯に受けとめ、対応についての分析検討を行ってきた。その結果、26年度の臨海工場公害防止監視設備改良工事について、従来はプラントメーカーに一括発注していたが、工事の性能に影響を及ぼさない範囲の分離分割発注は可能であると判断し、競争性を導入した
制限つき一般競争入札としたところである。今後も引き続き、他都市の情報も収集しながら、これまでの清掃工場の建設運営のあり方を検証し、25年から35年間に及ぶ工場稼働期間中のトータルコストの縮減も含めて、さまざまな事業運営手法について検討していきたい。
93 ◯堀内委員 日本共産党市議団を代表して、本市の水害対策について、福岡空港と博多港の軍事利用問題について質問する。まず、水害対策について尋ねる。今年の夏にも群馬県の鬼怒川や宮城県での水害があった。昨年の広島での大きな土砂水害も記憶に新しいところである。本市でも1999年6月29日にはいわゆる福岡水害があった。大雨はそれ以降も毎年のように避難勧告、避難指示を出す災害となっている。本市議会においても防災等対策調査特別委員会などが設置され、都心部の浸水対策や河川整備などが進められてきた。まず、本市の防災の基本理念及び避難支援対策の充実強化予算に対する過去3年間の決算額を尋ねる。
94 △市民局長 本市の防災の基本理念については、本市地域防災計画に周到かつ柔軟な災害予防、迅速かつ円滑な災害応急対策、適切かつ速やかな災害復旧・復興の3つを基本理念として掲げている。次に、避難支援対策の充実強化予算の過去3年間の決算額の推移は、24年度が3,237万9,000円余、25年度が2,410万7,000円余、26年度が4,990万6,000円余である。
95 ◯堀内委員 現場での避難対策等が十分に行われているのかを具体的に検証する。ことし8月25日の台風第15号の対応について、台風第15号はどういう台風で、どういう対策を主として行ったのか。避難指示を出したのは、どういう判断で、どの地域、校区の市民を対象として伝達したのか。避難指示のもと、住民は何をしなければならなかったのかについて、詳細な説明を求める。
96 △市民局長 福岡管区気象台によると、非常に強い台風第15号は強い勢力を維持したまま、8月25日未明から強風域に、25日の明け方から暴風域に入り、最接近は25日の昼前ということであった。雨の予報は、25日は九州北部全域で大雨になり、福岡県の1時間雨量は多いところで60ミリということであった。本市の対策としては、8月24日の午後6時に約100人態勢で災害警戒本部を立ち上げ、各区において自主避難者の受け入れ態勢を整えた。その後、同日23時に大雨警報の発表を待たずに、本市及び7区の災害対策本部を立ち上げ、注意態勢である水防第1配備、約630人の態勢としたものである。翌25日の午前7時40分に早良区の一部に土砂災害の危険による避難指示を発令するとともに、避難所の開設を行っている。午前8時15分に警戒態勢である水防第2配備に切りかえ、約1,100人態勢に強化し、警戒措置をとっている。午前8時30分に西区の一部に土砂災害の危険による避難指示と室見川氾濫の危険による避難指示を発令するとともに、避難所の開設を行っている。いずれの避難指示の発令においても、マスコミなどを通じ、安全な場所への避難の呼びかけを行っている。避難指示の発令については、地域防災計画に定める判断基準に基づき、空振りを恐れずに行うこととしている。土砂災害の危険による避難指示については、短時間で大雨が降り、土砂災害警戒情報が基準値を超過したことから、8月25日の午前7時40分に早良区の一部に、午前8時30分に西区の一部に発令したものである。室見川氾濫の危険による避難指示については、橋本橋に設置している水位計が氾濫危険水位を超過することが見込まれたため、現地を確認した上で、西区の一部に午前8時30分に発令したものである。次に、土砂災害の危険による避難指示については、早良区の曲渕、内野、早良、脇山、入部の5校区の一部、3,507世帯、8,103人並びに西区の今宿、金武、壱岐、壱岐南の4校区の一部、4,634世帯、1万2,055人に発令した。室見川の氾濫危険による避難指示については、西区の福重、壱岐東、壱岐南の3校区、8,971世帯、1万9,821人に発令した。次に、避難指示については、災害対策基本法に基づき、災害の危険が目前に切迫している場合に行うもので、この際の避難行動については、指定避難所への移動などの屋外退避や、避難所に向かうほうが危険な場合は、無理な避難をやめて屋内や近隣の2階以上の安全な場所への退避を行うこととされている。
97 ◯堀内委員 今回が史上最大規模の避難指示だったわけであるが、実際に避難所に逃げた市民は何世帯、何人か。
98 △市民局長 指定避難所へ避難した市民の状況は人数で把握しており、125人である。
99 ◯堀内委員 避難対象者3万9,979人に対して避難者は125人で、避難者は対象者の0.2~0.3%、西区だけで見ると0.02%~0.03%であり、少な過ぎると思わないか。また、市民が避難しなかった理由をどのように考えているのか。
100 △市民局長 避難者の数が少なかった理由については、住民の避難行動は、災害対策基本法では、避難所など安全な場所に移動するだけではなく、建物の構造や状況に応じて屋内や近隣の2階以上の安全な場所に移動を指示することができるようになっている。今回の台風第15号に関しては、マスコミや防災メール、広報車などにより、屋外に出ることが危険であると感じる場合は、自宅や近くのできるだけ安全な建物の2階以上に避難することを呼びかけている。また、避難指示を発令して以降、雨が小康状態となったことから、避難指示を受けた住民の多くが避難所へ移動しなかったものと考えている。
101 ◯堀内委員 大事な問題であるため確認するが、災害対策本部長である市長も局長と同じ認識なのか。
102 △市長 市民局長の答弁と同様の認識である。
103 ◯堀内委員 これは非常に重大な認識である。災害対策基本法第60条第1項には何と書いてあるか。
104 △市民局長 災害が発生し、または発生するおそれがある場合において、人の生命または身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の居住者等に対し、避難のための立ち退きを勧告し及び急を要すると認めるときはこれらの者に対し避難のための立ち退きを指示することができると規定されている。
105 ◯堀内委員 避難指示は立ち退きの指示であると明確に規定されている。屋内の安全な場所への避難ではない。市民が避難しなかった理由について、降雨が小康状態となったためと局長は答弁したが、避難指示は解除されていなかったのではないか。とりわけ土砂災害において避難指示は重要である。平成27年8月に内閣府が策定したガイドラインの8ページの2段落目を読み上げられたい。
106 △市民局長 国が平成27年8月に策定した避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインにおいては、避難勧告等が発令された場合、そのときの状況に応じてとるべき避難行動が異なることから、指定緊急避難場所や近隣の安全な場所へ移動する避難行動を立ち退き避難と呼ぶこととし、屋内にとどまる安全確保を屋内での安全確保措置と呼ぶこととする。立ち退き避難は指定緊急避難場所に移動することが原則であるが、指定緊急避難場所へ移動することがかえって命に危険を及ぼしかねないと避難者みずからが判断する場合には、緊急的な待避、近隣のより安全な場所、より安全な建物等への避難をとることとなる。さらに外出することすら危険な場合には屋内での安全確保措置、屋内でもより安全な場所への移動をとることとなると記載されている。
107 ◯堀内委員 マニュアルにおいては立ち退き避難が原則であると記載されており、土砂災害においては特に立ち退きが原則であるとされている。地域防災計画においては風水害の避難誘導の実施について、自治体の役割をどう規定しているか。
108 △市民局長 避難誘導については、市街地の浸水が始まっている場合など、あらかじめ指定した避難所等に避難することが必ずしも適切でない場合は、事態の状況等に応じて、自宅や隣接建物の2階以上の安全場所に避難誘導することや、避難時の周囲の状況等により、避難のために立ち退きを行うことがかえって危険を伴う場合などやむを得ないときは、屋内にとどまるなどの安全確保措置を指示することができることなどを規定している。
109 ◯堀内委員 避難誘導の責任は自治協議会や住民ではなく本市にある。避難指示が出ているにもかかわらず市民が避難していないということは、市の対応に問題があったのではないか。
110 △市民局長 今回の台風第15号に関しては、避難所への移動や屋外に出ることが危険だと感じる場合は、自宅や近くのできるだけ安全な建物の2階以上に避難することをマスコミや防災メール、広報車などにより呼びかけており、問題はなかったものと考えている。
309 ◯尾花委員 UR都市機構が多子世帯を対象に20%の家賃減額を実施しているようであるが、平成27年9月28日現在の募集戸数は、福岡市全体で9戸にとどまっており、絶対量が足りていない。そこで、住宅政策における多子世帯への配慮、優遇措置として、埼玉県などの自治体で既に取り組んでいる中古戸建住宅取得と住宅リフォーム費用に対して助成する多子世帯向け中古住宅取得・リフォーム支援事業、北九州市の新婚・多子世帯等への家賃・住宅購入補助、大阪市の住宅購入ローン利子補給などを行ってはどうか。また、私の住んでいる地域では、壁面に動物の絵や乗り物の絵が描かれている市営住宅をよく目にする。無機質の灰色の壁面に比べ、とても温かな優しい気持ちになる。こうした子ども目線のデザインの導入や児童の遊び場の整備など、子育て環境の整備を促進してはどうか。地域全体で子育てを支援しているという意識の醸成にもつながると思うが、あわせて尋ねる。
310 △住宅都市局長 住宅政策における多子世帯への配慮、優遇措置については、少子化への対応が大きな課題となっている中、多子世帯等の子育て世帯に対する施策は重要であると考えており、今後、他都市の事例や住宅市場の動向等を踏まえ、検討を行っていく。また、市営住宅においては、機能更新の際に、みんなにやさしいユニバーサルデザインの導入を図っているところであり、子どもに優しい住宅という視点も踏まえ、環境整備に努めていく。
311 ◯尾花委員 少子化社会対策大綱では、社会の全ての構成員による多子世帯への配慮の促進、すなわち、地方自治体、企業、公共交通機関など社会の全ての構成員の協力により、多子世帯への一層の配慮、優遇措置を促進することが打ち出されており、具体的な施策の事例として、子育て支援パスポート事業の充実と、公共交通機関等における負担の軽減の要請などが挙げられている。ここで、青森県弘前市の先進事例の視察調査を行ったので、少し紹介する。弘前市は、子どもが3人以上いる世帯の市公共施設の利用料が無料になる「ひろさき多子家族応援パスポート」と、市中心部での乗り降りする場合のバス運賃が親子で片道100円になる「まちなかお出かけパス」の発行を25年度から始めている。子育て世代の経済的な負担軽減を図るのが目的で、公共交通の利用促進や中心市街地の活性化などの効果も出始めている。応援パスポートは、18歳未満の子どもが3人以上いる市内在住者が対象で、パスポートを提示すれば、プラネタリウムや植物園、プールなど、市内30の文化・体育・社会教育施設の入場料や使用料などが、親子ともども無料になる。お出かけパスは、小学生以下の子どもとその保護者が対象で、登録料として1,000円を支払い、パスの発行を受けると、中心市街地のバス停24カ所で乗り降りする場合、運賃が保護者は片道100円、子どもは無料となる。弘前市の担当者によれば、多子世帯の人が応援パスポートやお出かけパスを利用することによって、経済的負担の軽減のみだけではなく、親子での外出や触れ合いの機会がふえ、文化・体育・社会教育施設の利用者数も伸び、食事や買い物などをすることにより、地域経済の活性化にもつながり、二重三重にとどまらず、四重五重の相乗効果があり、大変に喜ばれているとのことである。多子家族応援パスポート事業に限って言えば、26年度決算で、パスポート発行世帯数465世帯、パスポート利用人数は延べ2,370人、事業費はパスポートの発行関連経費5万円であり、市内の公共施設という既存ストックの有効活用にもつながっている。「ひろさき多子家族応援パスポート」には名前と生年月日、年齢が書かれている。また、これには、たか丸君というゆるキャラが書いてあるが、このパスポートを見せるだけで、市の公共施設に無料で入れるという仕組みで、施設の利用料収入が少し減るというデメリットはあるものの、先ほど述べた多子家族の経済的支援の強化、また、家族での外出機会の創出、また、文化・運動・社会教育の推進と、それをはるかに上回るメリットがあり、多子家族世帯支援に少ない費用で最大の効果を上げている。そこで尋ねるが、動植物園、プール、福岡市美術館、福岡市アジア美術館、福岡市博物館などの市内の文化・体育・社会教育施設などの既存のストックを有効活用し、親子ともども無料などの利用料減免の多子世帯の支援策を行ってはどうか。各施設の利用者の増加にもつながる有効な手だてと思うが、各施設の過去3年間の利用者数の推移もあわせて、所見を尋ねる。また、この事業のかなめとなるのが、この多子家族応援パスポートの発行だが、本市としても多子家族応援パスポートを発行し、同様の事業を行ってはどうか。子ども施策を担当するこども未来局長に所見を尋ねる。
312 △住宅都市局長 まず、福岡市動植物園における過去3年間の入園者数は、24年度は81万683人、25年度は95万4,855人、26年度は99万916人となっている。動植物園では、より多くの子どもたちに来園してもらうために、中学生以下の子どもたちの入園料を無料としている。多子世帯への支援については、関係局と協議を行いながら、対応を検討していく。
313 △市民局長 各区の市民プールの過去3年間の利用者数の推移は、24年度は73万5,783人、25年度及び26年度は一部のプールが改修工事に伴い休館しているが、25年度は72万6,499人、26年度は72万1,462人となっている。市民プールにおける多子世帯への支援については、関係局と協議を行いながら、対応を検討していく。
314 △経済観光文化局長 美術館、アジア美術館並びに博物館の3館の過去3年間の観覧者数の推移は、3館の合計で、24年度が107万3,383人、25年度が106万6,322人、26年度が99万6,446人となっている。各館では、リニューアルの時期を迎え、施設改修等による休館などの期間を含んでおり、年度により観覧者数に変動があるが、おおむね年間100万人前後で推移している。また、これら3館においては、中学生以下の子どもの常設展示観覧料を無料とし、芸術や歴史に触れる機会の提供に努めているが、多子世帯への支援については、今後、関係局と協議の上、対応を検討していく。
315 △こども未来局長 議員提案の多子家族応援パスポートについては、今後、国や他都市の動向も踏まえながら検討を行っていく。
316 ◯尾花委員 動植物園は大胆なリニューアルが進行中であり、年々入園者数が伸びている一方、プールの利用者数は横ばい、福岡市美術館、福岡アジア美術館、福岡市博物館は、キッズコーナー、体験学習室「みたいけんラボ」の設置など、さまざまな工夫をしているようではあるが、残念ながら客層は子ども連れが少なく、観覧者総数は、ここ3年減少し続けている。本市は、市営地下鉄を持っており、まずは地下鉄で先行して弘前市のお出かけパスのような多子世帯の交通支援策を行い、その後は、民間の公共交通事業者にも協力をお願いしてはどうか。また、地下鉄の駅に、子育て目線での利便性向上や周辺公共施設への誘導案内などをもっと進めてはどうか。京王線では車両内のラッピングに取り組んでいる。そして、大阪市営地下鉄では、動物が動物園に近い出口を案内するという取り組みが行われている。大阪市営地下鉄はそのほかにも、エスカレーターを上るところに、こうしたキリンの絵があり、キリンは首も足もなかなか長いというイメージで、子どもが楽しくなる。そして、改札をおりたところのコンコースに、アフリカの大自然が広がっているような、ケニアの自然保護区が描かれた大きな壁面があり、観光スポットになっている。私の思いつきであるが、アートトリック、3Dを使えば、さらに絵が飛び出したような感じになるが、これは動植物園に限らず、美術館や博物館に近い駅にも利用できると思う。本市が管理運営している公共施設での誘導案内は、本市がしっかりとイニシアチブを持ち、取り組みを進めるなど、ハード面でもソフト面でも子育てに優しい公共交通機関のイメージアップを図ってはどうか、所見を尋ねる。
317 △交通事業管理者 少子化社会対策大綱において、妊娠中の方や子ども連れの人にとって、優しい施設や外出しやすい環境の整備が公共交通機関に求められているということは、十分認識している。これまで、福岡市営地下鉄では、子育て中の人や子どもが安全で快適に利用できるよう、車内でのベビーカー優先スペースの設置や優先席の拡大、小学生を対象とする「ちかまるきっぷ」の発売などに取り組んできている。提案の多子世帯への交通支援策については、少子化社会対策大綱の趣旨を踏まえ、子どもとの外出を応援するためのサービスなどの提供や、子ども連れの家族への配慮など、今後、検討を行っていく。また、他事業者で行われている動植物園などとの連携について、今、提案があったが、子ども目線にも配慮した周辺施設への誘導案内など、子育てに優しく魅力的な地下鉄を目指した取り組みを検討していく。
318 ◯尾花委員 多子家族応援パスポートの発行により、各種店舗の割引等のインセンティブができないのか調査していたところ、既に福岡県において、18歳未満の子どもがいる子育て家庭を応援する事業として、子育て応援の店推進事業が行われているようである。これは、子育て応援の店の登録店舗に子ども連れで行くと、商品の割引やベビーベッドの設置など、それぞれの店が考え提供する各種サービス、特典が受けられるというものである。残念ながら、本市の子育て支援のポータルサイト「ふくおか子ども情報」には、この事業が紹介されていないが、大変有効な施策だと思う。子育て中の人にこの事業をもっとPRするとともに、登録店舗数をふやす取り組みに本市も積極的に協力してはどうか。所見を尋ねる。
319 △こども未来局長 福岡県の子育て応援の店推進事業については、指摘のとおり、子育て家庭を支援する上で有効な施策であると認識しており、ポスター掲示などの協力を既に行っている。今後とも、「ふくおか子ども情報」ホームページでのPRを含め、さらに協力を進めていきたい。
320 ◯尾花委員 少子化社会対策大綱では、公共交通機関における負担の軽減を含め、社会のあらゆる分野において、多子世帯への支援についての要請を行うことになっている。26年度福岡市基本計画に係る実施状況の報告によると、プロスポーツの振興の成果指標に対する達成状況は数値が下がっていることを示すCであり、観覧者数は伸び悩んでいるようだが、その状況を尋ねる。あわせて、その打開策の一つとして、多子世帯への支援策の協力をお願いしてはどうか。所見を尋ねる。
321 △市民局長 第9次福岡市基本計画の成果指標として掲げている、本市を活動拠点とするプロスポーツチームなどの主催試合観客数については、福岡ソフトバンクホークスを除き、ここ数年横ばいとなっており、伸び悩んでいる状況である。議員提案の多子世帯を対象とした支援策への協力については、主催している各プロスポーツチームに対し働きかけを行っていきたい。
322 ◯尾花委員 少子化のトレンドを変えるため、直ちに集中して取り組むことが重要と言われている。少子化は今、この瞬間にも進行し続けている。少子化への対応が遅くなれば遅くなるほど、将来への影響がより深刻になる。直ちに集中して取り組めば、少子化のトレンドを変えることも可能である。本市において、多子世帯の支援に集中的に取り組むことは、国の最重要課題の一つである少子化への対策に先鞭をつけたことになる。どの政令市よりも、福岡市は少子化に真剣に取り組んでいる、福岡市は子育て支援に本当に優しいまちだと、イメージを発信することにつながる。行政による支援の充実に加え、将来の支え手である子どもを数多く苦労して育てている多子世帯を大切にするという意識が社会全体で深く共有され、行動にあらわれることで、若い世代が、出産、子育てに対し、より前向きに考えるようになると思う。結婚、妊娠、子ども、子育てに温かい社会の実現に向け、本市において社会全体で行動を起こすべきときは、今である。最後に、多子世帯の支援策の拡充に対する高島市長の所見と決意を尋ねて、私の質問を終わる。
323 △市長 少子化は、地域や社会の担い手の減少、そして、現役世代の負担の増加、経済や市場の規模の縮小や経済成長率の低下など、個人、地域、企業、国家に至るまで、多大な影響を及ぼす問題であると指摘されており、国においても、今後5年間に集中的に政策に取り組むこととしている。本市においても、これまで子育て世帯への支援として、妊娠、出産、子育てへの切れ目のない支援や多様な保育サービスの充実、また、経済的な支援などに加え、多子世帯を対象として、第3子優遇事業を実施するなど、安心して産み育てられる環境づくりを進めてきた。今後も、こうした取り組みを推進するとともに、多子世帯への支援の充実について、検討していく。
324 ◯森(英)委員 自由民主党福岡市議団を代表し、地下鉄2号線と西鉄貝塚線の直通運転化について、外国人観光客に対するおもてなし力向上について、博多バイパスの整備と周辺市道の交通安全対策について、以上3項目について質問する。まず、地下鉄2号線と西鉄貝塚線の直通運転化について質問するが、この質問については、随分昔から何度も取り上げてきた。昨年の交通対策特別委員会で、この件について、報告がなされているが、実に情けない、お粗末な報告であった。この件については、東区の住民から直通運転化に関する請願が出され、平成14年に市議会で採択されている。それから十数年経過し、昨年の交通対策特別委員会で報告されたが、実現は大変難しいという結論であった。しかし一方で、東区では千早の区画整理が完了し、香椎駅周辺土地区画整理事業も着実に進行している。アイランドシティもこれからますます人口がふえていくものと思われるし、大変重要な施設もできており、これから、拠点体育館等の整備計画もある。また、箱崎地区においては、九大跡地のまちづくりも着実に進んでいくと思う。そうしたことを考えると、この直通運転化は東部地域の交通体系上、極めて重要なものと思っている。そこでもう一度初心に返り、一から仕切り直し、この問題に取り組みたい。まずは改めて、これまでの直通運転化の検討経緯について尋ねる。
325 △住宅都市局長 地下鉄2号線と西鉄貝塚線の直通運転化については、昭和46年の国の都市交通審議会の答申を受け、12年度に国が都市鉄道調査を実施しており、また本市では、直通運転化に関する請願が平成14年の市議会で採択されたことなどを踏まえ、事業費の算定や運営スキームの検討、橋梁の健全度調査など、順次検討を進めてきた。近年では、25年度に需要予測について、26年度に収支や費用対効果について、交通対策特別委員会への報告を行ったところである。
326 ◯森(英)委員 それでは、直通運転化の検討について、11、12年度の国の調査内容と25、26年度の交通対策特別委員会で報告した内容について尋ねる。
327 △住宅都市局長 11、12年度の国の調査では、整備費用や収支予測が検討され、事業化に向けての課題として、資金調達や開発需要の取り込みなどがあると報告されている。また、25、26年度の交通対策特別委員会においては、運行形態の複数ケースによる需要予測の結果から、整備費のほぼ全額に公的資金を投入した場合、開業30年で黒字に転換する可能性はあるが、費用対効果が低く、国の補助採択が厳しい状況にあるため、利便性向上や事業収益改善等に向けた検討を深める必要があるとの報告を行っている。
328 ◯森(英)委員 今の答弁を聞くと、十数年前、国が行った調査結果と平成26年に交通対策特別委員会で報告された内容は、ただ数字が入っただけで、結局何も変わってない。十数年かけて、一体何をしてきたのかと思う。昨年難しいと報告があった直通運転化については、めどが立ってないということであるが、平成14年当時、突然、アイランドシティの鉄道について、21年度開業を目指すと表明がなされている。何の根拠もなく、めども立たずに、こうした表明ができるはずはないと思うし、また、やってはいけないと思う。アイランドシティの鉄道は直通運転化が最低限必要な条件だと思うが、当時の鉄道の開業時期を表明した背景、根拠について尋ねる。
329 △港湾局長 アイランドシティの鉄道については、アイランドシティの都市活動を支え、まちの早期熟成に貢献する重要なインフラと考えており、関係局と連携を図りながら、地下鉄2号線と西鉄宮地岳線の直通運転化を前提としたアイランドシティへの鉄道導入の検討を行ってきたところであり、14年度のアイランドシティ事業計画に鉄道の導入を位置づけたものである。開業目標時期については、まちの早期熟成を図る観点や直通運転化の取り組みを進めていた背景などを踏まえ、総合的に判断し、21年度開業を目標として取り組んでいくことを、平成14年当時表明したものである。
330 ◯森(英)委員 今の答弁は根拠にはなってない。言ってみれば、ちょっと夢を語ってみたという話である。住宅都市局の前身である当時の都市整備局は、実はこのときに、港湾局と一緒に、しかも交通対策特別委員会でしっかり取り組んでいくと表明した。これは今の答弁で済むような話ではない。現在、博多港開発は鉄道の駅用地を確保している。当時の発表では、香椎駅と香椎花園前駅の間に(仮称)香住ケ丘駅という駅を置き、そこからアイランドシティに延伸することになっており、アイランドシティには2つの駅の設置が予定されていた。その発表より前なのか後なのかわからないが、博多港開発は、地下鉄の駅ができる用地を確保している。平成21年に鉄道を開通させ、駅を整備しますと言ってアイランドシティの土地を分譲しているのである。積水ハウスはそのとき土地を購入しているが、駅ができることを前提に、まちづくり構想を練っている。こうしたことを民間で行うと、間違いなく損害賠償請求がなされるが、積水ハウスは損害賠償請求をしていない。しかし弱みができたのは事実であり、民間では考えられないような土地取引の協定書を結んでいる。これは今となっては、期限も切れ、支払いもなされているのでよいが、普通であればあり得ないこと、やってはいけないことをやっている。要するに、駅をつくりますとか、鉄道を通しますとか言って、だまして売っている。中にはそう思って入居した人もいるかもしれない。そうして売ったにもかかわらず、平成16年、たった2年後に、開業時期について見直しがあっている。少なくとも直通運転化を実現するための何かのめどがあったり、条件を満たしたり、課題を克服しなければ、こうしたことは表明してはいけないと思うし、これを非常に大きな問題だと思っている。これは市として大きな反省をすべきだと考えているが、平成16年当時、見直した理由と、見解を尋ねる。
331 △港湾局長 アイランドシティへの鉄道の導入については、16年度の博多港開発株式会社2工区の埋立権の譲り受け等に伴う土地処分計画の見直しに伴い、今後のまちづくりが中長期的な取り組みとなることから、開業目標時期の見直しを行ったものである。結果として、開業目標時期を表明し、2年後に見直すこととなったことについては、見通しの甘さもあり、真摯に反省すべきと考えている。今後、アイランドシティへの鉄道については、地下鉄2号線と西鉄貝塚線との直通運転化を初めとする東部地域全体の交通体系整備のあり方や、アイランドシティのまちづくりの進展などを踏まえながら、中長期的な視点に立ち、総合的な観点から検討を行っていく。
332 ◯森(英)委員 これも実に情けない答えだと思う。確かに、今の局長たちがしたことではなく、先輩の局長たちが発表した。これは推測だが、その局長たちも自分たちで言ったわけではなく、当時の市長が指示したと思う。そうでなければ、こんなできもしないことをやるとは言えないはずである。そして鉄道が開通すると言って土地を売ったにもかかわらず、昨年の交通対策特別委員会では、実現困難だという報告である。これはお粗末としか言いようがないと思わないか。実は平成14年の交通対策特別委員会でアイランドシティへの鉄道導入を表明すると聞いたので、とめに行ったことがある。直通運転化のめどが何も立たないのに、アイランドシティに駅を平成21年開業とまで、具体的に年数まで入れており、今まで1歩ずつ積み重ねてきた直通運転化への西鉄との協議が台なしになってしまうため、そんな発表はしないように言ったが、当時はアイランドシティの土地を売りたい一心だったのだろう。あくまで案として発表させてくれと押し切られ、発表がなされた。その結果、翌日の新聞には(仮称)香住ケ丘駅からアイランドシティ駅、それからもう一つ先、これは港湾地区だと思うが、そこに駅ができるという絵まで出ている。この責任は、重いと思う。もう一度、こうしたことをやってきた反省に立ち、新たに、新しい第1歩として、この事業に取り組んでほしいと思う。いみじくもきょうの朝日新聞の朝刊に載っていたので、見た人もいると思うが、「福岡市内通勤ラッシュ首都圏並み」とある。国土交通省がまとめた2014年度の路線別混雑率を見ると、九州のトップは、午前7時半から8時半の西日本鉄道貝塚線の名島-貝塚の150%と書かれている。千早駅、香椎駅周辺にマンションが建ち、恐らくアイランドシティにも建ってくるが、これだけまちが大きくなり、乗客がふえているということである。今のところ西鉄貝塚線は赤字であるから、直通運転については今進めてほしいと私は最初から言っている。赤字だからチャンスなのである。黒字であったら誰も手放したり貸したりしない。住宅都市局は採算と言うが、西鉄貝塚線がもし採算に合うような黒字なら、市営地下鉄の乗り入れを認めないと思う。この先、西鉄貝塚線が黒字になってきたら、交渉はもっと難しくなるかもしれないため、急がなければならない。そのため、しっかりと、反省を踏まえて取り組まれたい。最後に、当時、行政マンとして市役所に在籍していた副市長の力強い見解を聞き、この質問を終わる。
333 △中園副市長 地下鉄2号線と西鉄貝塚線の直通運転化については、東部地域の交通体系上、大変重要な課題であると認識している。直通運転化には多大な事業費を要するとともに、国の補助制度の活用などが必要であると考えており、そのためには、利用促進などによる事業収益の改善が重要となる。西鉄貝塚線沿線では、香椎駅周辺や千早駅周辺の土地区画整理事業に取り組むとともに、九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくりを進めているところであり、今後、沿線の人口や鉄道利用者の増加に結びつくと考えている。議員指摘の経緯も真摯に受けとめ、今後とも直通運転化に向け、魅力あるまちづくりを進めるとともに、鉄道事業者などと連携した利用促進などに取り組んでいく。
334 ◯森(英)委員 ぜひ、反省をしながら、真摯に受けとめ、一歩でも前に進めるよう努力されたい。次に、外国人観光客に対するおもてなし力向上について質問する。質問に入る前に、まず質問の趣旨を伝えておきたい。今回、わかりやすいように外国人観光客と絞っているが、実は外国人観光客に絞るのではなく、全ての観光客に対するおもてなし力の向上について質問をしようと思っていた。福岡に観光に来た人が移動に利用する、タクシー、バス、鉄道などの交通事業者、ホテル、旅館などの宿泊業者、ショッピングで利用するデパート、家電量販店、小さな商店街などのサービス業、それらの関係者たちはさまざまな形でおもてなしをより向上させるために努力をしている。特に、食べたり飲んだりというのは旅をする人の大変大きな楽しみの一つであると思うし、市長もよく来訪者が来たときには、福岡市はおいしいものがたくさんありますよ、おいしいものを食べてゆっくりしていってくださいという歓迎の言葉を述べるが、おいしい食べ物を食べさせるために、福岡市は何の努力もしておらず、それぞれの店が競い合いながら努力し、おいしいものを提供したり、楽しい雰囲気をつくってサービスを提供したりしている。そのために、さまざまな取り組みをしており、例えば、いろいろなドリンクを提供したり、食べ歩きのイベントを実施したりするなど、より多くのおいしい食べ物をより多くの人に知ってもらうための努力をしている。恐らく市長もよその国や県から、何かおいしいところはないかと聞かれたら、どこかを紹介すると思うが、それは本を見て紹介するのではなく、自分が食べておいしいところ、自分が飲んで楽しいところを紹介するのではないか。では、市長はなぜそこに行ったかというと、恐らく誰かの紹介で連れていってもらったか、何かの機会で利用して食べたかである。いわば、市民が福岡市のおいしいものを、よりたくさん知っている。確かに、市外から来た人がいろいろな観光雑誌を見ながら、その店に並んでいる光景はよく見る。しかし、一番よいのは、やはり地元の人にどこがおいしいのかを尋ね、紹介してもらうことであり、それが一番確実ではないか。福岡市民が、よりたくさんおいしい店を知り、そして知ってもらうために飲食店が努力をしている。そうした努力に対して、本市はこれまで支援してきたのか、あるいは支援の施策があるのかというのがこの質問の趣旨であるが、実は、本市は何もしておらず、26年度決算額はゼロ円である。そのため、まずは経済観光文化局で取り組んでいる外国人観光客に対するおもてなし力向上について順次質問していく。本市の産業構造を見ると、総生産と従業者の9割をサービス業や卸売、小売業など第3次産業が占めている。このような本市経済の特性から考えると、全国的に少子高齢化による人口減少社会が到来し、消費の減少が見込まれる中、国の内外から交流人口を増加させ、消費の拡大を図ることは、地域経済の発展に欠かせないものと考えている。日本を訪れる外国人観光客は拡大を続けているが、特に、2020年には東京オリンピック、パラリンピックが開催されることから、日本への外国人観光客の急増が予想されている。本市としても積極的なプロモーション活動による観光客誘致に取り組むことはもちろんであるが、実際に福岡を訪れた観光客の満足度を向上させ、リピーターにつながるおもてなし力の向上に、官民が力を合わせ、しっかりと取り組んでいくべきと考えている。そこで、本市が安定的に交流人口を確保することで、都市の成長を実現し、市民生活の向上を図っていくために重要な外国人観光客に対するおもてなし力の向上を中心に質問する。平成26年には、海外から日本への観光客が過去最高の1,300万人を突破し、平成27年に入っても前年実績を大きく上回る状況で推移していると聞いているが、本市を訪れた外国人観光客数の最近3年間の状況を尋ねる。
335 △経済観光文化局長 本市における過去3年間の海外からの観光客の状況は、法務省出入国管理統計によると、福岡空港及び博多港から入国した外国人の数は、平成24年は82万人、平成25年は90万人、平成26年は120万人となり、3年連続で過去最高を更新している。なお、平成27年については、1月から7月までの数値になるが、既に107万人に達しており、前年同月比67%増となっている。
336 ◯森(英)委員 平成26年10月から免税制度改正などもあり、メディアでは外国人観光客の爆買いなどといった言葉が多く聞かれる。本市を訪れる外国人観光客の消費の状況について尋ねる。
337 △経済観光文化局長 本市では、外国人観光客の消費動向を把握するため、平成26年12月から平成27年2月にかけて、百貨店、複合商業施設、家電量販店など市内10の施設に対しヒアリング調査を実施している。この結果によると、外国人観光客の急増と免税制度の改正により、平成26年の外国人観光客に対する売り上げは大きく増加しており、特に百貨店では、平成25年に比べ2倍以上に伸びている。また、ある百貨店における1人当たり平均購買単価は、国、地域別に、中国が約11万円、韓国約8万円、台湾5万円などとなっており、時計、宝飾品などの高額商品から、医薬品、化粧品などの消耗品まで多様な商品が購入されている。これに加え、滞在中の宿泊や飲食などに関する消費を考慮すると、外国人観光客の増加は消費拡大による地域経済の活性化に寄与しているものと考えている。
338 ◯森(英)委員 地域経済の振興において、観光は大きな役割を担っており、今後とも市が積極的に振興すべきと考えるが、本市の観光集客戦略の内容を尋ねる。
339 △経済観光文化局長 本市では、平成25年3月に「福岡観光集客戦略2013」を策定しており、その中で、市民や民間事業者とともに、観光都市福岡の目指すべき目標として「世界No.1のおもてなし都市・福岡」の実現を掲げ、また取り組むべき力点として、国内外の有望市場に対して効率的な観光プロモーションに取り組む「誘客」、MICEの誘致、支援や機能強化により新たなビジネス機会の創出につなげる「MICE振興」、歴史、伝統や食を初めとする観光資源の磨き上げに取り組む「魅力づくり」、おもてなし力向上と観光客の回遊性を強化させ消費の増加を目指す「観光の産業化」の4つを掲げている。
340 ◯森(英)委員 その中でも、外国人観光客の誘致に関する取り組みを尋ねる。
341 △経済観光文化局長 本市は質の高い食文化やアジアとの交流で培われた歴史、文化、博多織や博多人形などの伝統、買い物しやすい環境が整ったショッピングなど、さまざまな魅力を有している。この強みを十分に生かし、効果的な誘客を行うため、直行便が就航しているアジアなどの有望市場をターゲットに定め、旅行会社などの事業者を対象とした現地プロモーションや本市への招請事業を実施し、新たな旅行商品の造成などにも取り組んでいる。また、雑誌やウェブサイトなど、現地メディアを活用した観光情報の発信を行うとともに、福岡市内をロケ地とする映画などの撮影誘致を行うことにより、現地住民に直接本市の魅力を伝え、知名度向上と誘客促進を図っている。今後とも時代に合った手法を効果的に活用しながら、福岡のブランド力の向上、観光誘致に積極的に取り組んでいく。
342 ◯森(英)委員 外国人観光客の誘致事業は成果も上がっているようだが、長期的に市内経済の活性化に生かしていくためには、リピーターをふやし、安定的な集客につなげることが不可欠だと考える。そのためには、観光客の満足度を高めるためのおもてなし力向上が非常に大切だと思うが、これまでの取り組みを尋ねる。
343 △経済観光文化局長 本市を訪れた外国人観光客がスムーズに必要な情報を入手できるよう、観光案内所における多言語対応や観光案内板、観光パンフレットの多言語化などの言語対応を行っているほか、Fukuoka City Wi-Fiによる公衆無線LANサービスの提供により、スマートフォンを利用したまちなかでの情報入手も可能となっている。また、外国人観光客が効率的に市内を周遊できるよう、交通事業者と連携し、公共交通1日フリー乗車券「福岡ツーリストシティパス」を開発支援し、さらに外国人観光客の受け入れ環境の向上のため、飲食、宿泊など、観光関連事業者を対象に、接客や言語対応などをテーマにしたセミナーの開催にも取り組んでいる。
344 ◯森(英)委員 これまでの取り組みを聞いたので、そろそろ本題にいきたいと思う。市としての取り組みもさらに強化すべきだと思うが、おもてなしの第1線に立つのは、飲食業、小売業、サービス業、宿泊業、運輸業などの民間事業者である。福岡空港や博多港、博多駅におり立った観光客をもてなし、観光客の福岡市への印象がよくなるのも悪くなるのも、これらの皆さんの取り組みにかかっている。多くの業界団体などが設備の向上を初め、外国語対応など、新たにさまざまな取り組みを行っているが、本市では民間が行うおもてなし力向上の取り組みを支援しているのか尋ねる。
345 △経済観光文化局長 先ほどの答弁のとおり、本市では、民間事業者を対象としたおもてなし力向上を目的としたセミナーなどの開催に取り組んでいるが、民間事業者の取り組みに対する直接的な支援については、現在のところ行っていない。
346 ◯森(英)委員 市は、民間の取り組みへの直接的な支援を行っていないということだが、このような取り組みの蓄積が業界全般の、ひいては市全体としてのおもてなし力向上に大きく貢献するものだと考える。これらの取り組みをさらに促進するために、市でも支援に取り組む必要があると思うが、所見を尋ねる。
347 △経済観光文化局長 現在、急速に増加している外国人観光客を今後とも安定して迎え入れていくためには、市全体としてのおもてなし力の向上が不可欠であり、第一線に立つ民間事業者の役割は非常に大きいものと考えている。このため、民間事業者や各種団体などが連携し、おもてなし力を向上させる取り組みを実施することは、市全体の底上げにもつながるものと考えており、このような民間の取り組みをさらに促進させるよう、その支援について検討していく。
348 ◯森(英)委員 本市にとって、観光の振興は都市の成長に欠かせないものであり、観光プロモーションや魅力づくりはもとより、リピーターにつながるおもてなし力向上を図るため、官民力を合わせて取り組むべきと考えるが、市長の所見を尋ねる。
349 △市長 福岡市は、第3次産業が9割ということで、これまでMICE、観光客の誘致による交流人口増により、まずは短期的な成長戦略を実践していこうとチャレンジしてきた。そして今、実際に入り込み観光客数もふえてきている。さらに、今後、来年はライオンズクラブの世界大会、2019年のラグビーワールドカップ、そして20年はオリンピック・パラリンピックが予定されており、これからもますます海外からも含め、たくさんの人が訪れると思う。議員指摘のように、リピーターをふやしていくためには、福岡に1回来てみて、その経験がとてもよかったと思ってもらうことが今後のリピートにつながってくるし、またカントリーリスクもあるため、これからは幅広い国から誘客するということも、重要になってくると思う。今、非常な勢いで台湾やタイからの入り込み観光客数がふえており、来てよかった、そして一番おもてなしがよかったと言ってもらうためには、議員指摘のような、民間との連携が非常に重要になってくる。実は先日、ぐるナビと福岡市で包括連携協定を締結した。これは、ぐるナビが有料で行っているサービスを3カ月間無料とし、海外からの訪日客をどう迎えてよいかわからない飲食店に対し、接客や交流に関するセミナーを行ったり、メニューを外国語でつくったりするものであり、たくさんの飲食店が参加した。また、MICEの参加者に対しては、福岡の飲食店に行きたいときに予約を代行するサービスも始めており、民間と連携し、民間のおもてなしの努力と一緒に、官民連携で、福岡に来た人が、またリピーターになるような取り組みをこれからもしっかりと行っていきたい。
350 ◯森(英)委員 ぜひよろしくお願いしたい。次に、博多バイパスの整備と周辺市道の交通安全対策について質問する。この質問は土地勘がないと大変わかりにくい質問だと思うが、大変重要なことであるため、御理解いただきたい。現在ある国道3号は福岡市の東部地域における主要な幹線道路であることから、交通が集中し、慢性的な交通渋滞が発生しており、通勤、通学や買い物などの市民の日常生活や、物流拠点である福岡空港や博多港、鉄道貨物ターミナルなどの物流活動に大きな影響が出ている状況である。このため、現在国土交通省により、福岡市東区下原から二又瀬を結ぶ国道3号博多バイパスの整備事業が進められているところであるが、この道路の1日も早い完成を多くの市民も待ち望んでいる。そこで、この博多バイパス整備に関する費用として、26年度に本市が負担した金額を尋ねる。
351 △
道路下水道局長 26年度の博多バイパス整備に関する本市負担は、直轄工事費負担金として2億6,313万円余である。
352 ◯森(英)委員 次に、博多バイパス整備の進捗状況について尋ねる。
353 △
道路下水道局長 国土交通省において、東区二又瀬から下原までの延長7.7キロメートル、幅員30メートルから32メートルの6車線道路として昭和43年度に事業化され、現在、二又瀬から松崎の多々良中学校西交差点間の4.4キロメートルが開通している。現在、残る多々良中学校西交差点から下原までの区間3.3キロメートルにおいて整備が進められているところである。
354 ◯森(英)委員 国において事業推進が図られていると考えているが、博多バイパスの開通予定を尋ねる。
355 △
道路下水道局長 国土交通省から29年度全線開通予定と聞いている。
356 ◯森(英)委員 次に、その博多バイパスが整備される地域への影響についてであるが、現在整備中の博多バイパスと既存道路が接続する交差点は、どのようなところに整備されるのか。
357 △
道路下水道局長 香椎2丁目の香椎芹田公園付近と石坂池付近及び香椎駅東3丁目のオークタウン入口交差点付近の3カ所に新設される予定である。さらに、博多バイパスと香椎参道との取りつけ道路について検討を進めているところである。
358 ◯森(英)委員 今、検討中と答弁のあった博多バイパスと香椎参道との取りつけ道路の整備は、香椎参道の渋滞緩和や国道3号下原への抜け道として通過している車両を減らすためにも、大変重要な道路である。そこで、この香椎参道との取りつけ道路の検討状況について尋ねる。
359 △
道路下水道局長 香椎参道との取りつけ道路については、香椎参道の香椎宮の前からJR香椎線をまたぎ、博多バイパスに接続する計画としており、その沿線地域の方々に対し、26年度からこれまで、事業計画の説明会を5回実施しており、今後も引き続き説明会を実施する予定としている。
360 ◯森(英)委員 この取りつけ道路は、大変重要な道路である。担当課長は非常に頑張っており、評価している。一部反対のある中、一生懸命、重ねて説明会を開き、理解いただく努力をしているが、実は、平成29年の博多バイパスの開業にもし間に合わなければ、間に合わない分だけ、ものすごい交通渋滞が発生すると思っている。香椎参道を青葉方面から来ると、この道がなければ、博多バイパスに入る際に右折しなければならない。ところが、香椎参道には右折するスペースがない。右折車両がたまってしまうと、今でも交通渋滞があるのに、さらにひどくなる。そのため、できるだけ早い事業着手をお願いしておきたい。一方、博多バイパス供用後には、香椎2丁目の香椎芹田公園周辺に整備される交差点にかなりの交通量が集中することが考えられるが、この香椎芹田公園周辺の交通安全対策について尋ねる。
361 △
道路下水道局長 香椎芹田公園周辺については、国や県警とも協議しながら、博多バイパスと接続する市道に歩道を確保するなど、特に歩行者の交通安全対策の検討を進めている。
362 ◯森(英)委員 国交省がかなり広めに用地を買収しているということで、ここは余り心配せずともよいのではと思う。それでは次に、香椎駅東地区のオークタウン入口交差点周辺の交通安全対策について尋ねる。
363 △
道路下水道局長 オークタウン入口交差点周辺については、博多バイパスと立体で交差する県道町川原福岡線において、交通安全対策として本市が歩道整備を進めている。
364 ◯森(英)委員 幹線道路と立体で接続するということで、ここも余り心配をしていない。次に、石坂池付近にも交差点を設置するとのことであるが、現在でもその周辺の道路は幅員が狭い上、交通車両が多く、さらには通学路に指定されていることから、生徒の登下校の時間帯には危険と感じられることが見受けられる。石坂池周辺の道路に関する、これまでの地元要望及びその対応について尋ねる。
365 △
道路下水道局長 石坂池周辺の道路については、これまで国や本市に道路の拡幅や歩道設置などの要望がなされている。24年度には、中学生が安全に登下校できる通学路の整備に関する陳情がなされたことから、市道長谷香椎線の石坂池から香椎第3中学校正門付近において、車道幅員を減少させ、路側帯カラー化やガードパイプの設置による視覚的、また物理的分離による安全な歩行空間の確保を行ったところである。
366 ◯森(英)委員 この道は香椎第3中学校のすぐ前の道路であるが、大変狭い道で、生徒たちをより安全に通学をさせたいということで、こうしたガードパイプが設置された。おかげで大変安全に子どもたちが歩けるようになったが、一方で、車道幅員はかなり減り、4.5メートル程度となっている。この道路は今でも混んでいるのに、幅員30メートルの6車線の道路と交差すると恐らく博多バイパスに入る直進の車、左折する車、右折する車がここに集中し、車が動かない状況になると思う。毎朝、交通渋滞が起きており、離合ができない道路が幅員30メートルの6車線のバイパスと交わる。また、この道路に交わる道路もかなり狭く4メートルないような道路に接続しており、国道の30メートルの道路と交差すると、大変危険であるし、また、交通渋滞がかなりひどくなるのではないかと思う。周辺道路について、抜本的に対策を検討する必要があると考えるが、所見を尋ねる。
367 △
道路下水道局長 石坂池周辺の道路は、市道長谷香椎線において、車道幅員が4メートルから5メートル程度であり、その周辺道路も狭隘道路が存在するなど、車両が通行しにくい感があることは認識している。このため、博多バイパス整備にあわせた周辺道路の交通安全対策については、国や県警と協議を行いながら、調査・検討していく。
368 ◯森(英)委員 平成29年に完成予定であるため、それまでにしっかりと検討し、何か知恵を絞らなければ、とんでもない渋滞と事故が起こる可能性がある。ぜひしっかりと、国、県警と協力しながら検討されたい。最後に、副市長に博多バイパスの早期開通と、交差点周辺の市道の交通安全対策についての決意を尋ねて、私の質問を終わる。
369 △中園副市長 国道3号博多バイパスについては、現在の国道3号の交通混雑の緩和を図り、福岡空港などの広域物流拠点への円滑なアクセスを目的として、東区二又瀬から下原までの7.7キロメートルの区間が国土交通省において昭和43年度に事業化されているところである。平成元年までに、東区二又瀬から国道201号松島間の2.6キロメートルが開通し、平成20年時点で、松崎までの総延長4.4キロメートルが開通している。この道路は、本市の市民生活や経済活動にとって非常に重要であると認識しており、29年度の全線開通に向けて、引き続き国に対し強く要望していく。また、国道3号博多バイパスの整備により、新たに設置される交差点周辺の市道については、私も現地の状況を確認したが、指摘のとおり、課題があると考えている。今後、国や県警と協議しながら、市民が安心して暮らせるよう、交通安全対策にしっかりと取り組んでいく。
370 ◯阿部(正)委員 福岡市民クラブを代表して、志賀島の活性化について、消費生活相談業務について質問する。志賀島の活性化においては、ことし1月、志賀島小学校の存続について地元から請願が出された。140年にわたり島内の子どもたちを育み、また地域コミュニティの核として地域の伝統や文化を受け継ぐ役割を担ってきた小学校の存続を求める請願であったが、教育環境の整備という直面する課題もあることから継続審査となっている。志賀島小学校の教育課題と志賀島校区における現在の取り組みはどのようになっているのか。
371 △教育長 志賀島小学校については、児童数の減少により、集団を前提とした教育活動が困難となるなど、過小規模によるさまざまな教育課題を抱えているため、課題解決の手法として、勝馬、志賀島、西戸崎の3小学校と志賀中学校を統合再編した施設一体型の小中連携校の整備を提案しているところである。現在、志賀島校区については、自治協議会や地域住民、保護者、教育委員会で、志賀島校区教育環境検討委員会を設置し、志賀島校区の教育環境整備の方向性について協議を行っており、合意形成を図った上で事業を進めていく。
372 ◯阿部(正)委員 志賀島は非常に豊かな自然に囲まれており、小学校の近くには幼稚園、保育園もある。可能であれば空き教室を使ったフリースクールの誘致なども検討されたい。旧志賀町は昭和46年4月に本市に合併され、当時の現状認識として、昭和33年をピークに人口が減少していること、地域の振興と生活環境の整備が急務であること、全就業者の39.4%が本市へ就業、通学していることなどから、本市への依存度がさらに高まっていくと考えられており、合併当時から人口減少に対する危機感があったことがうかがえる。この20年間で志賀島の人口はどのように推移しているのか。平成7年以降の志賀島島内の世帯数並びに人口、特に生産年齢人口の推移はどのようになっているのか。
373 △総務企画局長 志賀島島内の世帯数、人口並びに生産年齢人口の推移について、住民基本台帳に基づき平成7年から5年ごとの推移を各年9月30日時点の数で言うと、平成7年は793世帯、2,651人、そのうち生産年齢人口は1,676人、平成12年は794世帯、2,419人、そのうち生産年齢人口は1,523人、平成17年は791世帯、2,208人、そのうち生産年齢人口は1,361人、平成22年は843世帯、2,039人、そのうち生産年齢人口は1,191人、平成27年は6月30日現在で、828世帯、1,754人、そのうち生産年齢人口は911人となっている。
374 ◯阿部(正)委員 人口で約33%、生産年齢人口で約45%減少が進んでいる。保健福祉局が地域活動の検討を行う際、校区状況における傾向を把握するために作成している自然動態の参考データによると、志賀島校区では平成7年からの約20年間において、年平均出生数が7.8人、年平均の死亡数が25.2人となっており、実に20年もの間、毎年、自然に人口減少が続いていることになる。合併当時より人口減少の課題に直面し、ここ20年間でも自然に人口減少が続いている志賀島島内における将来人口をどのように予測しているのか。
375 △総務企画局長 本市において、第9次基本計画の策定に当たり、平成52年までの全市及び平成38年までの各区の人口推計を実施している。志賀島島内の将来人口の推計については、校区ごとの出生・死亡数、転入・転出数など、必要な基礎データがなく、信頼性の高い推計が難しいことから実施していないが、急速な高齢化や人口減少が課題となっている地域があると認識しており、第9次基本計画においても、農山漁村地域など市街化調整区域の活性化を重点事業に位置づけ、取り組み効果を検証しながら施策を推進している。
376 ◯阿部(正)委員 行政が示さなくても、大学などの研究機関に依頼して、人口減少の課題を抱えている地区を幾つか選び、10年後、20年後の将来予測を割り出し、人口減少を抑制する方向性をデータとして示すべきではないか。本市は、20年後の2035年ごろに人口がピークを迎えると言われているが、今回作成された福岡市人口ビジョン原案において、本市の地域別の人口をどのように分析しているのか。
377 △総務企画局長 地方創生に係る地方版総合戦略の策定の中で作成している福岡市人口ビジョン原案については、地域ごとの人口の現状として、校区別の人口増加率及び高齢化率を白地図に色分けし、わかりやすく示した。その結果、本市の中でも地域差があり、特に志賀島や曲渕などの周辺部、都心部近辺でも公営住宅が集まっている地域において、人口減少や高齢化が先行している現状が明らかとなった。
378 ◯阿部(正)委員 人口ビジョン原案の資料には、1990年から2014年の約25年間で30%以上人口が減少している校区が青色で示されており、また、2014年の65歳以上の人口比率が高い校区が赤色で示されている。本市は全体としては人口がふえているが、周辺部については人口減少が続いているため、その地区に合った将来的なデータを示すような研究をぜひしてもらいたい。次に、志賀島における1次産業従事者などの就労形態はどのようになっているか。
379 △総務企画局長 現時点では最新の平成22年国勢調査にある産業等基本集計結果によると、志賀島島内における産業3部門別の15歳以上就業者数については、第1次産業が194人で全就業者の約19%、第2次産業が144人で全就業者の約14%、第3次産業が616人で全就業者の約60%、分類不能が80人で全就業者の約7%となっている。
380 ◯阿部(正)委員 志賀島においては、これまでの人口動態、あるいは就労状況を踏まえて策定された志賀島活性化構想に基づき、活性化に向けた取り組みが進められているが、その背景並びに構想の概要を尋ねる。
381 △総務企画局長 志賀島においては、13年度に国民宿舎しかのしま苑が廃止されたことを契機に、志賀島の自治会、農協、漁協、商工会等で構成される志賀島振興協議会が発足し、総務企画局を初めとした関係局や東区役所が連携しながら、地元主体の活性化の取り組みの支援を行っており、19年度には志賀島活性化構想が策定されている。また、構想の中心理念を海から生まれる島づくりとしており、島づくりの方針として掲げられた、自然と歴史を継承する島づくり、訪れる人をもてなす憩いの島づくり、農漁業の営みを創り伝える島づくり、安心して住み続けることのできる島づくり、ふるさとをみんなで創る助け合いと協力の島づくりに向け、違法駐車の解決や電柱の地中化など、いわゆる道切問題の解決のほか、住み良さづくり、観光の振興の3つのアクションプランを短期の取り組みとして推進していくこととされている。
382 ◯阿部(正)委員 農業、漁業における活性化への具体的な取り組み内容と、その成果、課題を尋ねる。
383 △農林水産局長 農家所得の向上と農業地域の振興を目指して、地域の特産品であるあまおうを即売するあまおうまつりなどの志賀島都市農村交流事業や新規就農を促す青年就農給付金事業を実施している。この給付金事業の活用により、24年度に1名、26年度にも1名の方が新規に就農されており、さらに、地域の農家の方から栽培に関する技術指導を受けることで新規就農を目指す農業インターンシップ事業にも取り組んでいる。漁業については、水産資源の維持回復と魚価所得の向上を目指して、クルマエビ等の種苗を放流する栽培漁業推進事業を実施しており、クルマエビの生産量は前年比で2.6倍の約3.9トン、アワビの生産量が1.3倍の約2.5トンに増加している。また、磯焼け等で焼失した藻場の再生を図るために、豊かな海再生事業を継続して行っており、堅調に藻場が回復しつつある。さらに、志賀島の朝市、弘の夕市や親子漁業体験を支援する売る漁業推進事業を通じて、志賀島における水産物の消費の拡大及び市民の魚食普及に努めているが、農業、漁業とも高齢化や後継者不足による活力低下が懸念されていることから、志賀島振興協議会等と連携しながら、引き続き農業、漁業の活性化に取り組んでいく。
384 ◯阿部(正)委員 島内観光における活性化への具体的な取り組み内容と、その成果、課題を尋ねる。
385 △経済観光文化局長 志賀島における観光振興については、24年度に集客促進に向けた調査を実施し、その一環として地域の方々にも参加いただき、取り組むべき方向として、志賀島のグルメの開発、恵まれた自然の景色、景観の活用、金印に代表される歴史資源の活用の3つをまとめ、集客促進の取り組みを進めているところである。25年度には、地元事業者との共働によるご当地グルメ志賀島金印カレーの開発、提供や、情報提供ツール「志賀島じゃらん」による志賀島の魅力発信などに取り組み、また、26年度には、地域の方々とともに島をめぐる回遊ルートの開発や、これに基づくガイドブック「ようこそ志賀島」の発行、九州産業大学との連携による島おこしイベントの開催などにも取り組んでいる。主な課題としては、志賀島の有する自然や歴史資源のさらなる磨き上げや、その情報発信の強化などがあるが、地域や大学などとの連携が進んでおり、市としても、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えている。
386 ◯阿部(正)委員 市営渡船志賀島航路の乗客数、乗客収入について、3年間の推移を尋ねる。
387 △港湾局長 志賀島航路の乗客数については、24年度は年間20万4,460人、25年度は20万4,157人、26年度は18万8,607人となっており、乗客収入については、24年度は8,100万円余、25年度は8,200万円余、26年度は7,600万円余となっている。
388 ◯阿部(正)委員 昭和46年4月の合併時における糟屋郡志賀町の本市への編入に関する協定書においては、「渡船事業については、志賀町民の意思を尊重し、町民の利便を確保するとともに、観光事業振興のため効果的な運営を図るものとする」とあることから、本市は、これまで乗客数が年々減少傾向にあっても、多額の繰入金を負担しながらも存続し続けてきた。今後も、存続するからには、この路線を志賀島の活性化のための財産と位置づけて、人を呼び込むための重要なツールとして活用していかなければならないと考える。例えば、近年、サイクルツーリズムの人気が高まり、志賀島においてサイクリスタをよく見かけるようになったが、このような人々をターゲットに、志賀島航路では本年4月から自転車運賃を通常の420円から100円としているが、利用状況はどのようになっているか。
389 △港湾局長 志賀島航路においては、市営渡船事業の経営改善、あるいは志賀島への観光集客などを目的として、本年4月1日より1年間の社会実験として自転車運賃の割引を実施している。4月から9月までの半年間の自転車利用は約2,900台で、前年度と比較すると約1.8倍となっている。
390 ◯阿部(正)委員 集客という意味からも、しっかりと取り組んでもらいたい。このように志賀島の観光、集客と連携した航路の増収増客対策が重要と考えるが、ほかにどのような取り組みを行っているのか。
391 △港湾局長 志賀島の観光・集客と連携した航路の増客増収の取り組みについては、金印マラソンや志賀海神社薪能など、志賀島で開催されるイベントに合わせた臨時便の運航を行っている。また、市営渡船寄港地の観光情報等の発信や渡船のPR強化を図ることを目的として、本年6月に福岡市営渡船フェイスブックを開設したほか、市政だよりやフリーペーパーに市営渡船の特集を掲載し、この中で志賀島の観光情報の発信も行っている。
392 ◯阿部(正)委員 このほかの志賀島の地域振興における具体的な取り組み内容と、その成果、課題を尋ねる。
393 △総務企画局長 総務企画局としては、東区役所と連携し、志賀島の地域資源を活用したまちづくりの推進の契機となる金印まつりの開催を支援するとともに、志賀島振興協議会が行う地域主体のまちづくりの支援を行ってきた。金印まつりは、金印マラソンや地びき網体験、シンポジウム等のイベント開催により、毎年約3,300人から3,900人を集客しているが、地域住民は、イベントを活用した集客や活性化も必要であるが、人口減少や高齢化の進展への対応がより重要な課題であるとの認識を持ち、26年度には、地域において、志賀島活性化構想の見直しの機運が高まり、現在、地域主体により、その見直しに取り組んでいるところである。
394 ◯阿部(正)委員 これまで地元と連携して、活性化についてサポートしてきたことは認識したが、人口の減少に歯どめがかかっていないという現実はある。志賀島は自然が豊かで、歴史ある志賀海神社が鎮座し、金印公園や潮見公園など観光資源が満載である。金印公園は再整備が行われるとのことだが、潮見公園については、初めて行った人からは、公園に行くまでの表示が樹木に覆われて見にくいとの話があった。個人の樹木であれば勝手には切ることができないかもしれないが、観光資源をしっかり活用するためには、ぜひ点検もしてもらいたい。まちづくりは地域が主体であり、課題を共有して、それを行政がサポートすることが基本である。人口減少や高齢化の進展への対応が、より重要な課題であるとの認識が高まっており、10年後、20年後の将来人口推計等のデータを示すことによって、より現実的な取り組みにつながるのではないかと考える。9月定例会において条例改正が行われた市街化調整区域における定住化制度とはどのようなものか。
395 △住宅都市局長 市街化調整区域における定住化促進のためには、地域外からの転入者などが新規に居住することができる制度などが求められたことから、平成16年に、都市計画法第34条第11号に基づく区域指定型の制度を創設しており、既存集落内において、道路幅員等一定の基盤整備がされている区域を指定し、その区域内においては、一定の要件を満たせば誰でも住宅などの建築を可能としている。加えて、空き家を賃貸住宅として活用したいとの地域の要望を受け、平成26年10月には、一定の要件のもと、既存空き家住宅の賃貸化を許可する制度を追加している。さらに平成27年9月に、開発行為の許可等に関する条例を改正し、一部に狭隘な道路を含む既存集落においても、一定の要件を満たせば誰でも住宅などの建築が可能となる都市計画法第34条第12号に基づく新たな区域指定型の制度を追加している。
396 ◯阿部(正)委員 人口減少や少子・高齢化等の課題を抱える志賀島地域や北崎地区など、地区ごとに定住化制度を策定できなかったのはなぜか。
397 △住宅都市局長 市街化調整区域の既存集落における定住化制度については、地域外からの転入者が新規に居住できないことが、定住化に取り組む集落に共通する課題であると認識している。一方で、集落の特性に応じ、定住化または活性化のために必要とされる建築物の用途が異なることも考えられるため、平成27年9月に条例を改正して追加した区域指定型の制度においては、指定した区域内で許容する建築物の用途について、一戸建ての住宅を基本に、兼用住宅、小規模店舗及び共同住宅なども選択可能とするなど、地域の実情に応じて適用できる制度としている。
398 ◯阿部(正)委員 この質問に当たり、勉強会等で担当者から、定住化制度の効果は10年ぐらい様子を見ないとわからないというような話を聞いた。当然、地元の要望があり、行政が一方的には進められないかもしれないが、将来人口が減っていくと思われる地域は、もう少し対応の仕方があったのではないか。人口減少で働き手が減っているということは子育て世帯が減っているということであり、それらが学校の存続問題にまでつながっている。地元には学校を残してほしいという切なる願いがあるが、今でも特別支援学級の子どもが2人しか通っておらず、これから子どもをふやしていくことはかなり至難のわざであるため、こういう状況になってしまったことは非常に残念である。志賀島における定住化制度活用における具体的な取り組みについて尋ねる。
399 △住宅都市局長 志賀島における新たな制度の活用による定住化の取り組みについては、平成26年10月の既存住宅賃貸化制度の創設の後、26年度末に志賀島振興協議会と共働により空き家調査を実施し、現在は協議会において、調査結果をもとに制度を活用した定住化の検討が行われている。また、平成27年9月に条例を改正した新たな制度について、複数の自治会が参加した勉強会が開催されているところであり、本市としても、地域の取り組みに対する支援を行っている。
400 ◯阿部(正)委員 定住化、移住化支援に積極的に取り組んでいる徳島県神山町の例を紹介する。神山町は徳島市内から車で約1時間、世帯数約2,500戸、人口約5,900人の農林業を主な産業とする山合いの町である。神山町が注目されている主な理由は、平成23年に、町が始まって以来、初の人口転出数を転入数が上回るという社会増を実現したことにあり、移住者への支援などのプロセスが、俄然注目を浴びることになったものである。最盛期には約2万人近くいた神山町の人口も、林業が衰退し、日本中の中山間地と同じく、若者の町離れや住民の高齢化など、さまざまな課題を抱える過疎の町であったが、おおよそ20年をかけてグラフィックデザイナー、ウェブデザイナー、映像作家など、いわゆるクリエイターと呼ばれる方々を中心に、さまざまな人々が住みつく、または集まる町へと変貌を遂げていった。その中心となるのが、NPO法人グリーンバレーという、主に神山町のまちづくりを担う、ほとんどが地元出身の集団である。一言で言えば、町内の空き家を活用し、起業を希望する方、オフィスを構えたい方、移住したい方とのマッチングなどで、移住を全面的に支援するものであり、これまで85世帯、145人が移住している。NPO法人グリーンバレーの受け入れの特徴は、来る者拒まず、去る者追わずという全くの自然体であり、移住を勧めるようなことは全く言わないが、それでも人が集まってくる状況をつくり上げていることである。一方で、目的もしっかり持っており、子どもがいる家族が移住すれば、学校が存続できるということから、毎年5世帯、夫婦、子ども2人の4人家族で20人を受け入れる目標を掲げて活動している。このNPO法人のコンセプトは創造的過疎である。過疎化の現状を受け入れ、外部から若者やクリエイティブな人材を誘致することによって、人口構造の健全化や、多様な働き方を実現できるビジネスの場としての価値を高め、農林業だけに頼らないバランスのとれた持続可能な地域を目指すものであり、過疎化をポジティブに捉え、人や企業誘致における最大のツールとしているところにある。このNPO法人が実施する主な事業として、IT、映像、デザインなど、いわゆる働く場所を選ばない企業を誘致するサテライトオフィス事業がある。徳島県は、総務省出身の現知事が、情報通信の基盤は東京と何ら変わらないという移住化政策推進のために、県内どこでも光ファイバー網を張りめぐらした利点を生かし、現在まで12社がサテライトオフィスを設置し、約30名の新規雇用も生まれている。この事業では、東京に本社があるテレビ番組の制作会社が空き家を買い取り、リニューアルして本社のバックアップ機能を神山町に移している例もある。ここでは、約20人が勤務しており、パソコンやモニターを設置し、本社と全く同じ状況で仕事ができる環境がつくられている。また、空き家周辺のもともと畑だったところが広場になっており、徳島名物の阿波踊りの時期になると地域に開放して、地域の方と交流されていると聞いた。さらに、近くの田んぼを借りて職員みずから米をつくり、会社の厨房で働く給食調理員を地元から雇っている。これも、光ファイバー等の情報通信基盤が整備されているからこそ、できることではないかと思う。また、その他の事業として、町の将来のために必要になる働き手や起業者の誘致を行うワーク・イン・レジデンス事業、求職者支援訓練による後継人材を育成する神山塾の事業などがある。神山塾では、これまで6期77名が受講し、そのうちの約半分が神山町に移住し、サテライトオフィスに10名就職し、10組のカップルも誕生している。このほかに、カフェやパン屋、地元のオーガニック野菜を使うレストランなども移住者によって運営されている。企業誘致といえば、工業団地などの整備を想像してしまうが、神山町の取り組みは、ネット環境さえしっかりしていれば対応可能であり、まさにネット環境が整備され、豊かな自然環境に囲まれている志賀島にはぴったりのモデルではないか。しかしながら、まちづくりの中心は地元であり、地元の方々のいろいろなアイデアによって魅力を発信し、人や企業を誘致し、あくまで行政はサポート役であることは神山町でも同じであった。NPO法人の話では、定住化を行政が担当しているところは、補助金等のインセンティブにより移住希望者を取り合う状況が生まれているとのことであり、それをよしとしない、自然に人が集まるような環境、雰囲気をつくっている神山町に非常に人気が集まっているのではないか。志賀島の活性化に向けて、農林水産業に限らず、観光や企業誘致など、定住化、移住化を促進するためには、仕事の創出に取り組む必要があると考えるが、所見を伺う。
401 △貞刈副市長 志賀島においては、人口減少や高齢化の進展による活力低下により、農林水産業の振興やコミュニティの維持など、さまざまな課題を抱えていると認識している。志賀島の活性化のためには、豊かな自然環境と金印などの歴史資源、あまおうを初めとした新鮮な農水産物、都市部との近接性を生かし、農林水産業や観光などの産業振興に取り組むことが重要と考えている。そのような中、現在策定中の福岡市まち・ひと・しごと創生総合戦略において、主な事業として自然と調和した市街化調整区域のまちづくりを掲げるなど、地方創生の観点から施策を推進していくこととしている。今後も引き続き、総務企画局や住宅都市局、農林水産局を初め、地域に最も近い区役所など、関係部局が連携し、規制緩和による民間活力の導入など、地域特性を生かした地域主体の取り組みを支援していく。
402 ◯阿部(正)委員 次に、消費生活相談業務について尋ねる。昨年の決算特別委員会においても、消費生活相談業務における委託については、政令市中、本市を含むごく少数の自治体が委託という形態をとっており、消費者相談の専門家集団である県の弁護士会からは、委託はそぐわないとの意見書が出されていることなどを指摘した。さらに、ことし4月には、本市の消費生活相談業務における民間委託の事例が国会で取り上げられたが、これは、本市が民間営利企業へ委託していることに対して、消費者庁の見解を求める趣旨のものであり、あくまで一般論として、民間委託について専門性を有する民間団体のノウハウの活用などのために行われてきた例、行政改革の一環として民間委託が選択される例、価格を重視して一般競争入札により受託者が決定される例などが見受けられ、消費生活相談の質の低下が懸念されることから、消費者トラブルに直接的な利害関係がないこと、活動実績が消費者の権利の尊重及び自立の支援に資するものであること、委託を受けた者が相談等の業務を積極的に行う意思があり、かつ体制を整えているかなどを踏まえて、慎重に判断することが必要であるとの見解が示された。まず、消費生活センター相談事業経費の3年間の推移を尋ねる。
403 △市民局長 消費生活センターの相談事業経費については、24年度は3,908万円、25年度は3,851万7,000円、26年度は3,995万4,000円となっている。
404 ◯阿部(正)委員 26年度は経費が増加しているが、理由は何か。
405 △市民局長 26年度の経費が25年度に比べ増加した理由は、相談員が研修に参加するための旅費の増額や消費税率の引き上げに伴うものである。
406 ◯阿部(正)委員 本市の消費生活相談件数の3年間の推移並びに政令市における順位を尋ねる。