福岡市議会 > 2015-10-08 >
平成27年決算特別委員会 本文 開催日:2015-10-08

  • "住所"(/)
ツイート シェア
  1. 福岡市議会 2015-10-08
    平成27年決算特別委員会 本文 開催日:2015-10-08


    取得元: 福岡市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  10月8日  午前10時0分開会        午後0時13分休憩         〃 1時15分再開         〃 2時54分休憩         〃 3時5分再開         〃 4時58分閉会 議案審査  議案第167号ないし議案第191号、以上25件を一括して議題とし、審査を行った。  なお、質疑・意見は次のとおりである。 2 ◯高山委員 本市では、24年度の市の全ての随意契約について自己点検しているが、市としてどのような方針を出したのか。 3 △財政局長 随意契約総点検は、全ての随意契約について点検を実施し、競争性のない随意契約については競争性のある契約手続に移行できないか検討を進め、その結果を取りまとめたものであり、24年度の契約ベースで約147億円の随意契約について見直す予定としたものである。 4 ◯高山委員 外部委員による福岡市公正入札監視委員会を設置し、厳しく検討してきた結果についてはどうか。 5 △財政局長 福岡市公正入札監視委員会から提出された意見書においては、第1に家庭ごみ収集運搬業務について、第2にし尿転廃業対策あっせん業務について、第3に外郭団体との随意契約について、第4に随意契約についての統括的なモニタリング体制について記載されている。本市としては、福岡市公正入札監視委員会からの意見を重く受けとめ、引き続き見直しに取り組んでいきたい。 6 ◯高山委員 福岡市公正入札監視委員会の意見書では事業系のごみについて言及されていないが、その理由を尋ねる。 7 △財政局長 ごみの関連で言えば、総点検に係る意見書において、家庭ごみ収集運搬業務について記載されている。 8 ◯高山委員 し尿転廃対策あっせん業務は、転廃の所期の目的は達成されており、終期について協議するようにと記載されている。し尿処理施設管理業務は3年以内に、それ以外は5年以内に競争性のある契約手続へ移行するようにとなっているが、し尿処理転廃対策事業の15社50業種の対策の終期の状況を尋ねる。 9 △環境局長 福岡市公正入札監視委員会から意見が出された後、関係事業者と精力的に協議を行い、その結果、本市が契約している7社13業務のうち、下水処理施設管理等業務の4社4業務については28年度末までに、それ以外の建物清掃、除草業務等の3社9業務については30年度末でそれぞれあっせんを終了することとなった。また、本市の外郭団体等が契約している4社4業務は30年度末であっせんを終了することとしており、残り1社1業務については福岡県の外郭団体が契約しているため、現在、福岡県と連携を図りながら事業者とあっせん終了に向けた協議を重ねているところである。15社50業務の内訳で言えば、業務あっせんが終了しているものが9社26業務、業務発生しているがあっせん終了時期を設定しているものが9社23業務、あっせん終了時期の設定に向け現在も協議を重ねているものが1社1業務となっている。 10 ◯高山委員 15社50業務のうち、西公園の中部水処理センター機器運転保守業務ほかを受託しているキュウセツAQUA(株)への26年度の発注額は合計で幾らか。 11 △財政局長 キュウセツAQUA(株)との26年度当初契約における契約総額は、約15億9,800万円である。
    12 ◯高山委員 それは特命随意契約か。 13 △財政局長 特命随意契約によるものと、見積もり合わせによるものとがある。 14 ◯高山委員 運転保守業務13億2,300万円と脱水汚泥の輸送処理業務10億6,300万円は特命随意契約によるものと思うが、どうか。 15 △道路下水道局長 中部水処理センターほか機器運転保守業務委託及び中部水処理センター脱水汚泥輸送処理業務委託については、いずれも特命随意契約である。 16 ◯高山委員 新西部水処理センターほか運転業務もキュウセツAQUA(株)へ発注しているが、発注時期及び発注金額について、また、特命随意契約によるものか、尋ねる。 17 △道路下水道局長 新西部水処理センターほか機器の運転保守業務委託については、25年度に制限つき一般競争入札を行い、5社による入札の結果、キュウセツAQUA(株)が受注となったもので、26年度の委託契約金額は9,720万円である。 18 ◯高山委員 中部水処理センターは40年経過していることから仕方がないとしても、新西部水処理センターのように新しい施設についても随意契約というのは納得できない。なぜ随意契約か、説明を求める。 19 △道路下水道局長 新西部水処理センターほか機器の運転保守業務委託については、制限つき一般競争入札で契約を行っている。 20 ◯高山委員 キュウセツAQUA(株)の26年度末の利益剰余金と負債額は幾らか。 21 △財政局長 把握していない。 22 ◯高山委員 昭和41年の転廃対策事業から、50年近くも特命随意契約で契約しておきながら、会社の業務内容はわからないということか、再度尋ねる。 23 △財政局長 キュウセツAQUA(株)の26年度末の利益剰余金と負債額については把握していない。 24 ◯高山委員 ほかの件は把握しているのか。 25 △財政局長 キュウセツAQUA(株)の26年度末の財務状況については把握していない。 26 ◯高山委員 これほど随意契約や競争入札が社会的に注目を浴びているのに、把握していないのか。貸借対照表によると平成24年3月31日現在、キュウセツAQUA(株)は、利益剰余金63億5,500万円、負債金合計が23億円、差し引き40億円が純粋な利益の剰余金になっており、別途、積立金も62億円あるなど、優良な会社である。これほどの取り引きを行っていながら、内容を全く言わないとは、非常に納得がいかない。キュウセツAQUA(株)の社長は本市のOBか。 27 △道路下水道局長 本市のOBと聞いている。 28 ◯高山委員 (株)環境開発は、26年度に本市及び外郭団体から幾ら受注しているのか。 29 △財政局長 本市及び本市の外郭団体と(株)環境開発との26年度当初契約における契約総額については、約37億7,700万円と把握している。 30 ◯高山委員 37億円余のうち、特命随意契約によるものは幾らになるのか。 31 △財政局長 約37億7,700万円のうち、特命随意規約によるものは、約19億7,800万円と把握している。 32 ◯高山委員 26年度競争入札資格審査の申請手続における(株)環境開発の資料の貸借対照表及び損益計算書において、純資産、当期純利益、利益剰余金は幾らになっているか。 33 △財政局長 (株)環境開発の財務状況について、公表されている情報で、現在把握しているところでは、平成26年3月期で、利益剰余金が56億5,067万4,000円と把握している。 34 ◯高山委員 (株)環境開発は負債も相当あり、一概に利益剰余金だけでは述べられないが、企業努力として認めておきたいと思う。本市のごみ処理事業は、包括外部監査で13業者との特命随意契約により維持され、多額の委託料が支出されていることから、市民に情報開示することにより透明性、公平性を高めるべきだと2002年に意見が出されているが、何を請求しても資料が出されない。し尿転廃業者の15社の経常収益状況は完全に安定していると思っているが、直近の資料で、この15社の平均的な状況を示されたい。 35 △環境局長 手元に資料を持ち合わせていない。 36 ◯高山委員 今までずっと資料要求してきたが、一切出さない。調査によると、し尿転廃対策について、平成24年3月31日現在の15業者の収支状況は、負債を除いて、平均5億3,555万円の利益剰余金があるが、承知しているか。 37 △環境局長 指摘の内容はそのとおりである。 38 ◯高山委員 これ以上安定した企業はないのではないか。20年前からずっと言ってきたことでもあるが、福岡市公正入札監視委員会の提言どおり、きちんとした形で終期を確定すべきである。三笠特殊工業(株)については話がついたのか。 39 △環境局長 質問のあっせん終了時期が確定していない1社については、福岡県の外郭団体が契約している事業者であり、現在、福岡県と連携を図りながら、あっせん終了に向けた協議をその事業者に対し重ねているところである。 40 ◯高山委員 家庭系ごみについて、福岡市公正入札監視委員会は、14社と特命随意契約により継続している家庭ごみ収集運搬業務について、まずはモデル的に実施することを含め、26年度中をめどに競争性を導入する方向での検討を行い、その結果を公表すべきと言っているが、モデル的な事業は進んでいるのか。 41 △環境局長 家庭ごみ収集運搬業務委託契約のうち、粗大ごみは事前申し込み制で、排出者、排出場所、排出品目が特定され、かつ昼間の収集であることから、競争性を導入し、新規業者が参入した場合でも業務を滞りなく実行できる可能性が高いと判断しているが、燃えるごみ、燃えないごみ及び空き瓶、ペットボトルについては、市民から高い支持を得ている夜間、戸別収集であり、収集場所や道路事情等の地域特性を熟知し、蓄積されたノウハウと経験を要する難度の高い業務である。一日でも収集が滞ることとなれば、市民の健康や生活環境への影響が懸念されることから、粗大ごみの結果等を踏まえて、ふくおか環境財団が担当する地域も含めて、引き続き検討することとしている。 42 ◯高山委員 福岡市公正入札監視委員会の意見では、26年度をめどに検討を行うようにとなっているが、それが進んでいるのかと聞いている。26年度は終了しているが、どの程度の進捗状況か。 43 △環境局長 モデル自主事業については、28年度から2年間、7区のうち1つの区において実施し、市民対応を初めとして、収集漏れや収集遅延がないかなど、業務の履行状況を確認の上、市民サービスの水準が低下しないかを検証して、30年度から段階的に本格実施に移行したいと考えている。 44 ◯高山委員 家庭ごみの収集の問題であって、粗大ごみの収集の問題を議論しているのではない。環境局が扱っているごみは、一般家庭から出るものとして可燃ごみ、不燃ごみ、空き瓶、ペットボトル、粗大ごみとあるが、一番少ないのが粗大ごみである。家庭ごみは夜間に収集しているため、モデル事業については夜間に実験すべきである。粗大ごみは注文制で昼間に収集しており、決算額としては5億円程度の取扱高で、家庭系ごみの中では最も割合が少ない。家庭ごみ収集運搬業務については、モデル的に実験して、26年度中をめどに検討を行い、競争性のある契約手続への移行をとの提言に関して、26年度に何か行ったのか。28年度からモデル的に実施して、30年度から漸次実施すると言って、何も実行していない。2002年の包括外部監査による指摘から今まで何年たっているのか。環境局は、家庭系ごみへの競争性導入のためのモデル実験として、まず粗大ごみで実施すると答弁したが、粗大ごみは家庭系ごみ全体の6.7%にしか過ぎず、しかも唯一、昼間に注文収集するものであり、検証するには不適格ではないか。家庭系ごみ不燃物ごみ、空瓶、ペットボトルなどほかは全部夜間収集であり、粗大ごみは注文したものを予約制で昼間に収集する。可燃ごみは夜間の収集であるため、夜間の収集が特殊能力という理由で特命随意契約と言っているが、夜間の収集の主力は全体の4分の3を占める可燃ごみであって、その対策が問題なのではないか。それを28年度、29年度に粗大ごみで実験して、30年度以降、段階的に実施するとはどういうことか。この問題を指摘してから20年ぐらい経過しており、当局は結論を一日でも延ばそうとしているようだが、どのように考えているのか。 45 △環境局長 指摘のとおり、家庭ごみの収集の中では燃えるごみが一番量も多いものとなっているが、戸別収集という特殊な方法により収集しているものでもある。市民から高い支持を得ているこの収集方法は絶対に崩してはならないと考えており、粗大ごみについて最初に戸別収集の実証的な収集段階等を検証し、少しずつ課題を解決しながら、最終的には燃えるごみについても検討していきたい。 46 ◯高山委員 家庭系ごみは、市の外郭団体であるふくおか環境財団が収集しており、26年度は7,700万円分を収集しているが、主力の可燃性ごみふくおか環境財団で実験し、早急に競争性を導入すべきではないか。競争性導入の完了時期はいつになるのか明言されておらず、30年度から段階的に移行するとの答弁であるが、けじめをどのようにつけていくのか。福岡市公正取引監視委員会の意見では、26年度をめどに検討を行い、その結果は公表されるべきであるとされており、競争性の導入を急げというものである。一番割合の少ない粗大ごみは電話で注文し、日時を決めて出したものを昼間に収集に来る。夜間の戸別収集は守るという説明であるが、夜間の収集をやめろとは言っていない。夜間収集は、本市の先人がつくった大変よい仕組みだと思っており、これを崩そうとは思っていないが、ふくおか環境財団がごみ収集を実施しているのであれば、一般家庭から排出されるごみで実験して早急に移行できないのか。 47 △環境局長 それらの課題については、ふくおか環境財団が担当する地域も含め、今後引き続き検討していくこととしている。 48 ◯高山委員 終期を決めるべきである。少しずつ検討と言っても、転勤や異動、退職等により職員が入れ替わって当てにはならない。競争原理の導入は、20年前から出ている話である。家庭系ごみ収集13社の収益状況、経営状況は把握しているのか。1社平均どれくらいの収益か、直近の決算で示されたい。 49 △環境局長 公益財団法人ふくおか環境財団を除く燃えるごみの収集運搬委託業者13社の決算の平均については、純利益が約1,900万円、預金現金額が約3億2,100万円、純資産が約6億円、従業員数が44人、保有車両台数が12台となっている。 50 ◯高山委員 それはいつの決算か。純利益が約1,900万円との説明であるが、私の試算によると、純利益は3,700万円、現金と預金が3億2,130万円、純資産で1社当たり6億8,281万円持っている。既に超一流の立派な企業に育っているのではないか。28年度から粗大ごみで実験して、30年度以降、順次本格実施に移行と言っても、今までの過去20年間は何もしていない。きちんと終期を決めてもらいたいと思っている。決算の数値に間違いはないか。 51 △環境局長 答弁した数字は、26年度決算の平均である。 52 ◯高山委員 可燃性のごみについては、13社と、市の外郭団体のふくおか環境財団が収集運搬しているが、不燃性ごみ、粗大ごみ、空き瓶、ペットボトルの収集を行っている事業者と、埋め立て管理の委託先について尋ねる。 53 △環境局長 燃えないごみ等の収集運搬業務については、福岡環境整備(株)、(株)エフ・ケイ・ケイ、公益財団法人ふくおか環境財団の3社に委託している。埋め立てについては、大成管理開発(株)に委託している。 54 ◯高山委員 それぞれの事業者について、本市のごみ関連での26年度の売り上げの決算額を尋ねる。 55 △環境局長 家庭ごみ収集運搬業務委託料は、福岡環境整備(株)への委託料が26年度は約17億400万円となっている。 56 ◯高山委員 (株)エフ・ケイ・ケイ、公益財団法人ふくおか環境財団、大成管理開発(株)の3社についてはどうか。 57 △環境局長 26年度について、(株)エフ・ケイ・ケイへの委託料は約2億4,300万円、公益財団法人ふくおか環境財団への委託料は約1億100万円、埋め立てを委託している大成管理開発(株)への委託料は約5億1,100万円となっている。 58 ◯高山委員 メーンで受託している福岡環境整備(株)と、埋め立てを受託している大成管理開発(株)の決算内容、会社概要を示されたい。 59 △環境局長 福岡環境整備(株)は、昭和46年に燃えるごみ収集運搬業者13社の役員と15名の個人出資により設立されている。大成管理開発(株)は、昭和42年に設立され、清掃工場から排出される焼却灰の運搬業務、埋立場の管理業務等を現在まで受託している。 60 △財政局長 財政局においては、福岡環境整備(株)の財務状況については把握していない。また、大成管理開発(株)の財務状況について、公表されている情報で現在把握しているところでは、平成26年5月期で利益剰余金が6億5,893万5,000円である。 61 ◯高山委員 指名願いはどこに行っているのか。本市から受注する場合、指名願いというのがあり、それに会社内容や決算状況など全部記載されているのではないのか。昭和46年から44年、昭和42年からは48年経過している。1社のみの特命随意契約で、26年度は17億400万円を福岡環境整備(株)に発注している。指名願いがあれば、その中に当然会社概要があるはずである。福岡環境整備(株)の株主を尋ねる。 62 △環境局長 株主に関する情報については、会社法第125条により、株主名簿の閲覧請求ができるものは株主及び債権者に限定されていることから、福岡市情報公開条例第7条第2号の規定により非公開情報とされている、公にすることにより当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報と判断され、また個人株主に関する情報については、同条例第7条第1号の規定により、非公開情報とされている特定の個人を識別することができる情報とも判断されるため、回答はできかねる。 63 ◯高山委員 環境局は指名願いを受けていないのか。それに基づいて厳しいチェックを行っているのではないのか。会社法で閲覧できないとの答弁であるが、閲覧できないところに50年近くも発注してよいのか。 64 △環境局長 指名願いではなく、委託契約の相手方が法令に定められた委託基準を満たしていることを確認するために各会社に提出させた資料はある。 65 ◯高山委員 2002年の包括外部監査では、適切な情報公開により透明性を高める必要があると考えることや、地方公共団体の契約について、契約手続は結果がよければそれでよいわけではなく、その手続の全てについて適正、公正が保たれていなければならないことなど、情報の透明性を高めるために開示せよということが明瞭に出されている。これが2002年のことで、13年前である。20年前から環境問題を扱っているが、ほとんどなし崩し的な対応である。会社の指名願いというのは、財政局にも環境局にもないのか。 66 △財政局長 福岡環境整備(株)から、直近の期間で、競争入札参加資格審査申請はなされていない。 67 ◯高山委員 2年前の10月21日の決算委員会の質問で、平成25年4月締め切りの競争入札参加資格審査の申請手続において、(株)環境開発が提出した23年度決算に係る資料によると、貸借対照表及び損益計算書において、純資産57億2,000万円余、当期純利益1億5,000万円余、利益剰余金52億5,000万円余となっていると、財政局長は回答している。これは(株)環境開発のことであるが、公の場で、財政局長は自分が発注していると言っている。どこを見ても環境局の発注権限の箇所がなく、財政局に問い合わせると、財政局では指名願いは預かっていないということであり、環境局が発注していると思うが、はっきりしない。このように膨大な金額の取り引きを50年近くも行う中で、外部からも透明性を高めるように明確に指摘されていることについて、どう考えるか。 68 △財政局長 財政局契約課においては、工事や物品、設計等委託などを中心に市全体での発注頻度が比較的高い業種について集中契約を行っており、その他の契約については、各事業の所管局で契約事務を所掌している。 69 ◯高山委員 中部水処理センターの契約額は約13億円であり、小さい金額ではない。26年度の家庭系ごみについては約61億円の支出であり、福岡環境整備(株)だけで17億円を発注している。発注業務は、件数が多く大変だと思うが、肝心なところだけは適切に押さえておくべきである。企業が悪いとは全然思っていない。恐らくこの利益剰余金も、目に見えない努力をして、何十年間かかかっている。会社というのは流れに沿って仕事がとれるように動くのが当たり前であって、会社については一言も非難していない。市として、もう少し凜として、けじめをつけるようにと言っている。業者の内訳を知るために、財政部契約課に指名願いの会社概要を求めたところ、ないとの回答で、発注は環境局直営という、契約課長の回答であった。なぜ契約課が本市の入札概要を掴んでいないのか、入札の指導を行うことになっているのではないかと契約課長には言ったが、環境局もなぜ把握していないのか。環境政策部総務課長は、福岡環境整備(株)等の受注業者の会社概要の請求に対して、制度的に提出できないと回答した。収集管理課長は、会社の指名願いの株主名、損益計算書、貸借対照表の提出要請に、株式会社の会社概要は会社に備えておくもので、それを見られるのは株主と債権者のみと回答した。第三者が見る場合は全株主の同意が必要で、会社に電話したが断られたため、わからない。本市から毎年20億円前後の仕事を随意契約で受注しているのに、その指名願いも出せないのかと尋ねたが、最後まで提出を断られて今日まで来ている。そして、環境局長のところへ行って、随意契約の独占4社の概要、指名願いを出すよう請求したが、断わられた。なぜそこまで担当局が隠すのか、出せない理由を文書で出すようにと言ったところ、期限ぎりぎりの10月6日に、黒く塗りつぶされた文書が届いた。全部真っ黒で、その理由は、関係法令によって通常公表されない情報の公開に相手方の同意が得られなかったとのことであったが、本当にもう少しきちんと締めるところは締めてほしいと思う。福岡環境整備(株)と大成管理開発(株)の会社内容について尋ねる。 70 △環境局長 今回提供ができなかった資料については、委託契約の相手方が法令に定められた委託基準を満たしていることの確認のために各会社から提出された資料の一部であり、個人名や住所などが含まれた資料でもあったため、会社法や本市情報公開条例に基づき検討したところ、非公開と判断したものであり、ここでの答弁も差し控える。しかしながら、議会での審議や議員活動を尊重して、必要な情報を可能な限り提供できるよう努めており、今回も相手方の同意による資料提供を目指して各会社に協力を依頼したが、相手方の同意は得られなかったものである。 71 ◯高山委員 し尿業者については、下水道普及による転廃対策として昭和41年8月からスタートし、本市においては昭和42年ごろから50年近く随意契約による取り引きを行っている。札幌市でも10年で打ち切っており、50年間も続いているのは本市だけであるが、所見を尋ねる。 72 △環境局長 し尿転廃業対策については、昨年1月に福岡市公正入札監視委員会からその目的は達成されていると考えられるという趣旨の意見書が出されており、意見書の趣旨を踏まえて、関係事業者と精力的に協議を行い、1社を除きあっせん終了時期を確定したところである。残りの1社についても精力的に業務を遂行していく。 73 ◯高山委員 福岡環境整備(株)を調べたところ、平成27年3月31日現在で、利益剰余金約45億円、負債は約1.7億円の超優良企業であることがわかったが、これは事実か。 74 △環境局長 間違いない。 75 ◯高山委員 株主について、ごみ収集等を行っている13社が設立したと聞いていたが、環境局が資料を出さないため調べたところ、この会社の株主の取締役は、会社を2つ持っていることがわかった。ごみの許可業者の会社とは別に事業系ごみの会社の株も保有し、取締役になっている。福岡環境整備(株)の取締役の多くが、2つの会社の株を保有している。本市指定の家庭系ごみの収集運搬業務の許可業者と、もう1社は本市指定の事業系ごみ収集運搬の許可業者である。1人の社長で家庭系ごみと事業系ごみの2社を持っているが、間違いないか。 76 △環境局長 指摘の趣旨はそのとおりである。 77 ◯高山委員 家庭系ごみは、24年度の1社平均で3,700万円の純利益を出しており、事業系ごみは、平成22年12月31日時点の1社平均で経常利益4,615万円である。その2つの会社を持ち、そのうち1つの会社が、粗大ごみや不燃物ごみペットボトルを収集する福岡環境整備(株)で、本市はそこに全部の業務を特命随意契約で発注し、当該会社は配当後に45億円の利益剰余金が出ているが、これは事実か。 78 △環境局長 福岡環境整備(株)の26年度決算期の利益剰余金については、約44億9,400万円である。 79 ◯高山委員 事実であれば、福岡環境整備(株)は超優良企業である。13社とふくおか環境財団の計14社で家庭系ごみを全部収集し、この13社と事業系ごみの許可業者が別会社をつくって不燃物ごみや粗大ごみ、ペットボトル等を送り込んでいる。埋め立てを請け負っている大成管理開発(株)が、昭和42年に13業者の出資により設立されているが、この会社の状況はいかがか。 80 △環境局長 大成管理開発(株)は、昭和42年に燃えるごみ収集運搬業者13名の役員と16名の個人出資により設立されたが、現在は個人株主4名で構成されている。 81 ◯高山委員 その株主名を教えるように言っているが、とにかく出さない。出してもらって、説明等を聞けば、いろいろな事情があることは理解できる。資産を活用して多くの収集車を備え、そのおかげでごみ収集が円滑になされているわけであるから、一概に悪いとは言えない。そういう事情を説明して提出すべきであると思うが、とにかく隠す。福岡環境整備(株)は昭和46年9月1日に設立され、44年間の独占受注である。利益剰余金が、27年3月31日で45億円、このうちの別途積立金は33億円で、負債は1億7,000万円である。(株)エフ・ケイ・ケイ本社の住所を尋ねる。 82 △環境局長 福岡市西区である。 83 ◯高山委員 西区の住所は小戸1丁目3番地と思うが、その住所地には事業系ごみの会社と、家庭系ごみの会社が存在している。大成管理開発(株)と同じ住所ではないか。公による発注であり、貴重な税金を使うにもかかわらず、けじめがついていないということを言っている。とにかく競争性を持たせようと、方針を決めて、外部委員で構成される福岡市公正入札監視委員会が意見書を出したが、その意見を全部骨抜きにしているのではないか。行政のなれ合いではなく、福岡市公正入札監視委員会意見書で示されたように、適切に対応されたい。現在、個人商店や商店街は、非常に厳しい状況にある。本市職員の26年度の休日について人事課に聞いたところ、勤務が222.4日で、有給休暇なども全部含めて146日は休みである。週に3日弱は休んでいることになるが、商店街などは、そのようなものではない。中小企業などに対しては、その育成のために貴重な公費を投じてもよいが、行政として言うべきことは堂々と言うべきである。余りにも家庭系ごみや事業系ごみを取り巻く環境はよくない。もう少し真剣にやってもらいたい。次に、施工能力を有する会社が2社以上ないため、1社と随意契約を締結しているが、ほかに履行可能な者がいないことを理由として随意契約してきた契約について、履行可能な者が1社のみであることを対外的に立証するために契約手続に先立ち、必要な技術、または設備等の状況をホームページで告示し、参加希望者を確認する制度を導入するとのことであった。道路下水道局所管の清掃業務について、事前に募集したが、誰も手を挙げなかったために、施工能力のある(株)環境開発に発注したことになっているが、矛盾がある。応募資格が、本市の下水道管きょ幹線清掃業務の登録者の中には初めから施工能力のある者がいないことがわかっていた。また、年商6億円以上の実績があることについては、ほとんどが1~2億円であり、11社のうちに6億円以上の能力があるのは(株)環境開発、本社が東京にあるため応募資格がない管清工業(株)、造園会社で下水の技術は有していない西鉄グリーンの3社である。下水道の清掃事業において、本市が求めている年商6億円以上という金額では誰も応募できない。また、全国的に競争入札を導入しているが、本市だけが随意契約である。事前に、初めから応札業者不在の状況を知った上で、事前応札社の公募をしており、応募のハードルが高過ぎるのではないか。福岡市公正入札監視委員会の意見書では、処理区域内下水道管理清掃委託については、地場の育成という観点から、発注ロットを小さくし、経験を踏ませていくことを検討してはどうかということや、履行可能な内容を区別し、その他の業者でも履行可能な内容を履行させることなどが言われている。人口比で96%の下水道管の清掃委託を一括発注しているが、発注ロットを小さく分割するようにということである。西区の新西部水処理センターにおいては、人口比4%分の入札を行い、1,200万円規模の清掃業務を6社ぐらいが実施しているが、そのような方式で実施するようにと言っている。年商6億円以上でないと応札できないことや、発注ロットの問題について、どう考えるか。 84 △道路下水道局長 処理区域内下水道管清掃業務委託については、25年度までは市内一括で発注し、これに対応できる特定の者と随意契約を行っていた。26年度からは、福岡市公正入札監視委員会の審議を踏まえて、業務区域を分割するとともに、新西部水処理センターの処理区域を除く区域については、新たに策定された随意契約における参加者の有無を確認する公募手続要項に基づき、特定の者以外にこの業務を実施する者がいないか公募したところ、応募者がいなかったため、特定の者と契約を行っているところである。なお、その公募要件については、業務の履行を確実とするため、その業務に必要な技術者の資格要件など、清掃体制の確保や応募者の信頼性を確認する目的で、売上高である年商などを設定したものである。また、下水道管清掃業務については、26年度から新規参入者の育成を図るため、試行的に新西部水処理センターの職務区域において、業者の能力に配慮して、区域を2分割し、さらに年度を上半期と下半期に分けて発注を行うなど、受注機会の拡大に努めている。 85 ◯高山委員 本市の人口比で4%分だけを1,200~1,700万円に分割して発注しているが、残りの96%は一括発注で、応募資格が年商6億円以上となっている。下水道管きょ幹線清掃業務の登録業者は11業者で、ほとんどが1~2億円の年商規模である。6億円以上は3社のみで、しかも、本市に本社があることが条件であるため、東京に本社があるところは外れて、(株)環境開発以外は造園会社である西鉄グリーンだけが残り、初めから応募者がいないことを認識しながら、そのような見え透いたことを行っている。(株)環境開発は立派な会社だと思っているが、本市の中小企業の業者を育成すべきであり、発注する側の市がもう少し凜として、締めるところは締めるべきである。平成13年3月に竣工した箱崎臨海工場の建設費は478億円で、東部清掃工場は箱崎臨海工場と同じ処理能力であるが、建設費は313億円で、川崎重工が施工した。両者の建設費に165億円の差があり、おかしいということを言ってきたが、本市の環境局長経験者が日立造船の顧問に就任し、平成13年3月に箱崎臨海工場の管理は日立造船の子会社であるニチゾウ九州サービスが行うことになった。日立造船のプラントが298億円で、同じ日に台湾の彰化市で受注した日立造船のプラントが、納品当日のレートで133億円である。298億円と133億円の差は約160億円であり、なぜこのように違うのか。このような談合をするなと言っているうちに、公正取引委員会が日立造船とメーカー5社に談合の排除勧告を出し、箱崎臨海工場もこれに該当していた。日立造船から本市に20億8,800万円が返還されたが、承知しているか。 86 △環境局長 指摘の件については、6~10年度にかけて、全国の地方公共団体が発注した焼却施設の建設工事において30件を超える談合がプラントメーカーにより行われたものである。本市においては、箱崎臨海工場プラント建設工事の入札に参加したプラントメーカー5社の談合により損害をこうむったため、5社に対して2回の指名停止を行うとともに、判決に基づく損害賠償金を請求して受領している。 87 ◯高山委員 日立造船が本市に20億8,800万円を返還したことを知っているか、再度尋ねる。 88 △環境局長 間違いない。 89 ◯高山委員 箱崎臨海工場におけるプラントの発注は平成10年ごろから始まっている。この業界のリーダーが日立造船だった。箱崎臨海工場の管理業務は、日立造船の子会社であるニチゾウ九州に4億3,000万円で発注している。北九州市は同じメーカーで2億3,000万円、広島市は1億9,000万円である。本市では20年ほど前に4億3,000万円で発注して、そのまま今日まで続いている。このような点を見直せと言っているのに、全然見直さない。広島市の中工場600トンと本市の南部工場540トンを比較すると、管理費が広島市の1億5,200万円に対して、本市は2億8,500万円であり、広島市は本市の五十数%である。オーバーホールについては、本市は2億2,700万円であるが、広島市は9,800万円で、本市の43%の金額である。広島市においては、メーカー系のプラント管理会社は高いため、必ず管理専門業者を2社入れるため、受注するために必死になって安くなっている。次の年は、メーカー系の子会社がそれを下回る金額で提示するため順調とのことである。この方式を研究するように言ってきたが、全く行っていない。平成13年8月に、九海産業開発等が有機性汚泥30万トンを動植物性残渣と偽って不法海洋投棄するという事件があった。海洋投棄はロンドン条約により禁止されており、当時、このような違法投棄を認めるべきではないと市当局に言ったが、業者が動植物性残渣と偽って全部で30万トンもの有機性汚泥が海洋投棄されたものである。海洋投棄は、そのあたりの海で捨てるから、陸上投棄の単価とは乖離がある。陸上投棄の業者を育成して利益を上げさせ、海洋投棄をやめさせるべきであると訴えてきた。現環境局長は当時の産業廃棄物所管課の担当だったと思うが、市は海洋投棄を放置していたのか。 90 △環境局長 私が環境局産業廃棄物指導課に在籍していたころの事件である。直接の担当ではなかったが、平成13年8月に九海産業開発(株)と(有)一翠社が大量の有機性汚泥を海洋投棄していたことにより摘発されたものである。当時、本市が黙認していたとの新聞報道等もあったが、内部調査を実施したところ、そのような事実はなかった。 91 ◯高山委員 福岡市公正入札監視委員会は、競争性のある契約への移行への可能性について点検するように言っており、他の自治体等や庁内の他課で同様の事例があるということでもある。また、業務内容を分離できるものについては、作業マニュアル等の整備により他社の参入が可能であるため、競争性を導入すべきであると言っている。ヨーロッパやアメリカでは、メーカー系の管理会社は少なく、管理専門会社が育っている。環境局の言い分は、ヨーロッパから技術を導入しており、特殊技術であるため特命随意契約でなくては対応できないとのことである。ヨーロッパでは全部外注しており、なぜ本市だけ、このようなメーカー系の会社が管理業務を行わなければならないのか。全国では、プラント類は東京都を初め市職員が直接管理している自治体が多々ある。どこでもマニュアルがきちんと整備されているからである。岸和田クリーンセンターや東京都クリーンセンターなど延べ2,800社のうち400社ぐらいが非プラント系の管理会社であり、メーカー系列の子会社のみに特命で発注せずに競争させるべきである。広島市では管理専門会社に発注して本市の半分の金額で済んでいる。また、下水道管の清掃でも小さい区分に分離して発注できるのであるから、98%の中小企業を大事にしながら、少しでもチャンスを与えていくことが政治というものである。世の中が生きるのに必死になっている時代であり、このことを20年間言い続けているが、環境局は何もしない。福岡市公正取引監視委員会に環境局が提出した資料には、経済性よりも確実な履行を重視と書いてある。経済性の確保等の要請より業務の確実な履行を重視しているのである。収集場所と道路事情と地域性を熟知しているから特殊業務だということが、競争性の導入が難しい理由として書かれ、さらに、競争には適さないということまで書かれている。ごみ収集は週2回であり、しかも、共同住宅、アパート、マンション等に人口の80%ぐらいの人が住んでいるため、1カ所で居住世帯分のごみをすぐに収集できる状況である。現在、152万人の人口に対して14社でごみ収集を行っており、1社当たり10万8,000人が対象となる。業者を倍にして5万人分を1社で収集すれば、もっと丁寧にできると思うが、多いところでは25万人分を1社で収集している。本市の包括外部監査は、弁護士が総ざらいするため、非常に厳しいものであるが、その報告書の中で、本市のごみ収集について、トン当たりの委託料の他都市との比較がなされていた。本市と4都市との比較で、本市の委託料が最も高く、4都市の1.74~4倍であった。2002年から価格競争などを導入するように言ってきたが、13年たっても何も進んでいない。競争原理導入に反対しているのは環境局長本人ではないかと思うが、時代錯誤ではないのか。公明正大に行うべきであり、もっと勇気を持って取り組むべきである。事業系ごみの20%は自己搬入であるが、自己搬入しなければ手数料が非常に高いため、自社にトラックを置いて、全部のごみを搬入しているとのことである。北九州市のように50社から見積もりをとるようにして、競争の原理を導入すべきではないか。 92 △環境局長 競争性の導入については、昨年3月の条例予算特別委員会で、定期修理においてプラントメーカー以外の業者に分離分割発注して競争性を導入すべきとの意見をいただいたことを真摯に受けとめ、対応についての分析検討を行ってきた。その結果、26年度の臨海工場公害防止監視設備改良工事について、従来はプラントメーカーに一括発注していたが、工事の性能に影響を及ぼさない範囲の分離分割発注は可能であると判断し、競争性を導入した制限つき一般競争入札としたところである。今後も引き続き、他都市の情報も収集しながら、これまでの清掃工場の建設運営のあり方を検証し、25年から35年間に及ぶ工場稼働期間中のトータルコストの縮減も含めて、さまざまな事業運営手法について検討していきたい。 93 ◯堀内委員 日本共産党市議団を代表して、本市の水害対策について、福岡空港と博多港の軍事利用問題について質問する。まず、水害対策について尋ねる。今年の夏にも群馬県の鬼怒川や宮城県での水害があった。昨年の広島での大きな土砂水害も記憶に新しいところである。本市でも1999年6月29日にはいわゆる福岡水害があった。大雨はそれ以降も毎年のように避難勧告、避難指示を出す災害となっている。本市議会においても防災等対策調査特別委員会などが設置され、都心部の浸水対策や河川整備などが進められてきた。まず、本市の防災の基本理念及び避難支援対策の充実強化予算に対する過去3年間の決算額を尋ねる。 94 △市民局長 本市の防災の基本理念については、本市地域防災計画に周到かつ柔軟な災害予防、迅速かつ円滑な災害応急対策、適切かつ速やかな災害復旧・復興の3つを基本理念として掲げている。次に、避難支援対策の充実強化予算の過去3年間の決算額の推移は、24年度が3,237万9,000円余、25年度が2,410万7,000円余、26年度が4,990万6,000円余である。 95 ◯堀内委員 現場での避難対策等が十分に行われているのかを具体的に検証する。ことし8月25日の台風第15号の対応について、台風第15号はどういう台風で、どういう対策を主として行ったのか。避難指示を出したのは、どういう判断で、どの地域、校区の市民を対象として伝達したのか。避難指示のもと、住民は何をしなければならなかったのかについて、詳細な説明を求める。 96 △市民局長 福岡管区気象台によると、非常に強い台風第15号は強い勢力を維持したまま、8月25日未明から強風域に、25日の明け方から暴風域に入り、最接近は25日の昼前ということであった。雨の予報は、25日は九州北部全域で大雨になり、福岡県の1時間雨量は多いところで60ミリということであった。本市の対策としては、8月24日の午後6時に約100人態勢で災害警戒本部を立ち上げ、各区において自主避難者の受け入れ態勢を整えた。その後、同日23時に大雨警報の発表を待たずに、本市及び7区の災害対策本部を立ち上げ、注意態勢である水防第1配備、約630人の態勢としたものである。翌25日の午前7時40分に早良区の一部に土砂災害の危険による避難指示を発令するとともに、避難所の開設を行っている。午前8時15分に警戒態勢である水防第2配備に切りかえ、約1,100人態勢に強化し、警戒措置をとっている。午前8時30分に西区の一部に土砂災害の危険による避難指示と室見川氾濫の危険による避難指示を発令するとともに、避難所の開設を行っている。いずれの避難指示の発令においても、マスコミなどを通じ、安全な場所への避難の呼びかけを行っている。避難指示の発令については、地域防災計画に定める判断基準に基づき、空振りを恐れずに行うこととしている。土砂災害の危険による避難指示については、短時間で大雨が降り、土砂災害警戒情報が基準値を超過したことから、8月25日の午前7時40分に早良区の一部に、午前8時30分に西区の一部に発令したものである。室見川氾濫の危険による避難指示については、橋本橋に設置している水位計が氾濫危険水位を超過することが見込まれたため、現地を確認した上で、西区の一部に午前8時30分に発令したものである。次に、土砂災害の危険による避難指示については、早良区の曲渕、内野、早良、脇山、入部の5校区の一部、3,507世帯、8,103人並びに西区の今宿、金武、壱岐、壱岐南の4校区の一部、4,634世帯、1万2,055人に発令した。室見川の氾濫危険による避難指示については、西区の福重、壱岐東、壱岐南の3校区、8,971世帯、1万9,821人に発令した。次に、避難指示については、災害対策基本法に基づき、災害の危険が目前に切迫している場合に行うもので、この際の避難行動については、指定避難所への移動などの屋外退避や、避難所に向かうほうが危険な場合は、無理な避難をやめて屋内や近隣の2階以上の安全な場所への退避を行うこととされている。 97 ◯堀内委員 今回が史上最大規模の避難指示だったわけであるが、実際に避難所に逃げた市民は何世帯、何人か。 98 △市民局長 指定避難所へ避難した市民の状況は人数で把握しており、125人である。 99 ◯堀内委員 避難対象者3万9,979人に対して避難者は125人で、避難者は対象者の0.2~0.3%、西区だけで見ると0.02%~0.03%であり、少な過ぎると思わないか。また、市民が避難しなかった理由をどのように考えているのか。 100 △市民局長 避難者の数が少なかった理由については、住民の避難行動は、災害対策基本法では、避難所など安全な場所に移動するだけではなく、建物の構造や状況に応じて屋内や近隣の2階以上の安全な場所に移動を指示することができるようになっている。今回の台風第15号に関しては、マスコミや防災メール、広報車などにより、屋外に出ることが危険であると感じる場合は、自宅や近くのできるだけ安全な建物の2階以上に避難することを呼びかけている。また、避難指示を発令して以降、雨が小康状態となったことから、避難指示を受けた住民の多くが避難所へ移動しなかったものと考えている。 101 ◯堀内委員 大事な問題であるため確認するが、災害対策本部長である市長も局長と同じ認識なのか。 102 △市長 市民局長の答弁と同様の認識である。 103 ◯堀内委員 これは非常に重大な認識である。災害対策基本法第60条第1項には何と書いてあるか。 104 △市民局長 災害が発生し、または発生するおそれがある場合において、人の生命または身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の居住者等に対し、避難のための立ち退きを勧告し及び急を要すると認めるときはこれらの者に対し避難のための立ち退きを指示することができると規定されている。 105 ◯堀内委員 避難指示は立ち退きの指示であると明確に規定されている。屋内の安全な場所への避難ではない。市民が避難しなかった理由について、降雨が小康状態となったためと局長は答弁したが、避難指示は解除されていなかったのではないか。とりわけ土砂災害において避難指示は重要である。平成27年8月に内閣府が策定したガイドラインの8ページの2段落目を読み上げられたい。 106 △市民局長 国が平成27年8月に策定した避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインにおいては、避難勧告等が発令された場合、そのときの状況に応じてとるべき避難行動が異なることから、指定緊急避難場所や近隣の安全な場所へ移動する避難行動を立ち退き避難と呼ぶこととし、屋内にとどまる安全確保を屋内での安全確保措置と呼ぶこととする。立ち退き避難は指定緊急避難場所に移動することが原則であるが、指定緊急避難場所へ移動することがかえって命に危険を及ぼしかねないと避難者みずからが判断する場合には、緊急的な待避、近隣のより安全な場所、より安全な建物等への避難をとることとなる。さらに外出することすら危険な場合には屋内での安全確保措置、屋内でもより安全な場所への移動をとることとなると記載されている。 107 ◯堀内委員 マニュアルにおいては立ち退き避難が原則であると記載されており、土砂災害においては特に立ち退きが原則であるとされている。地域防災計画においては風水害の避難誘導の実施について、自治体の役割をどう規定しているか。 108 △市民局長 避難誘導については、市街地の浸水が始まっている場合など、あらかじめ指定した避難所等に避難することが必ずしも適切でない場合は、事態の状況等に応じて、自宅や隣接建物の2階以上の安全場所に避難誘導することや、避難時の周囲の状況等により、避難のために立ち退きを行うことがかえって危険を伴う場合などやむを得ないときは、屋内にとどまるなどの安全確保措置を指示することができることなどを規定している。 109 ◯堀内委員 避難誘導の責任は自治協議会や住民ではなく本市にある。避難指示が出ているにもかかわらず市民が避難していないということは、市の対応に問題があったのではないか。 110 △市民局長 今回の台風第15号に関しては、避難所への移動や屋外に出ることが危険だと感じる場合は、自宅や近くのできるだけ安全な建物の2階以上に避難することをマスコミや防災メール、広報車などにより呼びかけており、問題はなかったものと考えている。
    111 ◯堀内委員 分析が足りない。これでは市民の避難誘導について市の責任は果たされない。災害時の広報活動の意義と具体的手段について計画はどのようになっているか。 112 △市民局長 災害時における広報が果たす意義については、地域防災計画において、市民等に対し、災害の状況、応急対策実施の状況、生活情報等を通知し、混乱を防止し、市民生活の安定を図ることと規定している。広報の手段については、報道機関への広報の要請、広報車やホームページによる周知、さらに緊急時には防災メール、緊急速報メールなどがある。 113 ◯堀内委員 さまざま実施していると言うが、立ち退き避難はほとんど行われなかったのである。本市は何台の広報車を保有しているのか。また、西区では何台か。 114 △市民局長 広報車の保有台数は、本市全体で388台である。また、西区については27台である。 115 ◯堀内委員 当日、実際に広報活動に出動した広報車は何台か。 116 △市民局長 実際に西区で出動した広報車は3台である。 117 ◯堀内委員 西区で出動した広報車3台は、割合でいうと、全市の広報車388台の0.7%である。なぜ3台しか出動できなかったのか。少な過ぎるのではないか。 118 △市民局長 西区災害対策本部によると、室見川沿いエリアに1台、土砂災害警戒区域の壱岐、金武、壱岐南周辺に1台、今宿エリアに1台で対応し、その後の状況を見ながら広報車をふやせる態勢に整えていたとのことである。 119 ◯堀内委員 避難指示発令は午前7時40分であるが、広報車が金武校区を巡回したのは何時か。 120 △市民局長 広報車が金武校区を巡回した時間は午前10時30分からである。 121 ◯堀内委員 金武校区の巡回は避難指示発令の3時間後であり、遅過ぎる。当時の様子を今宿校区及び金武校区の自治会協議会の皆さんに、同じ会派の熊谷議員と聞いて回った。広報車が午前10時半過ぎに来たというのは大概の人が知っており、広報車の効果は抜群であった。少なくとも西区役所、早良区役所が所有している広報車を、避難指示と同時に直ちに全車出動させて、一気に市民に知らせるべきであったと思うが、所見を伺う。 122 △市民局長 今回の広報については、報道各社を通じてのテレビ放送や携帯各社による緊急速報メールの配信を行った。また、防災メール、広報車、ホームページによる周知を行うとともに、避難指示の対象となる地域の自治協議会の会長に対し、電話による連絡を行ったものである。 123 ◯堀内委員 避難誘導の広報車はもっと出動させるべきである。規模もこの程度ではなく、避難指示と同時に対象世帯を一気に網羅できるように巡回させるべきである。広報車が適切な時間に適切な役割を果たしていれば、間違いなく避難者はふえたはずである。広報車運行の人員配置計画を見直すべきであると考えるが、所見を伺う。 124 △市民局長 本市及び区の災害対策本部の配備体制については地域防災計画で定めているが、今回の台風第15号への対応に当たっては、災害発生の可能性が高かったため、注意態勢である水防第1配備の段階から人員を増員し、台風への備えを行っていたところである。広報車の人員配置計画については、現行の配備体制を基本としつつ、予想される災害の規模等に応じて柔軟に対応していきたいと考えている。 125 ◯堀内委員 3台しか広報車を出動させておらず、しかも避難指示発令から3時間おくれでの出動では、対象市民を避難させるつもりがなかったと言われても仕方がない。広報車の運行体制の抜本的強化を求めておく。次に、伝達手段として重視すべきは防災無線である。これまで水害のたびに被害に遭った住民からの要望で、御笠川と宇美川には有線放送やサイレンの鳴る防災無線が設置されている。茨城県大洗町では、東日本大震災のときに、4メートルの津波で265軒の家が壊れる中、死者はゼロであった。繰り返しサイレンを鳴らし、通常と異なる事態が発生している状況を伝えたと、中央防災会議は教訓化している。有線放送やサイレンの鳴る防災無線は、今回の避難指示を出した地域ではどこに設置されているのか。 126 △市民局長 今回の避難指示を出した校区に有線放送や固定式のサイレンは設置していないが、携帯用のサイレンつき拡声器を27年度当初に全校区に配備している。 127 ◯堀内委員 室見川、那珂川、瑞梅寺川、樋井川の各水系と土砂災害特別警戒地域にもこの有線放送やサイレンの鳴る防災無線を設置すべきであると考えるが、所見を伺う。 128 △市民局長 御笠川と多々良川については、数度にわたる浸水被害を踏まえ、サイレン信号を設置している。那珂川、室見川、瑞梅寺川については、大きな浸水被害が出ていないことから、サイレン信号は設置していないが、水位計や監視カメラを設置して常時監視を行っている。なお、樋井川については、水位計や監視カメラに加え、増水時に通行者等が河川に近づかないように注意喚起を行うため、さらに赤色回転灯を設置している。 129 ◯堀内委員 御笠川も宇美川も、被害が出てからようやく設置されているが、被害が出てからでは遅いのである。なお、先日の金武における広報車のアナウンス内容はどうなっていたのか。 130 △市民局長 西区金武校区において広報車が行ったアナウンス内容は、「こちらは西区災害対策本部です。ただいま金武地域に対して避難指示が出ております。大雨による土砂災害の危険があるため、避難中の方は直ちに金武小学校への避難を完了してください。十分な時間がない方は自宅の2階、もしくは近くの建物の上階に避難してください」である。 131 ◯堀内委員 これは、2005年の内閣府のマニュアルにある例文である。これでは避難行動が起こせないということで、中央防災会議では見直しが図られた。茨城県大洗町では、「津波警報発令、大至急避難せよ」という命令口調で緊迫感ある伝達文にして、犠牲者がゼロであったという経験も踏まえ、内閣府はガイドラインを変更している。「緊急放送、緊急放送、避難指示発令」など緊迫感ある表現を推奨している。本市でもアナウンス内容を変更すべきであると考えるが、所見を伺う。 132 △市民局長 アナウンスの内容については、災害の状況に応じて、避難の必要性や正確な情報が住民にしっかり伝わるよう、表現や用語のわかりやすさに留意し、さらに工夫していきたいと考えている。 133 ◯堀内委員 台風第15号の対応に間に合わなかったのは事実である。事は市民の命の問題であり、住民が避難するための行政のあり方について、もっと本腰を入れて再検討されたい。次に、土砂災害に対する避難準備情報について尋ねる。2013年10月に伊豆大島で、2014年には広島市で、大規模な土砂災害が発生し、甚大な被害が出た。これを受けて、内閣府は2015年8月、避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインを2014年度版から改訂した。この中で、住民等への防災情報の伝達として、避難準備情報の活用がどう位置づけられているか。 134 △市民局長 避難準備情報発令の判断基準の基本的考え方としては、ほかの水災害と比較して突発性が高く、予測が困難な土砂災害については、避難準備情報を積極的に活用することとし、避難準備情報が発令された段階から自発的に避難を開始することを、土砂災害警戒区域の住民に推奨することが望ましいということ。また、避難準備情報については、それを発令したからといって必ずしも避難勧告、指示を出さなければならないわけではなく、危険が去った場合には、避難準備情報のみの発令で終わることもあり得るということが示されている。 135 ◯堀内委員 広島市の土砂災害の教訓を生かすために、政府が2015年に改訂したガイドラインには、避難準備情報を積極的に活用するよう記載されているが、今回、本市では避難準備情報を出さなかった。2階に逃げても家ごと土砂につぶされる危険があることから、屋内での安全確保措置ではなく、早目の避難を促す避難準備情報が大切であるというのが伊豆と広島の教訓であるが、8月24日及び25日に、本市が避難準備情報を出さなかった理由を尋ねる。 136 △市民局長 平成26年4月に国が策定した「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン(案))を参考に26年度の地域防災計画の改訂の中で、市民の信頼に応え得る避難情報を発信していくため、客観的に判断できる基準づくりを行っている。今回の台風第15号では、土砂災害警戒情報とともに、特に本市西部地域においては短時間に記録的な大雨が降るという、気象台も予想していなかった状況が発生し、極めて短時間のうちに避難指示の基準に達したことから、避難準備情報、避難勧告、避難指示という順序ではなく、住民の安全を第一に考え、避難指示を発令したものである。 137 ◯堀内委員 基準である大雨警報が出て、避難準備情報を出そうとしたら、すぐに記録的短時間大雨情報が出たから避難指示を出したと言うのであれば、指摘せざるを得ない。本市地域防災計画第3章、災害応急対策計画の第6節避難対策の土砂災害の避難準備情報を出す判断基準について何と書いてあるのか。 138 △市民局長 土砂災害の大雨警報が発表され、かつ、福岡県が公表する土砂災害危険度情報で大雨警報の基準を超過した場合。また、大雨注意報が発表され、夜間から翌日早朝に大雨警報に切りかえることが言及されている場合。また、強い降雨を伴う台風が夜間から明け方に接近、通過することが予想される場合である。 139 ◯堀内委員 計画において、この3つのいずれかに該当する場合に避難準備情報を発令するものとされており、3つ目に書いてある、強い降雨を伴う台風が夜間から明け方に接近、通過することが予測された場合の判断基準を、本市は適用しなかったのである。国土交通省九州地方整備局は、今年度から、大型台風対応の災害対策本部版タイムラインを設け、台風の接近に伴い、時間とともに、いつ、誰が、何をするかを明確にしている。これを踏まえれば、空模様や川を見ての対応では遅いのであり、真剣に内容を検討すべきである。台風第15号は8月24日正午時点で、翌25日の午前9時に本市を中心とした予報円に来ると予想されていた。市民は台風に備え、避難準備を始めている人も出ており、避難準備情報など、避難準備を促す市民への適切な情報を出すべきであったと思うが、所見を伺う。 140 △市民局長 重ねての答弁になるが、平成26年4月に国が策定したガイドライン(案)を参考に、26年度の地域防災計画の改訂の中で、市民の信頼に応え得る避難情報を発信していくため、客観的に判断できる基準づくりを行っている。今回の台風第15号では、土砂災害警戒情報とともに、特に本市西部地域においては短時間に記録的な大雨が降るという、気象台も予想していなかった状況が発生し、極めて短時間のうちに避難指示の基準に達したことから、住民の安全を第一に考え、避難指示を発令したものである。 141 ◯堀内委員 防災は市民の命のかかった問題である。空振りはよいが、見逃しがだめなのである。避難準備情報を出す基準を改めるべきである。次に、本市災害対策本部の体制についてただす。市長は、8月25日の記者会見で、台風第15号に備え、午後11時以降は600人以上の態勢をとったと言っている。本市の災害対策本部は、いつ、誰が設置したのか。 142 △市民局長 本市及び区の災害対策本部については、8月24日の午後11時に本市域内に災害が発生し、または発生するおそれがあったため、市災害対策本部条例に基づき、災害対策本部長である市長の権限で設置したものである。 143 ◯堀内委員 8月24日から25日午前にかけて市長はどこで何をしていたのか。 144 △市長 8月24日は、東京での企業訪問や午後6時からの博多港振興セミナーなどへの出席のため、1泊で出張を予定していたが、非常に強い台風第15号の本市への接近を踏まえ、万が一の事態に備え、当初の予定を変更し、振興セミナーでの挨拶とプレゼンテーションを終えて帰福した。最新の台風情報はメール等で常に確認できるようにしており、午後9時30分に福岡空港に到着した後は、秘書課経由で災害対策本部に確認をとり、特段の登庁の必要がなかったことから帰宅した。しかし、25日の早朝から暴風域に入るという情報であったため、本市の災害対策の規定では登庁する必要はなかったが、万が一の事態に備えて午前3時ごろに登庁した。 145 ◯堀内委員 東京出張の予定を変更してわざわざ本市に帰ってきたのに、なぜ、すぐに登庁しなかったのか。 146 △市長 予定を変更して出張から帰ってきたが、この段階では配備段階が水防第3配備になっておらず、水防第1配備の状況であった。また、状況を対策本部に確認し、まだ情報収集の段階であるということから、登庁する必要が特段ないということで自宅で情報収集をしていた。 147 ◯堀内委員 市民局に尋ねるが、市長が登庁するまで誰が本部長だったのか。 148 △市民局長 市長である。 149 ◯堀内委員 午前3時までの間、本庁の本部で指揮をしたのは誰か。 150 △市民局長 災害対策本部の総括部の部長である、市民局防災危機管理部長である。 151 ◯堀内委員 既に台風が接近しており、逃げられないと判断した市民は、9月24日午後10時45分には壱岐公民館に、9月25日午前1時20分には今宿公民館に避難していた。市役所では災害警戒本部100人を超える職員が動き始めている。本市にいながら市役所に来ていない市長の5時間半の空白時間は大問題である。8月24日午後6時に災害警戒本部が設置され、貞刈副市長が災害警戒本部の本部長になった。貞刈副市長は警戒本部長を50分間だけ務め、天神から10分で移動できる飲食店で午後7時から地元企業等との意見交換会に出席しているが、これは公務なのか。 152 △貞刈副市長 地元企業の方と市政に関する意見交換を行うものであり、仕事に関することではあるが、飲食費等については自分で支出している。 153 ◯委員長 公務かどうかと尋ねている。 154 △貞刈副市長 自分では公務と思っている。 155 ◯堀内委員 では、どこで、誰と会ったのか、お酒は飲んだのか。 156 △貞刈副市長 相手は民間の方であるため、会社名、氏名についての答弁は差し控える。お酒については、こういう大事な警戒本部が設置されている状況であるので、飲んでいない。 157 ◯堀内委員 公務であると言いながら議会において、どこで誰と会ったかを明らかにしないのか。課長に災害警戒本部長を任せて出かけ、しかも、意見交換会終了後は市役所に戻らず、午後9時40分に帰宅した。貞刈副市長はなぜ災害警戒本部に戻ってこなかったのか。 158 △貞刈副市長 非常に強い台風第15号が接近していることから、危機管理監として迅速な対応を図るため、庁舎内で一晩待機することとし、着がえなどをとりに一旦帰宅したものである。 159 ◯堀内委員 市役所に戻ったのは午後11時23分である。警戒本部は既に午後11時には災害対策本部になっていた。本部長は市長も副市長も不在で部長が就任していた。市民局に尋ねるが、災害対策基本法では本部長の規定はどうなっているか。 160 △市民局長 部長が災害対策本部長として就任したわけではない。統括部として今回の災害についての指揮をとったものである。災害対策基本法の規定においては、市町村災害対策本部の長は市町村災害対策本部長とし、市町村長をもって充てるとなっている。 161 ◯堀内委員 明らかにおかしい。本市の災害対策本部の体制は法律の規定と違うと言わざるを得ない。午後11時の災害対策本部立ち上げ時から本部長は市長なのである。それが、副市長も市役所内には不在で、部長が実質指図をしていた。今回の台風第15号における市長と副市長の対応は、市民の生命、身体及び財産を災害から保護するための責任ある行動とは言えないのではないか。本部の対応問題の最後に、市民が避難する上で一つ提案しておく。2011年の台風第12号に関する内閣府の住民意識調査で、どのような内容であれば避難が必要と思うことができるかという調査があった。その中で、行政のトップの人による呼びかけが避難する動機づけになると言われている。例えば、市長がテレビで直接市民に呼びかけるのはいかがか。 162 △市民局長 今回の台風第15号に関しては、避難所への移動や屋外に出ることが危険だと感じる場合は、自宅や近くのできるだけ安全な建物の2階以上に避難することを、マスコミや防災メール、広報車などにより呼びかけたところである。今後とも災害の規模や状況などに応じた効果的な広報に努めていく。 163 ◯堀内委員 今後の防災対策として検討すべきである。水害問題の最後に、南区の若久川のたびたびの氾濫問題について、これまでの水害の経緯と市としての対策を尋ねる。 164 △市民局長 若久川の過去20年間の浸水被害については、平成11年6月29日と平成21年7月24日の豪雨により河川の溢水が発生している。このうち平成21年7月24日の豪雨については、若久3丁目及び6丁目付近で床上浸水が25戸、床下浸水が46戸発生している。 165 △道路下水道局長 若久川における水害対策としては、若久川への雨水の流入を抑制するため、花畑第12雨水幹線の整備や、治水池である新開池の改良を行ったところであり、新たに農業用ため池である上妹池を治水池に転用するための工事を実施している。また、河川からの溢水防止を目的として護岸の一部かさ上げを行っている。そのほか、水害時における自主防災活動の支援強化のため、東若久校区の地域交流広場に水防倉庫を新設している。今後とも河川改修や治水池の整備などに取り組んでいく。 166 ◯堀内委員 若久川についてはさまざまな取り組みを実施していると言うが、たびたび床上浸水が起きている河川である。台風や大雨のとき、住民は心配で寝られないと言っている。護岸のかさ上げや調整池の整備など、浸水防止対策を具体化して、若久川の浸水対策事業化を早期に図るべきであると考えるが、所見を伺う。 167 △道路下水道局長 繰り返しの答弁になるが、若久川における水害対策としては、雨水の流入を抑制するため、雨水幹線の整備、治水池である新開池の改良を行ったところであり、新たに農業用のため池である上妹池を治水池へ転用するための工事を実施している。また、河川からの溢水防止等を目的として護岸の一部かさ上げも行っている。今後とも市民の安全、安心な生活を守るためにも、河川改修や治水池の整備などに取り組んでいく。 168 ◯堀内委員 一日も早い対策を求める。本日、台風第15号に伴う本市の避難対策についてただしてきた。本市は数万人に避難指示を出しながら、多くの市民に避難行動が起きていないことに何の問題も感じず、有効な手だてを何ら打ってこなかったこと、市長自身が市内にいながら6時間近くも本部長につかず現場任せにしていたことなどが明らかになった。市長自身の危険感のなさを深刻に反省するとともに、市民が実際に避難行動を起こせるよう避難対策を抜本的に見直すべきであると考えるが、市長の所見を伺う。 169 △市長 去る8月25日の台風第15号では西区と早良区の一部に避難指示を出したが、幸いにも大事には至らなかった。先月、茨城県常総市で起きた鬼怒川の堤防決壊は、河川災害の恐ろしさを再認識させられた出来事であったが、異常気象によって局所化、激甚化している近年では、想定外の災害がいつ、どこで起きてもおかしくない状況にある。本市としては、市民一人一人がみずからの判断で主体的な避難行動がとれるよう、適時、的確でわかりやすい避難情報の提供や防災意識の普及啓発など、地域防災力の向上に向けた取り組みを支援していくことが重要であると考えている。今後とも市民のとうとい命とその財産を守ることを第一に、自助、共助、公助、それぞれの防災力を結集した総合的な防災体制の構築など、災害への備えが万全なものとなるよう取り組みを進めていく。 170 ◯堀内委員 実際に避難行動が起きていないのである。市民の命にかかわる大問題に対し、余りにも無責任であり、改めるべきであると強く求めておく。次に、福岡空港と博多港の軍事利用について尋ねる。板付基地返還促進協議会への2014年度の市負担金とその事業の意義、目的を尋ねる。 171 △総務企画局長 板付基地返還促進協議会への本市負担金の26年度決算額は44万2,592円となっている。当協議会については、板付基地の返還促進を図ることを目的として、本市議会を初め、本市、本市校区自治協議会、その他地域の団体や市民運動団体などさまざまな会員団体により事業が行われており、事業計画など議決事項については満場一致をもって決定されている。これまで長年にわたり在日米軍司令部等への陳情活動を行ってきた結果、返還前と比較すると現在までに約95%が返還されている。 172 ◯堀内委員 本市は60年間、超党派的な市民運動と行政が共同して、米軍、政府等に対して要望を行うなど基地返還運動を進めてきたが、これまでに基地の約95%が返還されたものの、いまだに日米安保条約の地位協定によって、米軍は西側一部を専用区域とし、滑走路等を一部使用区域として留保しており、全面返還されていない。2014年の福岡空港の米軍機の着陸回数を尋ねる。 173 △総務企画局長 平成26年の米軍機の着陸回数は59回である。 174 ◯堀内委員 平均して6日に1回である。ほとんどが輸送機だと指摘されている。何をどこからどこへ運ぶために板付基地を使っているのか。 175 △総務企画局長 米軍機の輸送内容については承知していない。 176 ◯堀内委員 年間1,970万人が利用している民間空港に、どこに何を運んでいるか不明の米軍輸送機が離発着しているとはとんでもないことである。市民の安全にとって無関心ではいられない。空港を軍事利用しているのは米軍機だけではない。平成27年9月10日、参議院内閣委員会で、日本共産党の辰巳孝太郎議員が、陸上自衛隊のイラク派兵時に民間航空会社が武器・弾薬を含む装備品を輸送していた問題を取り上げた。その中で、福岡空港が2回、イラク派兵で使われていたことが情報公開請求した資料で明らかになった。資料によれば、1回目は2005年6月22日、陸上自衛隊が福岡空港からクウェートに向けて人員、貨物、装備品を運んだとなっており、中谷防衛大臣はタイ航空などの民間機で輸送したと発言しているが、この事実を把握しているか。 177 △経済観光文化局長 福岡空港においてそのような事実があるかどうかについて、事実の存否を含めて承知していない。 178 ◯堀内委員 2005年9月16日、陸上自衛隊がクウェートから福岡空港に人員、貨物、装備品を民間機を利用して運んだ事実を把握しているか。 179 △経済観光文化局長 おただしの内容については、事実の存否を含め承知していない。 180 ◯堀内委員 国がやることであると言って人ごとのような答弁をしているが、政府の提出した資料に福岡空港と記載があり、福岡空港を使ったことは明らかである。9月10日の参議院内閣委員会で、中谷防衛大臣は、自衛隊の武器輸送について、84ミリ無反動砲や110ミリ対戦車弾という強力な武器まで輸送していたと答弁している。復興支援のためであり、非戦闘地域に限ると言ってイラクに行ったはずの自衛隊がそれだけの装備をして福岡空港から出かけて行った。陸上自衛隊のイラク派兵を記したイラク復興支援活動行動史には、総輸送力の99%は民間輸送力に依存したと記載されている。こうした武器輸送は福岡空港の軍事利用にほかならないのではないか。 181 △経済観光文化局長 先ほど答弁したとおり、おただしの内容については、事実の存否を含め承知していない。また、それが軍事利用に当たるかどうかを判断できる立場にはない。 182 ◯堀内委員 知らないでは済まされない。国会でここまで具体的に明らかになっている。本市として改めて調査すべきではないか。 183 △経済観光文化局長 おただしの件については、国の専管事項にかかわるものであり、個々の事実関係について本市として調査する考えはない。 184 ◯堀内委員 無責任な答弁である。市長は板付基地返還促進協議会の顧問である。また、同協議会は、運動方針に福岡空港の軍事基地化及び軍事利用に反対すると、60年間明確に掲げている会である。成田空港では、国と千葉県、空港管理者と地域住民の間で軍事利用はしないという取極書を交わしている。民間利用も含めて、福岡空港の軍事利用に反対すべきではないか。あわせて福岡空港でも成田空港のような取極書を国と交わすべきではないか。 185 △総務企画局長 我が国の安全保障に関する問題については、国の責任において適切に対応されるものと認識している。福岡空港については、板付基地の返還促進を目的に、本市議会の全議員を初め、本市校区自治協議会、その他地域の団体や市民運動団体、さらには本市などさまざまな会員団体で構成されている板付基地返還促進協議会において、満場一致をもって必要な事業が行われているところである。本市は当協議会の一員であり、その議決事項を尊重するとともに、福岡空港の歴史や特性を踏まえ、市民生活の安全確保を図るため、今後とも適切に対応していく。 186 ◯堀内委員 それでは本市市民の命は守れない。市長がその施設管理者である博多港について、2014年度における米軍艦と自衛艦の入港実績を尋ねる。 187 △港湾局長 平成26年における博多港への入港実績は、米軍艦は1隻、自衛艦は7隻となっており、いずれも休養や親善あるいは行事等への参加を目的としているものである。 188 ◯堀内委員 過去においても、毎年のように米艦は入港しており、自衛隊艦船は数隻から十数隻が入港している。米艦は血塗られた艦船で、核兵器も積んでいるかもしれない船である。軍艦の行動とは、母港を出て母港に帰るまでは全てが軍事行動である。福岡空港とは異なり、博多港は港湾管理者である市長の決断一つで危険な船の入港を拒否することができる。1975年、神戸市議会が核兵器積載艦船の神戸港入港拒否に関する決議をして以来、神戸市長は、入港に際して非核証明の発行を要求し、証明書がなければ寄港を認めていない。神戸港にはこの40年間、一度も米艦船は入港していないのである。一方、博多港へは毎年入港してくる。神戸港には入港できない米艦船が博多港には入港して来るということである。博多港港湾施設管理条例第3条及び第8条により、港湾管理者たる市長が決断すれば、博多港においても神戸港と同じ対応をとることができるため、同じ対応をとるべきであると考えるが、所見を尋ねる。 189 △港湾局長 軍艦の岸壁利用については、入港目的が友好親善や乗組員の休養等であって、商船の荷役に支障がない場合は、港湾管理者として適切に対応したいと考えている。また、核兵器の問題については、国の基本政策である非核三原則により措置されているものと考えている。 190 ◯堀内委員 市長がやるべきことは戦争に協力することではない。イラク戦争時、市民の知らない間に、本市から武器・弾薬が運び出されたが、それを本市は知らないという。これでは市民の命は守れない。今後、安全保障法制、いわゆる戦争法のもと、自衛隊は現に戦闘が行われている現場以外での後方支援活動を行う。福岡空港や博多港から積み出される武器・弾薬は、自衛隊員が殺し、殺される現場に運ばれることにもなる。福岡空港の軍事利用はやめさせるべきであり、博多港への米艦入港は断固拒否すべきであると考えるが、市長の所見を伺う。 191 △市長 我が国の安全保障に関する問題については、国の責任において適切に対応されるべきものであり、今後とも、国民の生命と安全を守るために、その役割を果たされるものと認識している。 192 ◯浜崎委員 みらい福岡市議団を代表し、競艇場や病院など外郭団体の経営状況と一般会計との関係について、障がい者支援体制の現実と今後の対応について、介護報酬改定に伴う特別養護老人ホーム等の運営について、ユニバーサルツーリズムについて質問する。まず、本市の外郭団体や市営競艇事業の経営状況と一般会計との関係について尋ねる。本市には多くの外郭団体があり、それぞれが団体の目的に沿って、公共的あるいは公益的な事業の実施やサービスの提供を行っているが、その事業運営に対して、本市から負担金や補助金、あるいは委託料が支出されている。その中の一つである市立病院を運営する地方独立行政法人福岡市立病院機構に対しても、その運営経費の一部として、本市から負担金が支出されているが、どのような理由で支出されているのか。また、26年度決算額を尋ねる。 193 △保健福祉局長 福岡市立病院機構への運営負担金については、地方独立行政法人法などの規定に基づき支出している。具体的には、採算性などの面から、民間医療機関による提供が困難な医療を提供する自治体病院に対して収支差を補填するものである。また、26年度の運営負担金の決算額は、24億7,585万6,000円となっている。 194 ◯浜崎委員 本市からの運営負担金に余剰が発生した場合、どういう取り扱いになるのか。 195 △保健福祉局長 運営負担金については、不採算医療を実施する際の収支差の補填が主たる目的であるが、地方独立行政法人会計基準により、中期計画期間の終了後、精算の上、余剰が発生した場合、市に返還することが定められている。 196 ◯浜崎委員 病院機構の経営努力によって生じた利益の取り扱いについて、地方独立行政法人法ではどのように規定されているのか。 197 △保健福祉局長 病院機構における増収対策、あるいは費用削減などの経営努力の結果、生じた利益の処分については、地方独立行政法人法の規定において、まず、前年度の損失を埋めること、さらに残余の額がある場合、積立金として整理しなければならないとされている。また、当該積立金は、市長の承認を受けて、次の中期計画の財源に充てることができる旨が規定されている。 198 ◯浜崎委員 病院機構の決算報告を見ると、積立金総額が31億円ほどあり、この中には、病院機構の経営努力によって生じた利益も入っていると思うが、実際にどのように取り扱っているのか。 199 △保健福祉局長 病院機構の利益に伴う剰余金については、地方独立行政法人法の規定にのっとり、適切に積み立てを行っている。この積立金については、29年度からの次期中期計画の財源に充てることが可能であり、その上でなお残余がある場合、その額を設立団体へ納付しなければならないと定められている。精算に当たっては、現在の第2期中期計画の最終年度である28年度の状況を見通しつつ、そのあり方をしっかり検討した上で、議会に諮りたいと考えている。 200 ◯浜崎委員 病院機構においては、内部留保が積み上がり過ぎることなく、適切な規模となるようにしてもらいたい。また、他の外郭団体について確認したところ、(一財)福岡コンベンションセンターには、平成27年3月末で内部留保として特定資産が約39億円あり、このうち約35億円は、福岡国際会議場や福岡国際センターの計画的な修繕などに備えて積み立てているもので、その他は経営安定のための積立金となっている。コンベンションセンターは大規模な施設を管理しているため、事業運営や施設の維持管理のために多額の費用を要することは想像できるが、現在の内部留保の金額が適切な規模となっているかどうか、市民にとっては非常にわかりづらいものになっている。このほかにも、博多港ふ頭(株)や(株)福岡クリーンエナジー、福岡市住宅供給公社、(公財)福岡市緑のまちづくり協会など、内部留保を抱えている団体があり、それぞれの内部留保の規模が適正かどうか、本市においてしっかりチェックする必要がある。市営競艇事業特別会計では、社会福祉の増進や医療の普及、教育文化の発展、体育の振興、その他住民福祉の増進を図るための施策を実施する財源として、競艇事業の収益から一般会計へ15億円の繰り出しを行っている一方で、約47億円の積立金があるが、この積み立ての目的は何か。 201 △経済観光文化局長 競艇事業特別会計における積み立ての目的は、主として、大規模な施設改修や建てかえ費用に充てるほか、災害により一定期間開催できなくなることによる一時的な売り上げの減少に備えるなど、事業の安定的な経営を図るために積み立てているものである。 202 ◯浜崎委員 競艇事業特別会計の一般会計への繰出金と積立金はどのように算定しているのか。 203 △経済観光文化局長 競艇事業特別会計の一般会計への繰出金と積立金の算定については、25年度に策定された行財政改革プランに基づき、安定的に10億円を繰り出すことを基本とし、翌年度の収益見込みや将来の施設整備等の財源としての必要額、一般会計の財源確保の状況などを踏まえ、財政局と協議の上、それらの額を決定している。25年度は13億円、26年度は15億円を繰り出しており、27年度予算についても、15億円を計上している。なお、競艇事業特別会計については、28年度から企業会計を導入する予定としており、今後の繰出金や積立金の算定については、改めて財政局と協議していく。 204 ◯浜崎委員 28年度から競艇事業の会計方法を変更するとのことであり、そのタイミングで一般会計への繰出金と内部留保となる積立金の算定方法について、明確な考え方の整理が必要であると強く考えている。行政には、社会経済環境の変化や多様化、複雑化する市民ニーズにしっかり対応して、必要なサービスを提供することが求められているが、そのためには財源の確保が絶対欠かせない。本市の財政状況では、外郭団体や特別会計に多額の内部留保を持たせておくほどの余裕は全くなく、それらの内部留保が適正な規模となっているのか、改めて確認し、使われずに眠っている財源を市民サービスのために効率的、効果的に活用すべきと考える。外郭団体や特別会計における剰余金の取り扱いについて、財政運営上、どのように考えているのか。 205 △財政局長 本市の財政は依然として楽観できる状況にはなく、財源の確保は健全な財政運営の取り組みにおいて重要な課題と考えている。特別会計や外郭団体における内部留保については、その目的や規模の考え方などについて、計画の策定や毎年度の予算編成などの過程において、特別会計や外郭団体の財務状況の健全性を考慮しながら、一般会計の負担の最小化を図るなどの観点から、確認や必要な調整を行っているところである。今後とも、市民生活に必要な行政サービスを確保しつつ、重要施策の推進や新たな課題に対応するために必要な財源の確保に努めていく。 206 ◯浜崎委員 次に、障がい者支援体制の現実と今後の対応について尋ねる。障がいがありながら生活していくことは、障がい者本人にとっても、その家族にとっても、容易なことではなく、社会全体で支えていく仕組みが必要である。そこで、障がい児の就園機会の現実及び特別支援学校卒業後の進路の2点を中心に、障がい者支援体制について尋ねる。まず、乳幼児期の障がい児に対する施策について、子どもに障がいがあることが明らかになったときはもちろんだが、なかなか言葉を話すようにならなかったり、歩き方が気になったり、子どもに障がいがあるのではないかと不安になったときの保護者の気持ちを考えると、乳幼児期の障がい児の支援は非常に重要であると考えるが、本市では、乳幼児期の障がい児に対してどのようなサポート体制があるのか。 207 △こども未来局長 発達のおくれや障がいのある子どもについて、乳幼児健診などで早期発見に努めるとともに、心身障がい福祉センター、西部療育センター、東部療育センターの3施設で、保護者の相談に応じている。また、各センターにおいて、診断、評価等により状況把握した上で、育児、療育、福祉制度等の情報を提供するとともに、子どもの障がいや発達状況に合わせて、通園や外来による療育支援を行っている。 208 ◯浜崎委員 乳幼児期の子どもの多くは保育園や幼稚園に通園していると思うが、障がいがある子どもの場合はどのような施設で支援を受けているのか。 209 △こども未来局長 就学前の肢体不自由児や知的障がい児などに対して、児童発達支援センター9カ所において、通園による療育を行っている。また、保育所や幼稚園においても、障がい児を受け入れ、保育や幼児教育を行っている。
    210 ◯浜崎委員 障がい児保育について、過去3年間の決算額の推移を尋ねる。 211 △こども未来局長 障がい児保育の決算額については、24年度が2億4,942万円余、25年度が2億7,979万円余、26年度が3億4,413万円余となっている。 212 ◯浜崎委員 本市では障がい児を保育所全園で受け入れることになっているが、ある団体の方たちの話では、保育所に入園の問い合わせをしたところ障がい児は預からないと、入園を拒否されたと聞いており、保育所で障がい児の受け入れ状況はどのようになっているのか。 213 △こども未来局長 障がい児保育については、保護者の就労などにより保育が必要であり、集団保育が可能な子どもであることを要件としており、平成27年9月1日現在で、163施設に437人を受け入れている。また、障がいのある子どもが入所を希望される場合は、利用調整において加点しているが、現在、保育所入所の申し込みをされる方が多く、保育を必要とする要件が高い子どもから順次入所しているため、入所待ちとなる場合もある。 214 ◯浜崎委員 他都市では、障がい児の受け入れについていろいろ施策があるようだが、どのような状況か。 215 △こども未来局長 政令指定都市のうち、一部の都市で就労等以外に、障がいがあることを保育所の入所要件としているところがあるが、その場合でも、低所得や兄弟児の有無など、家庭環境等の基準を満たしていることが条件とされている。また、本市を含む他の18都市については、障がいがあることをもって入所要件としていないが、利用調整において加点等を行っている。 216 ◯浜崎委員 先ほど、163施設で受け入れているとのことだったが、同じ保育所に何人ぐらい障がい児を受け入れているのか。また、障がい児の受け入れに当たって、どのような支援や補助があるのか。 217 △こども未来局長 平成27年9月1日現在、障がい児を1人受け入れている保育所が48園、2人が43園、3人以上が67園となっており、最も多い10人を受け入れている保育所が2園ある。また、障がい児保育を実施している保育所への支援については、こども未来局の職員が保育所を訪問し、対象児の状況把握や助言、指導を行っており、また、社会福祉事業団の保育士が、訪問支援事業として助言、指導を行ったり、研修の講師などを務めるなどの支援を行っている。さらに、保育士の加配経費として、障がいの程度に応じ、1人当たり月額で、軽度が6万3,000円、中度が9万7,000円、中度より重いが13万円を補助している。 218 ◯浜崎委員 入園拒否をされたという保護者からの意見があったが、実態調査などを行い把握しているのか。 219 △こども未来局長 保育所に対する実態調査は実施していないが、区役所で入所の調整を行う際に、各保育所と協議を行い、状況把握を行っている。なお、加配する保育士が手配できない場合など、保育所の受け入れ体制が整わない場合は、入所を保留することもある。 220 ◯浜崎委員 実際には、保護者が保育所に問い合わせをした際、障がい児は預からないと言われたことも聞いており、現場ではそのような対応が行われているのではないか。 221 △こども未来局長 指摘のような誤解を招く対応等がないよう、区役所や保育所など関係者間で周知徹底を図っていきたい。 222 ◯浜崎委員 幼稚園での障がい児の受け入れ状況について、過去3年間の推移を尋ねる。 223 △こども未来局長 私立幼稚園における障がい児の受け入れ状況は、24年度が61園に211人、25年度が63園に279人、26年度が59園に283人を受け入れている。 224 ◯浜崎委員 幼稚園にも保育所と同じように、市からの支援や加配職員など金銭的補助が行われているのか。 225 △こども未来局長 幼稚園に対する支援としては、私立幼稚園障がい児支援事業として、心身障がい福祉センターの保育士が、私立幼稚園からの要請に応じ、電話相談や訪問、助言等、また、園内研修や集合研修の支援を行っている。障がい児の助成については、幼稚園の所管である福岡県から、児童1人当たり年間39万2,000円の助成を行っており、本市はこれに上乗せして年間5万円を助成している。 226 ◯浜崎委員 大阪市では、大阪市独自の制度として、要支援児受け入れのセーフティーネット的な役割を担う私立幼稚園を指定し、要支援児の就園機会を保障する要支援児受入促進指定園という制度がある。このように、就園機会を保障することで保護者は安心できると思うが、本市は今後、保育所や幼稚園で障がいがある子どもの受け入れについてどのようにしていくのか。 227 △こども未来局長 現在、保育所では全園で受け入れを行うこととしており、今後とも受け入れやすい環境づくりのため、研修の充実等を図っていく。幼稚園については、保護者と幼稚園が直接入所の契約をする仕組みであることから、本市で利用調整はできないが、福岡市私立幼稚園連盟と協力し、受け入れの拡大について依頼していく。 228 ◯浜崎委員 入園拒否と受け取られるような状況が実際起こっていることをしっかり受けとめ、障がいがある子どもたちが安心して就園の機会が得られるよう、保育所や幼稚園への要請を含め、本市として責任を持って対応するよう強く要望する。次に、小中高においては、特別支援学校などの施設でサービスが提供されているが、高等部卒業後の行き先である障がい施設が特定地域に偏り、足りないとの声もある。まず、障害者総合支援法に基づく障がい福祉サービスのうち、主な事業の過去3年間の決算額推移を尋ねる。 229 △保健福祉局長 障がい福祉サービスのうち、主な事業として、ホームヘルプサービスや行動援護、短期入所などの在宅サービスについては、24年度が39億3,862万円余、25年度が44億587万円余、26年度が46億3,409万円余である。次に、生活介護、就労移行支援などの通所サービス及び施設入所サービスについては、24年度が107億1,496万円余、25年度が122億6,453万円余、26年度が138億108万円余である。最後に、グループホームについては、24年度が6億2,860万円余、25年度が8億1,194万円余、26年度が8億7,882万円余となっている。 230 ◯浜崎委員 各サービスの利用者数、利用実績が増加しており、財政状況の厳しい中でも、障がい者に対する支援が少しずつ充実しているのは評価するが、一部の事業については課題もあるとの声が届いている。特別支援学校高等部卒業後、障がい福祉サービスを提供する障がい者施設でサービスを受ける人が多いと思うが、どのような施設に通うことができるのか。 231 △保健福祉局長 特別支援学校卒業後においては、障がいの種別や程度などに応じて、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援のサービスを提供する障がい福祉サービス事業所、または障がい者支援施設などを利用することができることになっている。 232 ◯浜崎委員 重度障がいがある場合、障がいの程度から生活介護事業所や就労継続支援B型事業所を利用するのが適当と考えるが、生活介護や就労継続支援B型の事業所は、市内に計画どおり存在するのか。また、地理的にも市内に均等に存在しているのか。 233 △保健福祉局長 生活介護及び就労継続支援B型については、既に第3期福岡市障がい福祉計画に基づく障がい福祉サービスの必要量に達しており、常に介護が必要な方に援助などを行う生活介護事業所は、中央区以外は各区に受け入れ枠があり、区を超えた送迎を行っている事業所も多数ある。また、事業所雇用が困難な障がい者に生産活動機会の提供及び訓練などを行う就労継続支援B型事業所は、全区に受け入れ枠があり、区によって配置上、大きな格差はない状況である。 234 ◯浜崎委員 事業者が生活介護事業所を新規に開設しようとしても、市の指定がなかなかおりないと聞いているが、現状はどうか。 235 △保健福祉局長 生活介護事業所については、計画上の必要量に達しており、受け入れ枠もあることから、法令に基づきサービス量の調整を行っているが、障がい種別あるいは程度などによって、サービスを受けることができない利用者がいるなど、特別な事情がある場合については、事業所の指定や定員増を行っている。 236 ◯浜崎委員 特別支援学校に通う子どもたちは、親亡き後はひとりで生活をしていかなければならないが、ひとりでの生活が困難な障がい者が入居する市内の入所施設やグループホームは、定員がいっぱいということをよく耳にする。そのため、卒業生の中には市外の施設に入所されたケースも少なくないと聞くが、本市の現状と今後の計画はどうなっているのか。 237 △保健福祉局長 入所施設については、平成27年4月1日現在、市内の定員677人に対して、入所者615人となっており、あきも生じているが、障がい特性や利用者の都合などにより、市外の入所施設の利用者も多数いる状況である。また、第4期福岡市障がい福祉計画においては、国の指針に基づき、29年度末の施設入所者数は25年度末実績から4%削減を見込んでいるため、地域生活への移行を図るグループホーム設置促進に取り組んでいる。グループホームについては、同計画で27年度末に840人分の利用を見込んでおり、9月1日現在、106住戸、625人分を整備したところであり、引き続き、開設に必要な経費の補助を行うなど、グループホームの設置促進に取り組んでいく。一方で、グループホームには33人分のあきも生じており、これは、障がい特性や性別、グループホームの形態などによる需給バランスの差によるものと考えられるため、これらも十分配慮しながら、整備を進めていく。 238 ◯浜崎委員 障がい者施設等の開設について、地域の理解がなかなか得られないということを耳にするが、現状とそれに対する市の考え方を尋ねる。 239 △保健福祉局長 障害者差別解消法においては、障がい者施設などの設置に当たり、地域の同意は必要ないとされているが、実際には市に対して地域の方から不安や心配の声が寄せられることもあり、本市としては、法の趣旨を説明し、理解が得られるよう取り組んでいる。一方、障がい者施設が開設後、長期にわたって安定的に運営していくためには、地域住民との良好な関係を築いていくことが不可欠であり、施設等に対して、地域へ丁寧な説明を行うよう助言しているところである。 240 ◯浜崎委員 次に、地域で在宅生活を送るために必要なサービスについて尋ねる。自傷行為や突発的な行動など、問題行動の激しい知的障がい者などが安全に外出するためには、行動障がいに関する専門職による行動援護のサービスが不可欠だが、事業所が不足していると聞いている。現状と対策はどうなっているのか。 241 △保健福祉局長 障がい福祉サービスの一つである行動援護は、事業所数の一定の増加が見られるものの、サービスを提供するヘルパー及びサービス提供責任者の資格要件が、ほかのサービスに比べると厳しいことなどから、十分な事業所数には達していない。そのため、重度障がい者全般を対象とした移動支援で対応可能な場合は、行動援護にかえて移動支援を利用いただいているところである。今後とも、行動援護の事業所数の増加を図るために、移動支援や居宅介護の事業所に対して、行動援護への参入を働きかけていきたいと考えている。 242 ◯浜崎委員 現在、本市では、知的障がい者の移動支援の対象者は療育手帳Aに限定されているが、療育手帳Bの障がい者の中にも、1人での外出が困難な人もおり、外出支援の必要性は療育手帳の等級だけでは判断できないと思う。家族の負担軽減のためにも、現在の移動支援の対象者を拡大する必要があると考えるが、所見を伺う。 243 △保健福祉局長 移動支援は1人での外出が困難な重度の障がい者を対象に実施しており、知的障がい者についても、重度である療育手帳Aを対象としている。移動支援については、利用範囲の拡大や療育手帳Bへの対象者拡大を望む声が大きいことは十分認識しており、現在策定を進めている次期保健福祉総合計画の中で、今後のあり方について検討していく。 244 ◯浜崎委員 介護家族の休息のためには短期入所サービスが重要であると考える。また、保護者が急病の際などにも、一時的に障がい者を預かる施設が必要であるが、短期入所が利用しにくいという声を聞いている。そこで、短期入所の利用実績について傾向を伺う。また、事業所が不足しているのであれば、どのような対策を検討しているのか。 245 △保健福祉局長 短期入所については、事業所数、利用定員とも増加しており、その結果、利用者数及び利用日数等の実績も増加している。市内事業所の平均利用率は、26年度で48.1%であることから、全体的には定員に余裕がある状況にあるが、休日など利用申し込みが集中するなど、利用しづらい実態があることも承知している。今後とも、事業所数の伸びや利用の実態を見ながら、対応を検討していく必要があると考えている。また、重症心身障がい児・者が利用する医療型短期入所は、事業所数も定員も少なく、特に児童については利用が困難な状況が続いていることから、今後とも申請勧奨を続けていく。なお、医療的ケアが必要な重症心身障がい児・者に関しては、在宅で生活する際の家族の介護負担軽減が大きな課題であると考えており、その対応について、NPOや関係機関と共働して、検討を進めていく。 246 ◯浜崎委員 財政状況も厳しい中、さまざまな取り組みがなされているが、特に本市南部地域においては、これらの障がい者施設が足りないとの声も聞こえていることから、今後とも障がいのある方々が住みなれた地域で安心して暮らしていけるよう、本市の努力を求める。次に、介護報酬改定に伴う特別養護老人ホーム等の運営について尋ねる。少子・高齢化の進展に伴い、今後、要介護者が増加していくことが想定されており、ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯も増加傾向にある。市民が高齢になり、介護が必要になっても、住みなれた家庭や地域で安心して暮らせるような社会を構築することが重要であり、これからはより一層介護福祉サービスの充実が求められる時代になると思うが、全国の要介護認定者数は今後10年間でどのように推移していくのか。また、今後、要介護認定者が増加していく中、国の介護保険の金額はどのように推移していくのか。 247 △保健福祉局長 平成27年4月に厚生労働省より公表された全国集計によると、要介護認定者は、平成26年12月末の588万人から、37年度には826万人に増加すると見込まれている。また、25年度に9兆4,000億円だった介護給付の額は、平成24年3月の社会保障に係る費用の将来推計によると、37年度には21兆円程度になると見込まれている。 248 ◯浜崎委員 この10年間で、要介護者は588万人から826万人へと約1.4倍、国の介護給付も9.4兆円から21兆円へ約2.2倍と、今後ますますふえていく。介護サービスにはさまざまな形態があるが、代表的な特別養護老人ホーム及びデイサービスについて、市内の施設・事業所数、利用者数及び同サービス提供に要する費用として、26年度に本市の介護保険会計から幾ら支払われたのか。 249 △保健福祉局長 特別養護老人ホームについては、26年度末で70施設、月平均利用者数4,164人に対して、26年度の給付額が合計で127億5,500万円となっている。デイサービスについては、26年度末で499事業所、月平均利用者数1万7,091人に対し、26年度の給付額は合計で148億1,000万円となっている。 250 ◯浜崎委員 全国の数字として、今後10年間で介護給付費が2.2倍になると見込まれており、本市においても、10年後に2.2倍になれば、特別養護老人ホームで約280億円、デイサービスで約325億円と、この2つのサービスだけでも、このように大きな額を市の介護保険会計で支払う必要が生じることになる。介護に要する費用は、今後、介護を必要とする高齢者の増加にしたがって増加していくため、介護保険制度の持続可能性を高めるには、費用を抑制するためのさまざまな取り組みが必要であり、今般行われた介護報酬の改定もその一環と認識しているが、27年度介護報酬改定はどのような内容なのか。また、特別養護老人ホームやデイサービスでは改定前とどの程度変わったのか。 251 △保健福祉局長 今回の介護報酬の改定については、基本報酬が全体的に引き下げられている一方で、加算の創設や拡充も行われている。具体的な内容としては、例えば特別養護老人ホームのユニット型個室に要介護3の方が入所する場合、本市では1単位10.45円で換算しているが、基本報酬が入所者1人1日当たり807単位から762単位と、45単位引き下げられている。一方で、みとりの方1人につき1日当たり80単位から144単位とする64単位の加算の引き上げや、専門職を一定数以上有する場合のサービス提供体制強化加算に、入所者1人につき1日18単位が加算される新たな加算区分の創設などが行われている。また、通常規模のデイサービスで、要介護3の方に8時間のサービスを行う場合、基本報酬は、利用者1人1日当たり944単位から898単位と、46単位引き下げられているが、認知症の方1人につき1日当たり60単位の認知症加算の創設や、特別養護老人ホームと同様、サービス提供体制強化加算の新たな区分の創設などもあわせて行われている。 252 ◯浜崎委員 今回の報酬改定で減収となり、賞与のように一時的な支出増加への対応が困難となる事業所がふえてくるとの声も耳にするが、今回の減額改定に対して本市はどのような認識を持っているのか。 253 △保健福祉局長 今回の介護報酬の改定において、基本報酬については全体的に引き下げられているが、介護職員の処遇改善や認知症への対応など、社会情勢の変化に応じて求められるサービス機能を強化することに対して、加算などで評価される仕組みとなっており、一律に全ての事業所の経営にマイナスに影響するものではないと考えている。 254 ◯浜崎委員 想定しているように、都合よく加算等の取り組みが行われていない事業所もあると思うが、市はどのように対応していくのか。 255 △保健福祉局長 今回の介護報酬改定は、国としても事業所の実態を踏まえた上で、介護サービスの機能強化などが図られるように行ったものと理解しているが、事業所の状況は、その運営体制や規模のほか、目指すサービス提供のあり方やその方法など、実態はさまざまであると認識している。事業所によって異なる現状を踏まえ、介護保険制度の円滑かつ安定した運営が行えるよう、今後とも必要に応じて、国に対して実態を踏まえた要望等を行っていきたいと考えている。 256 ◯浜崎委員 現在の介護保険制度においては、全国一律の基準で介護報酬が決められており、全国どこでも同じサービスであれば利用者負担は変わらず、利用者にとって安心感を与えるという効果もあると思うが、一方で、本市には本市の経営環境があり、地域によって異なる状況や事業所が行うサービス提供への取り組みがしっかりと評価される介護報酬でなければいけない。それぞれの事業所の実績を把握した上で、市長会や局長会などさまざまな場面において、積極的に議題として取り上げてもらうなど、国に対しても、地域や介護事業所の状況を福岡から伝えてもらいたい。次に、ユニバーサルツーリズムについて尋ねる。障がい者や体調に不安のある高齢者などは、移動や宿泊等において何らかの不安や支障があるため、なかなか旅行に行けないと聞いている。このような中、障がい者や高齢者など誰もが旅行を楽しむことができるユニバーサルツーリズムという概念があり、他の都市では既に取り組みが始められている。これからの高齢化社会も見据え、増大する高齢者や障がい者など誰もが楽しめる観光都市として、本市もユニバーサルツーリズムに取り組んでいくべきと考えるが、ユニバーサルツーリズムの概念を尋ねる。 257 △経済観光文化局長 観光庁においては、ユニバーサルツーリズムとは、全ての人が楽しめるようにつくられた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気がねなく参加できる旅行とされている。また、その対象は、高齢者や障がい者のほか、妊産婦、乳幼児連れの方、さらに、言葉や習慣の違いによる不自由さを抱える外国人など幅広く、観光や移動に際して困難を生じたり、何らかの支援を必要とする方々となっている。 258 ◯浜崎委員 ユニバーサル都市・福岡の実現を目指している本市では、観光振興において、ユニバーサルツーリズムの観点からどのような取り組みをしているのか。 259 △経済観光文化局長 本市では、ユニバーサル都市・福岡の実現に向け、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、バリアフリーのまちづくりなどを進めており、また、誰もが安心して気軽に外出することができるよう、市内の施設のバリアフリーの整備状況をホームページ等で情報提供している。さらに、観光振興の観点からは、観光客の受け入れ環境整備の一環として、特に外国人観光客の利便性の向上を図るため、本市の観光情報サイト「よかなび」や観光案内板、観光パンフレットの多言語化、観光案内所における英語、韓国語、中国語による観光案内などに鋭意取り組んでいるところである。 260 ◯浜崎委員 本市の観光振興においては、特に外国人観光客に対する取り組みが行われているようだが、国内では既に障がい者や高齢者向けのユニバーサルツーリズムに取り組んでいる都市もあると聞いている。その先駆けは、三重県の伊勢志摩バリアフリーツアーセンターであり、NPO法人が運用し、障がい者や高齢の旅行者に宿泊施設などのバリアフリー情報を発信したり、常駐の相談員が旅行相談に応じたりしている。また、神戸市のNPO法人が運営する神戸ユニバーサルツーリズムセンターでは「KOBEどこでも車いす」という車椅子無料レンタルサービスがあり、観光案内所など11カ所で無料で借りることができ、さらに、借りた場所に返さなくてもよく、他の設置場所に返却することが可能になっている。本市では、都市の成長に向けて、国の内外から交流人口の増加を図るため、観光の振興に力を入れているが、外国人観光客だけでなく、これからの高齢化社会を見据え、増大する高齢者や障がい者など、誰もが楽しめるユニバーサルツーリズムに取り組み始めなければならないと考える。障がい者や体調に不安のある高齢者が旅行する際に最初に求めるものは、旅先のバリアフリーなどの情報ではないかと考える。ユニバーサル都市・福岡の実現を目指している本市だからこそ、ユニバーサルツーリズムの観点から、まずは観光の相談ができる一元的な窓口を設置し、旅行者の要望や状態に合わせた情報の提供、発信に取り組んではどうか。 261 △経済観光文化局長 おもてなしの心にあふれた観光都市福岡の実現に向け、ユニバーサルツーリズムの考え方は重要と認識している。このため、観光案内所や観光情報サイト「よかなび」において、市内観光に配慮を要する障がい者や高齢者などに、観光施設のバリアフリー情報の提供を行うとともに、旅行者の要望や状態に合わせた観光案内所の相談機能の強化に努めるなど、関係局や民間事業者等とともに連携を図りながら取り組んでいく。 262 ◯尾花委員 公明党市議団を代表し、まず、資金管理の運用益の向上策について質問する。2項目めで、多子世帯の支援策の拡充を提案するが、その財源はどうするのかという観点から1項目めを選んでいる。平成26年7月1日、大分県国東市は、地方公共団体金融機構から、地方公共団体ファイナンス賞を受賞している。受賞理由は、調達と運用の活動基準を設定し、運用の収益性向上と調達の効率性向上に励んだことである。基金で見てみると、25年度決算で、東京都が0.187%の利回りであるのに対し、国東市は1.960%と、とても高い運用利回りを達成している。その背景は、25年度、26年度の2年間だけでも、財務活動管理方針の一部改正、規則の改正、条例制定を含め7度の見直しを行い、他団体の優良事例を学ぶ真摯な姿勢にあることを伺い知ることができる。これまで行政改革や財政健全化の手法としてほとんど注目されなかった資金の有効活用について、本市はどのように取り組んでいるのか、決算特別委員会の審査方針「資金の運用は効率的になされたか」をキーワードに尋ねていく。資金の調達である借り入れと運用である貸し付けは相反するように見えるが、貸し借りという金融活動の表と裏の関係であり、利回りの決定の原理や目的は共通、一体的に取り組むべき活動である。運用と調達には、市民から預かった大事な公金を、市民の利益を前提に、安全性の確保、効率性の追求の2つの視点から取り組むことが重要とされているが、その意味をわかりやすく解説されたい。 263 △会計管理者 安全性の確保とは、公金が損失することのないよう、安全な金融商品により保管及び運用を行うとともに、預金については金融機関の経営の健全性に十分留意することである。また、効率性の追求とは、安全性を十分確保した上で、有利な運用による収益の最大化を図るとともに、より低い金利での資金調達に努めることである。 264 ◯尾花委員 本市は、資金調達及び運用の状況をホームページで公開しているが、26年度決算、5年前の22年度決算、10年前の17年度決算における歳計現金の借り入れと基金の運用の平均利率の推移はどうなっているのか。先ほどの2つの視点をもとに、これまでどのような取り組みを行ってきたのか。他都市比較で運用利率が1位と自負する根拠を示されたい。 265 △財政局長 まず、歳計現金の借り入れに係る平均利率は、17年度は0.221%、22年度は0.354%、26年度は0.193%となっている。また、財政局で一括運用している基金の運用に係る平均利回りは、17年度は0.908%、22年度は1.733%、26年度は1.513%となっている。次に、歳計現金の借り入れにおける借り入れ利息を減らす取り組みは、企業会計等の資金の活用や基金の繰りかえ運用など、また、基金運用における運用益をふやす取り組みは、各局が所管する基金を基本的に財政局で一括管理することや、基金に属する現金を超長期年限の債券で運用することなどに取り組んできた。次に、財政局において一括して運用している基金の運用利回りは、その算出方法に統一基準があるわけではないが、ホームページで、25年度の基金の運用利回りを公表していることを財政局で確認することができた13都県及び6政令指定都市で比較を行ったところ、最も高い運用利回りを確保していたものである。 266 ◯尾花委員 運用利率を見ると、預金運用より一時借入利率が高く、また、一時借入利率より長期債券で運用するほうが高い。基金の運用収益と一時借り入れの利息の収支バランスを勘案し、資金トータルで最も確実かつ効率的な運用を選択することが大切なことがわかる。長期、超長期で運用する資金をふやせば、増収効果はより大きくなる。そこで、過去5年間の本市の財政局一括運用分の平均基金残高の推移を尋ねる。 267 △財政局長 財政局で一括運用している基金の過去5年間の各年度の平均残高は、22年度が約1,536億円、23年度が約1,498億円、24年度が約1,601億円、25年度が約2,062億円、26年度が約2,511億円となっている。 268 ◯尾花委員 ついに、2,500億円を突破している。運用利率が1%違えば、2,500億円掛け1%、25億円、この金額は正職員1人当たりの年間人件費を800万円と仮に仮定して、実に約300人分の人件費にも相当する金額である。財政局では、歳計現金の一時借入金に係る負担軽減、借入利率の低減を図るため、一括運用基金を活用した繰りかえ運用をしているとのことだが、それでは、過去5年間の基金の歳計現金への繰りかえ運用の平均残高の推移と、この繰りかえ運用を使ったことによる効果について、26年度決算の実績に基づき示されたい。 269 △財政局長 財政局で一括運用している基金による繰りかえ運用の過去5年間の各年度の平均残高は、22年度が約59億円、23年度が約56億円、24年度が約97億円、25年度が約298億円、26年度が約349億円となっている。また、基金による繰りかえ運用の効果は、基金による繰りかえ運用のかわりに金融機関から借り入れたと仮定した場合の26年度の平均借り入れ利率は0.272%と試算しており、これは実績の0.193%より約0.08ポイント高いことから、それだけの低減効果があったものと考えている。 270 ◯尾花委員 短期資金借り入れの方法として、債券売り現先取引というものがあるが、この制度の概要と、本市はこの仕組みを取り入れているのか尋ねる。 271 △財政局長 債券売り現先取引は、一定期間後に一定の価格で買い戻すことをあらかじめ合意の上、債券を売却するものであり、一般的に短期資金の調達手段の一つとされており、本市においても活用している。 272 ◯尾花委員 今、説明があったが、債券売り現先取引は、現時点での調達方法としては、よいことずくめの仕組みのようである。この仕組みによる歳計現金の長期運用の可能性について、会計室に確認したところ、年度末に返済しなければならないため、歳計現金で長期運用していないとの返事があり、正直とても驚いた。そこで尋ねるが、本市が定めた歳計現金等の保管・運用に係る基本方針の第3条第2項には何と規定されているのか。 273 △会計管理者 歳計現金等の保管・運用に係る基本方針の第3条第2項は、前項の規定にかかわらず、資金収支の状況により、支払い準備金に一時的な余裕資金が見込まれる場合には、指定金融機関及びその他の金融機関の定期預金等に資金を移動し有利な運用を図るものとする。ただし、預金と比較して有利と判断されるとき、もしくは安全性を確保する上で必要と判断されるときは、債券による運用並びに本市公営企業会計への繰りかえ運用ができるものすると規定している。 274 ◯尾花委員 今の規定では、歳計現金は債券による運用ができると規定されているが、歳計現金への繰りかえの平均残高は年々増加し、この4年間で約290億円もふえているのに、債券運用をしていない理由、しない理由は何か。 275 △会計管理者 歳計現金に余裕資金が生じた場合には、歳計現金等の保管・運用にかかる基本方針に基づき、金融機関への預金による運用を行っているが、歳計現金はほぼ年間を通して不足し、銀行からの一時借り入れや基金からの繰りかえ運用等で対処しており、債券による運用はできない状況となっている。 276 ◯尾花委員 歳計現金が恒常的にマイナスになっていることが主な原因のようである。その理由と、26年度の月末平均残高をあわせて尋ねる。 277 △会計管理者 26年度の歳計現金等の月末平均残高は、約83億円のマイナスとなっている。マイナスになっている理由は、地方公共団体の予算の執行に当たっては、公共事業等の歳出予算が先に執行され、後から国庫支出金等の歳入予算を受け入れるという流れになっていることである。特に、年度当初に商工金融資金を初めとした制度融資のための預託金として、900億円を超える歳出予算の執行が大きな要因になっている。 278 ◯尾花委員 歳計現金における資金不足の要因は、制度融資に係る預託金の存在であり、特に預託額の大きな本市は恒常的な資金不足に陥っている。そこで、商工金融資金制度などの融資制度に係る預託金の総額を尋ねる。 279 △財政局長 26年度決算見込みにおける預託金の総額は、約994億円である。 280 ◯尾花委員 預託額は1,000億円にも迫る大変大きな金額であるが、それでは、その預託額をどのように決めているのか。 281 △経済観光文化局長 本市予算に計上している預託金の大部分は、経済観光文化局が所管する商工金融資金に係る預託金であるため、私から答弁する。商工金融資金の例では、預託額は、景気や中小企業者の資金需要から融資枠を設定し、市中金利と商工金融資金制度により軽減された融資金利との差を踏まえ、金融機関との協議を経て、額を決定している。 282 ◯尾花委員 商工金融資金制度などの制度融資に係るものが大半を占めているということである。その預託額は、年度末に一旦償還され、当該年度に諸収入として繰り入れられるが、自由に使えるお金ではなく、新年度予算案の歳出に、貸付金として計上され、再度、金融機関に預けられることになっている。そこで貸付金の決算額の過去3年間の推移、一般会計に占める構成比の推移を尋ねる。 283 △財政局長 過去3年間の一般会計の貸付金及びその一般会計歳出合計に占める割合は、24年度決算額が約1,278億円で17.0%、25年度決算額は約1,227億円で16.0%、26年度決算見込み額が約1,155億円で15.0%となっている。 284 ◯尾花委員 かなり大きな金額、割合を占めているが、本市は、民間金融機関に対して無利子や低金利で預託を行うことにより、そうしなければ獲得できたであろう預託金の運用収入を放棄していることになる。制度融資に係る預託金の大部分を占める商工金融資金の目的は、中小企業者の借入利息軽減であり、市内中小企業支援の重要な施策であるが、一方で、市全体の資金運用における影響も大きなものとなっている。商工金融資金に関して、効率的な資金活用の観点から、より適切な制度運用が求められるところであるが、所見を尋ねる。 285 △経済観光文化局長 商工金融資金制度については、その時々の経済情勢等を踏まえ、市内中小企業者の資金需要に対応するために必要十分な融資枠を確保するとともに、市中金利より融資利率を軽減することで、中小企業者の円滑な資金調達を支援するものである。中小企業者への融資利率を軽減する方法としては、利子補給を行う方法と、預託金により融資利率を低く設定する方法が考えられるが、現状では、預託金による方法のほうが市の財政負担が少なく、合理的であると考えている。指摘の市全体の効率的な資金運用と中小企業者の資金需要への対応の両方の観点を踏まえ、関係局と協議の上、金融機関ともしっかりと協議を行い、預託金額を見きわめるなど、今後とも適切な制度運用に努めていく。 286 ◯尾花委員 本市の財政局一括運用分の平均基金残高のうち、減債基金が7割を占めているが、今後は市債発行の抑制により、減債基金が減少することも予想される。また、歳計現金も、先ほどの答弁にあったように、預託金支払いのため、常にマイナスの状況である。それでは今後どのように資金管理による運用益の向上を図っていくのか、選択肢が限られてくると思うが、所見を尋ねる。 287 △財政局長 財政局で一括運用している基金については、各局において新たな基金が創設された際は、基本的に財政局で一括管理、運用することにより運用資金の増大を図ることや、利率の高い超長期年限の債権による運用を拡大することなどにより、引き続き運用益の確保に努めていく。 288 △会計管理者 歳計現金の運用益の向上について答弁する。歳計現金は、ほぼ年間を通して不足している状況ではあるが、繰りかえ運用が年々増加しており、今後も正確な支払い準備基金の状況把握に努めながら、余裕金が見込める場合には、確実かつ有利な運用に努めていく。 289 ◯尾花委員 国東市などの先進的な優良事例に学び、保有債券の中途売却、債券の取得がえによる運用益の拡大に取り組んではどうか。所見を尋ねる。 290 △財政局長 本市では、これまで債券運用の先進的な取り組みを行ってきたが、引き続き法令などを踏まえながら、他団体の事例を含め、運用方法等の情報収集を行い、より効率的な運用となるよう研究していく。 291 ◯尾花委員 しっかり研究し取り組まれたい。公営企業及び25%以上出資の外郭団体30団体における資金管理で、運用益の向上を図る取り組みを調査したこところ、26年度実績で、「運用を行っていない」が3、「預金による運用」が10、「満期目的で地方債を保有し運用している」が14、「一般会計への資金貸し付け」が3など、どれもばらばらで、運用指針の策定など一定のルール化がなされてないようである。本市のグループファイナンスという観点を持ち、その現状を把握し、安全性の確保、効率性の追求の2つの視点から、最も確実かつ有利な運用の選択となるよう、本市が積極的に関与していくことが、資金の有効活用につながっていくのではないか。人事異動により3年で交代することの多い財政担当職員の実態に鑑み、市民の利益のために財源を創出しているという事業遂行への動機づけ、負担軽減のための一定のルール化によるシンプルな運用方法の確立など、さらなる改善に取り組むべきではないか。あわせて所見を尋ねる。 292 △財政局長 財政局においては、これまでも基金の一括運用で蓄積したノウハウを生かし、適宜、外郭団体等の資金運用の支援に努めてきたところではあるが、このたびの指摘を踏まえ、外郭団体等の資金運用について、より積極的に支援を行うとともに、資金運用担当職員の専門的な知識やノウハウをより円滑に継承できるよう、取り組みを進めていく。 293 ◯尾花委員 本市は、26年度は約1億9,000万円を一時借入金利息として支払う一方、基金運用で約38億円の利子等を受け取っており、差し引き約36億円がいわば純利益となっている。例えば、過去に緊急雇用創出事業を行い、100人が半年間働くことができる就労支援を行ったが、その予算は1億円である。純利益36億円であるから、これだけの財源があれば、3,600人を半年間、就労支援することができる計算になる。これまでいろいろと述べてきたが、さらなる改善を行えば、より高みを目指すことができる。間断なく資金管理の運用益の向上に取り組むことは、本市の厳しい財政状況の中で、市民の利益のために財源を生み出すことができる財産の有効活用方策の一つとして、とても重要な施策である。この項目の質問の最後に、資金管理の部局を統括する貞刈副市長の所見を尋ねる。 294 △貞刈副市長 議員指摘のとおり、運用益の確保は重要な課題と認識している。基金の運用に当たっては、より効率的な運用を目的として、財政局において、各局所管の基金を基本的に一括管理し、収益性が高く、かつ安全、確実な地方債や国債等の債券を中心として、毎年度平準化して購入することで金利変動リスクを緩和するなど、安定した運用益の確保を図っている。提案いただいた外郭団体等の資金運用に対する支援の強化にしっかり取り組むとともに、今後とも安全性を確保しつつ、効率的な基金運用に取り組み、運用益の確保にさらに努めていく。 295 ◯尾花委員 次に多子世帯の支援策の拡充について尋ねる。さきの統一地方選では、多くの高齢者から年金のマクロ経済スライドの方式についての質問を受けた。そのとき強く感じたのが、年金の支え手をふやす取り組みを真剣に進めなければならないということである。また、先日、市民相談で、乳飲み子を含め、小さな子どもが4人いる専業主婦からいろいろと話を聞く機会があった。朝は5時起きで弁当をつくり、幾度となく洗濯機を回し、掃除、幼稚園への送迎、買い物、夕食の準備などフル回転、食費、おむつ代など生活必需品、光熱費、外出の際の交通費、幼稚園などの通園費用などもばかにならず、子どもが1人でも病気になったらパニック状態になると聞き、体力的にも精神的にも経済的にも大変な苦労の中、けなげに子育てに奮闘している姿にとても感銘を受けた。年金の支え手をある意味懸命に育てているこの多子世帯の人々こそ、社会全体でしっかりサポートしていかなければならないのではないか、そうした思いに強く駆られ、この多子世帯の支援策の拡充について質問する。現在の少子化の状況は、我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねない危機的な状況にあると言われているが、その意味を、出生数と人口減少数、高齢化率を使ってわかりやすく示されたい。あわせて、我が国を取り巻く少子化問題に対する本市の現状認識を尋ねる。 296 △こども未来局長 国の少子化社会対策大綱によると、我が国の平成26年の出生数は推計で100万1,000人と過去最少で、年間の自然増減数も推計で26万8,000人の減となっている。また、人口減少とあわせて、高齢化が進行しており、平成72年には高齢化率が約4割に達すると推計されている。本市においては、福岡市基本計画の推計によると、14歳以下の年少人口が平成32年ごろをピークに減少に向かう一方で、高齢化率は平成52年には31%に達すると予測されている。こうした状況に伴い、地域や社会の担い手の減少、現役世代の負担増加、経済や市場の規模の縮小や経済成長率の低下などの影響が生じることが懸念されており、少子化問題は大きな課題であると認識している。 297 ◯尾花委員 一方で、少子化危機は克服できる課題とも言われている。フランスやスウェーデンは、子育て支援の充実や仕事との両立支援策など、長期にわたる少子化対策により、一旦は低下した出生率が2.0程度までの回復に成功した。また、国全体としてみれば、少子化が進行し続ける我が国においても、少子化対策に真剣に取り組み、子育てしやすい環境を整備する努力を地域全体で行ってきた結果、高い出生率を保ち、また、出生率が上昇した地方自治体も出現している。そこで尋ねるが、本市の最新の総世帯数と多子世帯数、総世帯数に占める多子世帯数の割合を示されたい。あわせて、最近の本市の合計特殊出生率の状況を政令市比較で示されたい。 298 △こども未来局長 本市の最新の総世帯数は、平成27年9月1日現在の推計で76万6,413世帯となっている。そのうち、多子世帯は2万世帯程度で、総世帯数に占める割合は2.6%程度と推測している。また、本市の合計特殊出生率は、最新の調査結果である平成22年の国勢調査によると、1.25となっている。同じ時点で、全国は1.39、政令指定都市は1.09から1.57の範囲であり、本市は19政令指定都市中、低いほうから4番目となっている。 299 ◯尾花委員 多子世帯数は総世帯数の約2.6%、合計特殊出生率は政令市のうち、下から4番目ということである。国立社会保障・人口問題研究所の2010年の調査によれば、理想の子ども数が2人と答えた夫婦の割合は約50%、3人は約40%、4人以上は約5%、1人は約4%となっている。3人以上の子どもを持つことは、子育て、教育、子ども部屋の確保など、さまざまな面での経済的負担が大きくなり、それが第3子以降を持てない最大の理由となっている。全ての子育て家庭を支援していく中で、3人以上子どもを持ちたいとの希望を実現するための環境を整備することは、現在の少子化に歯どめをかけることにダイレクトにつながる。そこで、26年度決算ベースにおける多子世帯の支援策の概要と事業費、子育て支援策全般に占める割合、その効果について尋ねる。 300 △こども未来局長 多子世帯支援策については、第3子以降の児童を対象に、保育料の免除等を行う第3子優遇事業のほか、児童手当や児童扶養手当の加算を行っている。また、多子世帯に限定した支援ではないが、留守家庭子ども会に兄弟児が同時に入会する場合、2人目以降の基本利用料の全額免除などを行っているほか、保育料も、同時に保育施設などを利用している場合には、2人目の児童を半額、3人目以降の児童は無料としている。多子世帯の支援に係る事業費は、第3子優遇事業の事業費及び児童手当、児童扶養手当の加算に係る事業費を合わせ、26年度決算で15億8,094万7,000円と推計しており、子育て支援策全般に占める割合は約1.6%である。また、その効果については、事業との関連の検証が難しい状況であるが、第3子優遇事業を開始した平成17年と平成25年とを比較すると、第3子以降の出生数は、平成25年が2,259人で、655人の増となっており、また、出生全体に占める第3子の割合も、12.9%から15.3%へと増加している。 301 ◯尾花委員 多子世帯に係る施策の事業費は、子育て支援策全般の約1.6%にとどまっているということである。それでは、27年度に新たに実施した福岡市多子世帯応援券事業の概要とその事業費、その狙い、翌年度以降も事業は継続されるのか尋ねる。 302 △こども未来局長 事業概要は、国の交付金を活用し、児童手当の受給者で3人以上の児童を養育している世帯へ1万円分の多子世帯応援券を配付するものであり、事業費は、全体で2億5,001万6,000円である。本事業の狙いは、日常的に経済的負担が大きい多子世帯を支援するとともに、子育て関連用品を中心とした消費喚起を図るものである。また、本事業は国の地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金を活用し実施するものであり、単年度事業とされていることから、翌年度以降の実施は予定していない。 303 ◯尾花委員 この事業は、日常的に経済的負担が大きい多子世帯を支援するとともに、子育て関連用品を中心とした消費をふやすという点で一定の効果を上げているようであるが、財源となる国の交付金の名前が、地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金とあるように、事業の継続性の担保はなく、一時的な支援という性格を払拭し切れないもののようである。他の政令市では、多子世帯の支援策として特色ある事業を行っているようであるが、札幌市、新潟市、北九州市の事例を示されたい。 304 △こども未来局長 札幌市は、交付金を活用し、高校3年生までの子どもが3人以上いる世帯に1万1,000円分のプレミアム商品券を無料で配付している。また、新潟市は、子どもが3人以上いる世帯の医療費を入院、通院とも高校3年生まで助成するとともに、小学3年生以下の子どもが3人以上いる世帯の第3子以降の保育料を無料にしている。北九州市は、市営住宅の定期募集において、多子世帯の募集枠を確保するとともに、一定の要件を満たす民間賃貸住宅等に転入する若年の多子世帯に対し、転入費用の一部助成等を行っている。 305 ◯尾花委員 どの自治体も一生懸命、多子世帯支援に取り組んでいる。26年度、正確には平成27年3月20日に閣議決定された少子化社会対策大綱において、重点課題の一つである「多子世帯への一層の配慮を行い、3人以上子どもが持てる環境を整備する」において、施策の具体的な内容として掲げられているものは何か。 306 △こども未来局長 まず、子育て、保育、教育、住宅など、さまざまな面での負担軽減として、幼稚園、保育所等の第3子以降の保育料の無償化の対象拡大等に向けた検討、また、多子世帯または第3子以降を対象とする保育所等の優先利用、また、住宅政策における多子世帯への配慮、優遇措置が掲げられている。また、社会の全ての構成員による多子世帯への配慮の促進として、子育て支援パスポート等事業の充実や、公共交通機関等における負担の軽減の要請が掲げられている。 307 ◯尾花委員 子育て、保育、教育、住居など、多子世帯におけるさまざまな面での負担の軽減の充実に取り組むことが打ち出されており、具体的な施策として、多子世帯または第3子以降であることを、保育所等の優先利用の事由の一つとして位置づけることが挙げられている。そこで、まず、ニーズの高い病児・病後児保育利用料の無料化を行ってはどうか。所見を尋ねる。 308 △こども未来局長 病児・病後児デイケア事業の利用者負担金は1日当たり2,000円であるが、生活保護世帯や市県民税非課税世帯には全額免除、所得税非課税世帯は半額免除とするなど、所得に配慮した利用負担としている。多子世帯の無料化については、国や他都市の動向に留意していきたい。
    309 ◯尾花委員 UR都市機構が多子世帯を対象に20%の家賃減額を実施しているようであるが、平成27年9月28日現在の募集戸数は、福岡市全体で9戸にとどまっており、絶対量が足りていない。そこで、住宅政策における多子世帯への配慮、優遇措置として、埼玉県などの自治体で既に取り組んでいる中古戸建住宅取得と住宅リフォーム費用に対して助成する多子世帯向け中古住宅取得・リフォーム支援事業、北九州市の新婚・多子世帯等への家賃・住宅購入補助、大阪市の住宅購入ローン利子補給などを行ってはどうか。また、私の住んでいる地域では、壁面に動物の絵や乗り物の絵が描かれている市営住宅をよく目にする。無機質の灰色の壁面に比べ、とても温かな優しい気持ちになる。こうした子ども目線のデザインの導入や児童の遊び場の整備など、子育て環境の整備を促進してはどうか。地域全体で子育てを支援しているという意識の醸成にもつながると思うが、あわせて尋ねる。 310 △住宅都市局長 住宅政策における多子世帯への配慮、優遇措置については、少子化への対応が大きな課題となっている中、多子世帯等の子育て世帯に対する施策は重要であると考えており、今後、他都市の事例や住宅市場の動向等を踏まえ、検討を行っていく。また、市営住宅においては、機能更新の際に、みんなにやさしいユニバーサルデザインの導入を図っているところであり、子どもに優しい住宅という視点も踏まえ、環境整備に努めていく。 311 ◯尾花委員 少子化社会対策大綱では、社会の全ての構成員による多子世帯への配慮の促進、すなわち、地方自治体、企業、公共交通機関など社会の全ての構成員の協力により、多子世帯への一層の配慮、優遇措置を促進することが打ち出されており、具体的な施策の事例として、子育て支援パスポート事業の充実と、公共交通機関等における負担の軽減の要請などが挙げられている。ここで、青森県弘前市の先進事例の視察調査を行ったので、少し紹介する。弘前市は、子どもが3人以上いる世帯の市公共施設の利用料が無料になる「ひろさき多子家族応援パスポート」と、市中心部での乗り降りする場合のバス運賃が親子で片道100円になる「まちなかお出かけパス」の発行を25年度から始めている。子育て世代の経済的な負担軽減を図るのが目的で、公共交通の利用促進や中心市街地の活性化などの効果も出始めている。応援パスポートは、18歳未満の子どもが3人以上いる市内在住者が対象で、パスポートを提示すれば、プラネタリウムや植物園、プールなど、市内30の文化・体育・社会教育施設の入場料や使用料などが、親子ともども無料になる。お出かけパスは、小学生以下の子どもとその保護者が対象で、登録料として1,000円を支払い、パスの発行を受けると、中心市街地のバス停24カ所で乗り降りする場合、運賃が保護者は片道100円、子どもは無料となる。弘前市の担当者によれば、多子世帯の人が応援パスポートやお出かけパスを利用することによって、経済的負担の軽減のみだけではなく、親子での外出や触れ合いの機会がふえ、文化・体育・社会教育施設の利用者数も伸び、食事や買い物などをすることにより、地域経済の活性化にもつながり、二重三重にとどまらず、四重五重の相乗効果があり、大変に喜ばれているとのことである。多子家族応援パスポート事業に限って言えば、26年度決算で、パスポート発行世帯数465世帯、パスポート利用人数は延べ2,370人、事業費はパスポートの発行関連経費5万円であり、市内の公共施設という既存ストックの有効活用にもつながっている。「ひろさき多子家族応援パスポート」には名前と生年月日、年齢が書かれている。また、これには、たか丸君というゆるキャラが書いてあるが、このパスポートを見せるだけで、市の公共施設に無料で入れるという仕組みで、施設の利用料収入が少し減るというデメリットはあるものの、先ほど述べた多子家族の経済的支援の強化、また、家族での外出機会の創出、また、文化・運動・社会教育の推進と、それをはるかに上回るメリットがあり、多子家族世帯支援に少ない費用で最大の効果を上げている。そこで尋ねるが、動植物園、プール、福岡市美術館、福岡市アジア美術館、福岡市博物館などの市内の文化・体育・社会教育施設などの既存のストックを有効活用し、親子ともども無料などの利用料減免の多子世帯の支援策を行ってはどうか。各施設の利用者の増加にもつながる有効な手だてと思うが、各施設の過去3年間の利用者数の推移もあわせて、所見を尋ねる。また、この事業のかなめとなるのが、この多子家族応援パスポートの発行だが、本市としても多子家族応援パスポートを発行し、同様の事業を行ってはどうか。子ども施策を担当するこども未来局長に所見を尋ねる。 312 △住宅都市局長 まず、福岡市動植物園における過去3年間の入園者数は、24年度は81万683人、25年度は95万4,855人、26年度は99万916人となっている。動植物園では、より多くの子どもたちに来園してもらうために、中学生以下の子どもたちの入園料を無料としている。多子世帯への支援については、関係局と協議を行いながら、対応を検討していく。 313 △市民局長 各区の市民プールの過去3年間の利用者数の推移は、24年度は73万5,783人、25年度及び26年度は一部のプールが改修工事に伴い休館しているが、25年度は72万6,499人、26年度は72万1,462人となっている。市民プールにおける多子世帯への支援については、関係局と協議を行いながら、対応を検討していく。 314 △経済観光文化局長 美術館、アジア美術館並びに博物館の3館の過去3年間の観覧者数の推移は、3館の合計で、24年度が107万3,383人、25年度が106万6,322人、26年度が99万6,446人となっている。各館では、リニューアルの時期を迎え、施設改修等による休館などの期間を含んでおり、年度により観覧者数に変動があるが、おおむね年間100万人前後で推移している。また、これら3館においては、中学生以下の子どもの常設展示観覧料を無料とし、芸術や歴史に触れる機会の提供に努めているが、多子世帯への支援については、今後、関係局と協議の上、対応を検討していく。 315 △こども未来局長 議員提案の多子家族応援パスポートについては、今後、国や他都市の動向も踏まえながら検討を行っていく。 316 ◯尾花委員 動植物園は大胆なリニューアルが進行中であり、年々入園者数が伸びている一方、プールの利用者数は横ばい、福岡市美術館、福岡アジア美術館、福岡市博物館は、キッズコーナー、体験学習室「みたいけんラボ」の設置など、さまざまな工夫をしているようではあるが、残念ながら客層は子ども連れが少なく、観覧者総数は、ここ3年減少し続けている。本市は、市営地下鉄を持っており、まずは地下鉄で先行して弘前市のお出かけパスのような多子世帯の交通支援策を行い、その後は、民間の公共交通事業者にも協力をお願いしてはどうか。また、地下鉄の駅に、子育て目線での利便性向上や周辺公共施設への誘導案内などをもっと進めてはどうか。京王線では車両内のラッピングに取り組んでいる。そして、大阪市営地下鉄では、動物が動物園に近い出口を案内するという取り組みが行われている。大阪市営地下鉄はそのほかにも、エスカレーターを上るところに、こうしたキリンの絵があり、キリンは首も足もなかなか長いというイメージで、子どもが楽しくなる。そして、改札をおりたところのコンコースに、アフリカの大自然が広がっているような、ケニアの自然保護区が描かれた大きな壁面があり、観光スポットになっている。私の思いつきであるが、アートトリック、3Dを使えば、さらに絵が飛び出したような感じになるが、これは動植物園に限らず、美術館や博物館に近い駅にも利用できると思う。本市が管理運営している公共施設での誘導案内は、本市がしっかりとイニシアチブを持ち、取り組みを進めるなど、ハード面でもソフト面でも子育てに優しい公共交通機関のイメージアップを図ってはどうか、所見を尋ねる。 317 △交通事業管理者 少子化社会対策大綱において、妊娠中の方や子ども連れの人にとって、優しい施設や外出しやすい環境の整備が公共交通機関に求められているということは、十分認識している。これまで、福岡市営地下鉄では、子育て中の人や子どもが安全で快適に利用できるよう、車内でのベビーカー優先スペースの設置や優先席の拡大、小学生を対象とする「ちかまるきっぷ」の発売などに取り組んできている。提案の多子世帯への交通支援策については、少子化社会対策大綱の趣旨を踏まえ、子どもとの外出を応援するためのサービスなどの提供や、子ども連れの家族への配慮など、今後、検討を行っていく。また、他事業者で行われている動植物園などとの連携について、今、提案があったが、子ども目線にも配慮した周辺施設への誘導案内など、子育てに優しく魅力的な地下鉄を目指した取り組みを検討していく。 318 ◯尾花委員 多子家族応援パスポートの発行により、各種店舗の割引等のインセンティブができないのか調査していたところ、既に福岡県において、18歳未満の子どもがいる子育て家庭を応援する事業として、子育て応援の店推進事業が行われているようである。これは、子育て応援の店の登録店舗に子ども連れで行くと、商品の割引やベビーベッドの設置など、それぞれの店が考え提供する各種サービス、特典が受けられるというものである。残念ながら、本市の子育て支援のポータルサイト「ふくおか子ども情報」には、この事業が紹介されていないが、大変有効な施策だと思う。子育て中の人にこの事業をもっとPRするとともに、登録店舗数をふやす取り組みに本市も積極的に協力してはどうか。所見を尋ねる。 319 △こども未来局長 福岡県の子育て応援の店推進事業については、指摘のとおり、子育て家庭を支援する上で有効な施策であると認識しており、ポスター掲示などの協力を既に行っている。今後とも、「ふくおか子ども情報」ホームページでのPRを含め、さらに協力を進めていきたい。 320 ◯尾花委員 少子化社会対策大綱では、公共交通機関における負担の軽減を含め、社会のあらゆる分野において、多子世帯への支援についての要請を行うことになっている。26年度福岡市基本計画に係る実施状況の報告によると、プロスポーツの振興の成果指標に対する達成状況は数値が下がっていることを示すCであり、観覧者数は伸び悩んでいるようだが、その状況を尋ねる。あわせて、その打開策の一つとして、多子世帯への支援策の協力をお願いしてはどうか。所見を尋ねる。 321 △市民局長 第9次福岡市基本計画の成果指標として掲げている、本市を活動拠点とするプロスポーツチームなどの主催試合観客数については、福岡ソフトバンクホークスを除き、ここ数年横ばいとなっており、伸び悩んでいる状況である。議員提案の多子世帯を対象とした支援策への協力については、主催している各プロスポーツチームに対し働きかけを行っていきたい。 322 ◯尾花委員 少子化のトレンドを変えるため、直ちに集中して取り組むことが重要と言われている。少子化は今、この瞬間にも進行し続けている。少子化への対応が遅くなれば遅くなるほど、将来への影響がより深刻になる。直ちに集中して取り組めば、少子化のトレンドを変えることも可能である。本市において、多子世帯の支援に集中的に取り組むことは、国の最重要課題の一つである少子化への対策に先鞭をつけたことになる。どの政令市よりも、福岡市は少子化に真剣に取り組んでいる、福岡市は子育て支援に本当に優しいまちだと、イメージを発信することにつながる。行政による支援の充実に加え、将来の支え手である子どもを数多く苦労して育てている多子世帯を大切にするという意識が社会全体で深く共有され、行動にあらわれることで、若い世代が、出産、子育てに対し、より前向きに考えるようになると思う。結婚、妊娠、子ども、子育てに温かい社会の実現に向け、本市において社会全体で行動を起こすべきときは、今である。最後に、多子世帯の支援策の拡充に対する高島市長の所見と決意を尋ねて、私の質問を終わる。 323 △市長 少子化は、地域や社会の担い手の減少、そして、現役世代の負担の増加、経済や市場の規模の縮小や経済成長率の低下など、個人、地域、企業、国家に至るまで、多大な影響を及ぼす問題であると指摘されており、国においても、今後5年間に集中的に政策に取り組むこととしている。本市においても、これまで子育て世帯への支援として、妊娠、出産、子育てへの切れ目のない支援や多様な保育サービスの充実、また、経済的な支援などに加え、多子世帯を対象として、第3子優遇事業を実施するなど、安心して産み育てられる環境づくりを進めてきた。今後も、こうした取り組みを推進するとともに、多子世帯への支援の充実について、検討していく。 324 ◯森(英)委員 自由民主党福岡市議団を代表し、地下鉄2号線と西鉄貝塚線の直通運転化について、外国人観光客に対するおもてなし力向上について、博多バイパスの整備と周辺市道の交通安全対策について、以上3項目について質問する。まず、地下鉄2号線と西鉄貝塚線の直通運転化について質問するが、この質問については、随分昔から何度も取り上げてきた。昨年の交通対策特別委員会で、この件について、報告がなされているが、実に情けない、お粗末な報告であった。この件については、東区の住民から直通運転化に関する請願が出され、平成14年に市議会で採択されている。それから十数年経過し、昨年の交通対策特別委員会で報告されたが、実現は大変難しいという結論であった。しかし一方で、東区では千早の区画整理が完了し、香椎駅周辺土地区画整理事業も着実に進行している。アイランドシティもこれからますます人口がふえていくものと思われるし、大変重要な施設もできており、これから、拠点体育館等の整備計画もある。また、箱崎地区においては、九大跡地のまちづくりも着実に進んでいくと思う。そうしたことを考えると、この直通運転化は東部地域の交通体系上、極めて重要なものと思っている。そこでもう一度初心に返り、一から仕切り直し、この問題に取り組みたい。まずは改めて、これまでの直通運転化の検討経緯について尋ねる。 325 △住宅都市局長 地下鉄2号線と西鉄貝塚線の直通運転化については、昭和46年の国の都市交通審議会の答申を受け、12年度に国が都市鉄道調査を実施しており、また本市では、直通運転化に関する請願が平成14年の市議会で採択されたことなどを踏まえ、事業費の算定や運営スキームの検討、橋梁の健全度調査など、順次検討を進めてきた。近年では、25年度に需要予測について、26年度に収支や費用対効果について、交通対策特別委員会への報告を行ったところである。 326 ◯森(英)委員 それでは、直通運転化の検討について、11、12年度の国の調査内容と25、26年度の交通対策特別委員会で報告した内容について尋ねる。 327 △住宅都市局長 11、12年度の国の調査では、整備費用や収支予測が検討され、事業化に向けての課題として、資金調達や開発需要の取り込みなどがあると報告されている。また、25、26年度の交通対策特別委員会においては、運行形態の複数ケースによる需要予測の結果から、整備費のほぼ全額に公的資金を投入した場合、開業30年で黒字に転換する可能性はあるが、費用対効果が低く、国の補助採択が厳しい状況にあるため、利便性向上や事業収益改善等に向けた検討を深める必要があるとの報告を行っている。 328 ◯森(英)委員 今の答弁を聞くと、十数年前、国が行った調査結果と平成26年に交通対策特別委員会で報告された内容は、ただ数字が入っただけで、結局何も変わってない。十数年かけて、一体何をしてきたのかと思う。昨年難しいと報告があった直通運転化については、めどが立ってないということであるが、平成14年当時、突然、アイランドシティの鉄道について、21年度開業を目指すと表明がなされている。何の根拠もなく、めども立たずに、こうした表明ができるはずはないと思うし、また、やってはいけないと思う。アイランドシティの鉄道は直通運転化が最低限必要な条件だと思うが、当時の鉄道の開業時期を表明した背景、根拠について尋ねる。 329 △港湾局長 アイランドシティの鉄道については、アイランドシティの都市活動を支え、まちの早期熟成に貢献する重要なインフラと考えており、関係局と連携を図りながら、地下鉄2号線と西鉄宮地岳線の直通運転化を前提としたアイランドシティへの鉄道導入の検討を行ってきたところであり、14年度のアイランドシティ事業計画に鉄道の導入を位置づけたものである。開業目標時期については、まちの早期熟成を図る観点や直通運転化の取り組みを進めていた背景などを踏まえ、総合的に判断し、21年度開業を目標として取り組んでいくことを、平成14年当時表明したものである。 330 ◯森(英)委員 今の答弁は根拠にはなってない。言ってみれば、ちょっと夢を語ってみたという話である。住宅都市局の前身である当時の都市整備局は、実はこのときに、港湾局と一緒に、しかも交通対策特別委員会でしっかり取り組んでいくと表明した。これは今の答弁で済むような話ではない。現在、博多港開発は鉄道の駅用地を確保している。当時の発表では、香椎駅と香椎花園前駅の間に(仮称)香住ケ丘駅という駅を置き、そこからアイランドシティに延伸することになっており、アイランドシティには2つの駅の設置が予定されていた。その発表より前なのか後なのかわからないが、博多港開発は、地下鉄の駅ができる用地を確保している。平成21年に鉄道を開通させ、駅を整備しますと言ってアイランドシティの土地を分譲しているのである。積水ハウスはそのとき土地を購入しているが、駅ができることを前提に、まちづくり構想を練っている。こうしたことを民間で行うと、間違いなく損害賠償請求がなされるが、積水ハウスは損害賠償請求をしていない。しかし弱みができたのは事実であり、民間では考えられないような土地取引の協定書を結んでいる。これは今となっては、期限も切れ、支払いもなされているのでよいが、普通であればあり得ないこと、やってはいけないことをやっている。要するに、駅をつくりますとか、鉄道を通しますとか言って、だまして売っている。中にはそう思って入居した人もいるかもしれない。そうして売ったにもかかわらず、平成16年、たった2年後に、開業時期について見直しがあっている。少なくとも直通運転化を実現するための何かのめどがあったり、条件を満たしたり、課題を克服しなければ、こうしたことは表明してはいけないと思うし、これを非常に大きな問題だと思っている。これは市として大きな反省をすべきだと考えているが、平成16年当時、見直した理由と、見解を尋ねる。 331 △港湾局長 アイランドシティへの鉄道の導入については、16年度の博多港開発株式会社2工区の埋立権の譲り受け等に伴う土地処分計画の見直しに伴い、今後のまちづくりが中長期的な取り組みとなることから、開業目標時期の見直しを行ったものである。結果として、開業目標時期を表明し、2年後に見直すこととなったことについては、見通しの甘さもあり、真摯に反省すべきと考えている。今後、アイランドシティへの鉄道については、地下鉄2号線と西鉄貝塚線との直通運転化を初めとする東部地域全体の交通体系整備のあり方や、アイランドシティのまちづくりの進展などを踏まえながら、中長期的な視点に立ち、総合的な観点から検討を行っていく。 332 ◯森(英)委員 これも実に情けない答えだと思う。確かに、今の局長たちがしたことではなく、先輩の局長たちが発表した。これは推測だが、その局長たちも自分たちで言ったわけではなく、当時の市長が指示したと思う。そうでなければ、こんなできもしないことをやるとは言えないはずである。そして鉄道が開通すると言って土地を売ったにもかかわらず、昨年の交通対策特別委員会では、実現困難だという報告である。これはお粗末としか言いようがないと思わないか。実は平成14年の交通対策特別委員会でアイランドシティへの鉄道導入を表明すると聞いたので、とめに行ったことがある。直通運転化のめどが何も立たないのに、アイランドシティに駅を平成21年開業とまで、具体的に年数まで入れており、今まで1歩ずつ積み重ねてきた直通運転化への西鉄との協議が台なしになってしまうため、そんな発表はしないように言ったが、当時はアイランドシティの土地を売りたい一心だったのだろう。あくまで案として発表させてくれと押し切られ、発表がなされた。その結果、翌日の新聞には(仮称)香住ケ丘駅からアイランドシティ駅、それからもう一つ先、これは港湾地区だと思うが、そこに駅ができるという絵まで出ている。この責任は、重いと思う。もう一度、こうしたことをやってきた反省に立ち、新たに、新しい第1歩として、この事業に取り組んでほしいと思う。いみじくもきょうの朝日新聞の朝刊に載っていたので、見た人もいると思うが、「福岡市内通勤ラッシュ首都圏並み」とある。国土交通省がまとめた2014年度の路線別混雑率を見ると、九州のトップは、午前7時半から8時半の西日本鉄道貝塚線の名島-貝塚の150%と書かれている。千早駅、香椎駅周辺にマンションが建ち、恐らくアイランドシティにも建ってくるが、これだけまちが大きくなり、乗客がふえているということである。今のところ西鉄貝塚線は赤字であるから、直通運転については今進めてほしいと私は最初から言っている。赤字だからチャンスなのである。黒字であったら誰も手放したり貸したりしない。住宅都市局は採算と言うが、西鉄貝塚線がもし採算に合うような黒字なら、市営地下鉄の乗り入れを認めないと思う。この先、西鉄貝塚線が黒字になってきたら、交渉はもっと難しくなるかもしれないため、急がなければならない。そのため、しっかりと、反省を踏まえて取り組まれたい。最後に、当時、行政マンとして市役所に在籍していた副市長の力強い見解を聞き、この質問を終わる。 333 △中園副市長 地下鉄2号線と西鉄貝塚線の直通運転化については、東部地域の交通体系上、大変重要な課題であると認識している。直通運転化には多大な事業費を要するとともに、国の補助制度の活用などが必要であると考えており、そのためには、利用促進などによる事業収益の改善が重要となる。西鉄貝塚線沿線では、香椎駅周辺や千早駅周辺の土地区画整理事業に取り組むとともに、九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくりを進めているところであり、今後、沿線の人口や鉄道利用者の増加に結びつくと考えている。議員指摘の経緯も真摯に受けとめ、今後とも直通運転化に向け、魅力あるまちづくりを進めるとともに、鉄道事業者などと連携した利用促進などに取り組んでいく。 334 ◯森(英)委員 ぜひ、反省をしながら、真摯に受けとめ、一歩でも前に進めるよう努力されたい。次に、外国人観光客に対するおもてなし力向上について質問する。質問に入る前に、まず質問の趣旨を伝えておきたい。今回、わかりやすいように外国人観光客と絞っているが、実は外国人観光客に絞るのではなく、全ての観光客に対するおもてなし力の向上について質問をしようと思っていた。福岡に観光に来た人が移動に利用する、タクシー、バス、鉄道などの交通事業者、ホテル、旅館などの宿泊業者、ショッピングで利用するデパート、家電量販店、小さな商店街などのサービス業、それらの関係者たちはさまざまな形でおもてなしをより向上させるために努力をしている。特に、食べたり飲んだりというのは旅をする人の大変大きな楽しみの一つであると思うし、市長もよく来訪者が来たときには、福岡市はおいしいものがたくさんありますよ、おいしいものを食べてゆっくりしていってくださいという歓迎の言葉を述べるが、おいしい食べ物を食べさせるために、福岡市は何の努力もしておらず、それぞれの店が競い合いながら努力し、おいしいものを提供したり、楽しい雰囲気をつくってサービスを提供したりしている。そのために、さまざまな取り組みをしており、例えば、いろいろなドリンクを提供したり、食べ歩きのイベントを実施したりするなど、より多くのおいしい食べ物をより多くの人に知ってもらうための努力をしている。恐らく市長もよその国や県から、何かおいしいところはないかと聞かれたら、どこかを紹介すると思うが、それは本を見て紹介するのではなく、自分が食べておいしいところ、自分が飲んで楽しいところを紹介するのではないか。では、市長はなぜそこに行ったかというと、恐らく誰かの紹介で連れていってもらったか、何かの機会で利用して食べたかである。いわば、市民が福岡市のおいしいものを、よりたくさん知っている。確かに、市外から来た人がいろいろな観光雑誌を見ながら、その店に並んでいる光景はよく見る。しかし、一番よいのは、やはり地元の人にどこがおいしいのかを尋ね、紹介してもらうことであり、それが一番確実ではないか。福岡市民が、よりたくさんおいしい店を知り、そして知ってもらうために飲食店が努力をしている。そうした努力に対して、本市はこれまで支援してきたのか、あるいは支援の施策があるのかというのがこの質問の趣旨であるが、実は、本市は何もしておらず、26年度決算額はゼロ円である。そのため、まずは経済観光文化局で取り組んでいる外国人観光客に対するおもてなし力向上について順次質問していく。本市の産業構造を見ると、総生産と従業者の9割をサービス業や卸売、小売業など第3次産業が占めている。このような本市経済の特性から考えると、全国的に少子高齢化による人口減少社会が到来し、消費の減少が見込まれる中、国の内外から交流人口を増加させ、消費の拡大を図ることは、地域経済の発展に欠かせないものと考えている。日本を訪れる外国人観光客は拡大を続けているが、特に、2020年には東京オリンピック、パラリンピックが開催されることから、日本への外国人観光客の急増が予想されている。本市としても積極的なプロモーション活動による観光客誘致に取り組むことはもちろんであるが、実際に福岡を訪れた観光客の満足度を向上させ、リピーターにつながるおもてなし力の向上に、官民が力を合わせ、しっかりと取り組んでいくべきと考えている。そこで、本市が安定的に交流人口を確保することで、都市の成長を実現し、市民生活の向上を図っていくために重要な外国人観光客に対するおもてなし力の向上を中心に質問する。平成26年には、海外から日本への観光客が過去最高の1,300万人を突破し、平成27年に入っても前年実績を大きく上回る状況で推移していると聞いているが、本市を訪れた外国人観光客数の最近3年間の状況を尋ねる。 335 △経済観光文化局長 本市における過去3年間の海外からの観光客の状況は、法務省出入国管理統計によると、福岡空港及び博多港から入国した外国人の数は、平成24年は82万人、平成25年は90万人、平成26年は120万人となり、3年連続で過去最高を更新している。なお、平成27年については、1月から7月までの数値になるが、既に107万人に達しており、前年同月比67%増となっている。 336 ◯森(英)委員 平成26年10月から免税制度改正などもあり、メディアでは外国人観光客の爆買いなどといった言葉が多く聞かれる。本市を訪れる外国人観光客の消費の状況について尋ねる。 337 △経済観光文化局長 本市では、外国人観光客の消費動向を把握するため、平成26年12月から平成27年2月にかけて、百貨店、複合商業施設、家電量販店など市内10の施設に対しヒアリング調査を実施している。この結果によると、外国人観光客の急増と免税制度の改正により、平成26年の外国人観光客に対する売り上げは大きく増加しており、特に百貨店では、平成25年に比べ2倍以上に伸びている。また、ある百貨店における1人当たり平均購買単価は、国、地域別に、中国が約11万円、韓国約8万円、台湾5万円などとなっており、時計、宝飾品などの高額商品から、医薬品、化粧品などの消耗品まで多様な商品が購入されている。これに加え、滞在中の宿泊や飲食などに関する消費を考慮すると、外国人観光客の増加は消費拡大による地域経済の活性化に寄与しているものと考えている。 338 ◯森(英)委員 地域経済の振興において、観光は大きな役割を担っており、今後とも市が積極的に振興すべきと考えるが、本市の観光集客戦略の内容を尋ねる。 339 △経済観光文化局長 本市では、平成25年3月に「福岡観光集客戦略2013」を策定しており、その中で、市民や民間事業者とともに、観光都市福岡の目指すべき目標として「世界No.1のおもてなし都市・福岡」の実現を掲げ、また取り組むべき力点として、国内外の有望市場に対して効率的な観光プロモーションに取り組む「誘客」、MICEの誘致、支援や機能強化により新たなビジネス機会の創出につなげる「MICE振興」、歴史、伝統や食を初めとする観光資源の磨き上げに取り組む「魅力づくり」、おもてなし力向上と観光客の回遊性を強化させ消費の増加を目指す「観光の産業化」の4つを掲げている。 340 ◯森(英)委員 その中でも、外国人観光客の誘致に関する取り組みを尋ねる。 341 △経済観光文化局長 本市は質の高い食文化やアジアとの交流で培われた歴史、文化、博多織や博多人形などの伝統、買い物しやすい環境が整ったショッピングなど、さまざまな魅力を有している。この強みを十分に生かし、効果的な誘客を行うため、直行便が就航しているアジアなどの有望市場をターゲットに定め、旅行会社などの事業者を対象とした現地プロモーションや本市への招請事業を実施し、新たな旅行商品の造成などにも取り組んでいる。また、雑誌やウェブサイトなど、現地メディアを活用した観光情報の発信を行うとともに、福岡市内をロケ地とする映画などの撮影誘致を行うことにより、現地住民に直接本市の魅力を伝え、知名度向上と誘客促進を図っている。今後とも時代に合った手法を効果的に活用しながら、福岡のブランド力の向上、観光誘致に積極的に取り組んでいく。 342 ◯森(英)委員 外国人観光客の誘致事業は成果も上がっているようだが、長期的に市内経済の活性化に生かしていくためには、リピーターをふやし、安定的な集客につなげることが不可欠だと考える。そのためには、観光客の満足度を高めるためのおもてなし力向上が非常に大切だと思うが、これまでの取り組みを尋ねる。 343 △経済観光文化局長 本市を訪れた外国人観光客がスムーズに必要な情報を入手できるよう、観光案内所における多言語対応や観光案内板、観光パンフレットの多言語化などの言語対応を行っているほか、Fukuoka City Wi-Fiによる公衆無線LANサービスの提供により、スマートフォンを利用したまちなかでの情報入手も可能となっている。また、外国人観光客が効率的に市内を周遊できるよう、交通事業者と連携し、公共交通1日フリー乗車券「福岡ツーリストシティパス」を開発支援し、さらに外国人観光客の受け入れ環境の向上のため、飲食、宿泊など、観光関連事業者を対象に、接客や言語対応などをテーマにしたセミナーの開催にも取り組んでいる。 344 ◯森(英)委員 これまでの取り組みを聞いたので、そろそろ本題にいきたいと思う。市としての取り組みもさらに強化すべきだと思うが、おもてなしの第1線に立つのは、飲食業、小売業、サービス業、宿泊業、運輸業などの民間事業者である。福岡空港や博多港、博多駅におり立った観光客をもてなし、観光客の福岡市への印象がよくなるのも悪くなるのも、これらの皆さんの取り組みにかかっている。多くの業界団体などが設備の向上を初め、外国語対応など、新たにさまざまな取り組みを行っているが、本市では民間が行うおもてなし力向上の取り組みを支援しているのか尋ねる。 345 △経済観光文化局長 先ほどの答弁のとおり、本市では、民間事業者を対象としたおもてなし力向上を目的としたセミナーなどの開催に取り組んでいるが、民間事業者の取り組みに対する直接的な支援については、現在のところ行っていない。 346 ◯森(英)委員 市は、民間の取り組みへの直接的な支援を行っていないということだが、このような取り組みの蓄積が業界全般の、ひいては市全体としてのおもてなし力向上に大きく貢献するものだと考える。これらの取り組みをさらに促進するために、市でも支援に取り組む必要があると思うが、所見を尋ねる。 347 △経済観光文化局長 現在、急速に増加している外国人観光客を今後とも安定して迎え入れていくためには、市全体としてのおもてなし力の向上が不可欠であり、第一線に立つ民間事業者の役割は非常に大きいものと考えている。このため、民間事業者や各種団体などが連携し、おもてなし力を向上させる取り組みを実施することは、市全体の底上げにもつながるものと考えており、このような民間の取り組みをさらに促進させるよう、その支援について検討していく。 348 ◯森(英)委員 本市にとって、観光の振興は都市の成長に欠かせないものであり、観光プロモーションや魅力づくりはもとより、リピーターにつながるおもてなし力向上を図るため、官民力を合わせて取り組むべきと考えるが、市長の所見を尋ねる。 349 △市長 福岡市は、第3次産業が9割ということで、これまでMICE、観光客の誘致による交流人口増により、まずは短期的な成長戦略を実践していこうとチャレンジしてきた。そして今、実際に入り込み観光客数もふえてきている。さらに、今後、来年はライオンズクラブの世界大会、2019年のラグビーワールドカップ、そして20年はオリンピック・パラリンピックが予定されており、これからもますます海外からも含め、たくさんの人が訪れると思う。議員指摘のように、リピーターをふやしていくためには、福岡に1回来てみて、その経験がとてもよかったと思ってもらうことが今後のリピートにつながってくるし、またカントリーリスクもあるため、これからは幅広い国から誘客するということも、重要になってくると思う。今、非常な勢いで台湾やタイからの入り込み観光客数がふえており、来てよかった、そして一番おもてなしがよかったと言ってもらうためには、議員指摘のような、民間との連携が非常に重要になってくる。実は先日、ぐるナビと福岡市で包括連携協定を締結した。これは、ぐるナビが有料で行っているサービスを3カ月間無料とし、海外からの訪日客をどう迎えてよいかわからない飲食店に対し、接客や交流に関するセミナーを行ったり、メニューを外国語でつくったりするものであり、たくさんの飲食店が参加した。また、MICEの参加者に対しては、福岡の飲食店に行きたいときに予約を代行するサービスも始めており、民間と連携し、民間のおもてなしの努力と一緒に、官民連携で、福岡に来た人が、またリピーターになるような取り組みをこれからもしっかりと行っていきたい。 350 ◯森(英)委員 ぜひよろしくお願いしたい。次に、博多バイパスの整備と周辺市道の交通安全対策について質問する。この質問は土地勘がないと大変わかりにくい質問だと思うが、大変重要なことであるため、御理解いただきたい。現在ある国道3号は福岡市の東部地域における主要な幹線道路であることから、交通が集中し、慢性的な交通渋滞が発生しており、通勤、通学や買い物などの市民の日常生活や、物流拠点である福岡空港や博多港、鉄道貨物ターミナルなどの物流活動に大きな影響が出ている状況である。このため、現在国土交通省により、福岡市東区下原から二又瀬を結ぶ国道3号博多バイパスの整備事業が進められているところであるが、この道路の1日も早い完成を多くの市民も待ち望んでいる。そこで、この博多バイパス整備に関する費用として、26年度に本市が負担した金額を尋ねる。 351 △道路下水道局長 26年度の博多バイパス整備に関する本市負担は、直轄工事費負担金として2億6,313万円余である。 352 ◯森(英)委員 次に、博多バイパス整備の進捗状況について尋ねる。 353 △道路下水道局長 国土交通省において、東区二又瀬から下原までの延長7.7キロメートル、幅員30メートルから32メートルの6車線道路として昭和43年度に事業化され、現在、二又瀬から松崎の多々良中学校西交差点間の4.4キロメートルが開通している。現在、残る多々良中学校西交差点から下原までの区間3.3キロメートルにおいて整備が進められているところである。 354 ◯森(英)委員 国において事業推進が図られていると考えているが、博多バイパスの開通予定を尋ねる。 355 △道路下水道局長 国土交通省から29年度全線開通予定と聞いている。 356 ◯森(英)委員 次に、その博多バイパスが整備される地域への影響についてであるが、現在整備中の博多バイパスと既存道路が接続する交差点は、どのようなところに整備されるのか。 357 △道路下水道局長 香椎2丁目の香椎芹田公園付近と石坂池付近及び香椎駅東3丁目のオークタウン入口交差点付近の3カ所に新設される予定である。さらに、博多バイパスと香椎参道との取りつけ道路について検討を進めているところである。 358 ◯森(英)委員 今、検討中と答弁のあった博多バイパスと香椎参道との取りつけ道路の整備は、香椎参道の渋滞緩和や国道3号下原への抜け道として通過している車両を減らすためにも、大変重要な道路である。そこで、この香椎参道との取りつけ道路の検討状況について尋ねる。 359 △道路下水道局長 香椎参道との取りつけ道路については、香椎参道の香椎宮の前からJR香椎線をまたぎ、博多バイパスに接続する計画としており、その沿線地域の方々に対し、26年度からこれまで、事業計画の説明会を5回実施しており、今後も引き続き説明会を実施する予定としている。 360 ◯森(英)委員 この取りつけ道路は、大変重要な道路である。担当課長は非常に頑張っており、評価している。一部反対のある中、一生懸命、重ねて説明会を開き、理解いただく努力をしているが、実は、平成29年の博多バイパスの開業にもし間に合わなければ、間に合わない分だけ、ものすごい交通渋滞が発生すると思っている。香椎参道を青葉方面から来ると、この道がなければ、博多バイパスに入る際に右折しなければならない。ところが、香椎参道には右折するスペースがない。右折車両がたまってしまうと、今でも交通渋滞があるのに、さらにひどくなる。そのため、できるだけ早い事業着手をお願いしておきたい。一方、博多バイパス供用後には、香椎2丁目の香椎芹田公園周辺に整備される交差点にかなりの交通量が集中することが考えられるが、この香椎芹田公園周辺の交通安全対策について尋ねる。 361 △道路下水道局長 香椎芹田公園周辺については、国や県警とも協議しながら、博多バイパスと接続する市道に歩道を確保するなど、特に歩行者の交通安全対策の検討を進めている。 362 ◯森(英)委員 国交省がかなり広めに用地を買収しているということで、ここは余り心配せずともよいのではと思う。それでは次に、香椎駅東地区のオークタウン入口交差点周辺の交通安全対策について尋ねる。 363 △道路下水道局長 オークタウン入口交差点周辺については、博多バイパスと立体で交差する県道町川原福岡線において、交通安全対策として本市が歩道整備を進めている。 364 ◯森(英)委員 幹線道路と立体で接続するということで、ここも余り心配をしていない。次に、石坂池付近にも交差点を設置するとのことであるが、現在でもその周辺の道路は幅員が狭い上、交通車両が多く、さらには通学路に指定されていることから、生徒の登下校の時間帯には危険と感じられることが見受けられる。石坂池周辺の道路に関する、これまでの地元要望及びその対応について尋ねる。 365 △道路下水道局長 石坂池周辺の道路については、これまで国や本市に道路の拡幅や歩道設置などの要望がなされている。24年度には、中学生が安全に登下校できる通学路の整備に関する陳情がなされたことから、市道長谷香椎線の石坂池から香椎第3中学校正門付近において、車道幅員を減少させ、路側帯カラー化やガードパイプの設置による視覚的、また物理的分離による安全な歩行空間の確保を行ったところである。 366 ◯森(英)委員 この道は香椎第3中学校のすぐ前の道路であるが、大変狭い道で、生徒たちをより安全に通学をさせたいということで、こうしたガードパイプが設置された。おかげで大変安全に子どもたちが歩けるようになったが、一方で、車道幅員はかなり減り、4.5メートル程度となっている。この道路は今でも混んでいるのに、幅員30メートルの6車線の道路と交差すると恐らく博多バイパスに入る直進の車、左折する車、右折する車がここに集中し、車が動かない状況になると思う。毎朝、交通渋滞が起きており、離合ができない道路が幅員30メートルの6車線のバイパスと交わる。また、この道路に交わる道路もかなり狭く4メートルないような道路に接続しており、国道の30メートルの道路と交差すると、大変危険であるし、また、交通渋滞がかなりひどくなるのではないかと思う。周辺道路について、抜本的に対策を検討する必要があると考えるが、所見を尋ねる。 367 △道路下水道局長 石坂池周辺の道路は、市道長谷香椎線において、車道幅員が4メートルから5メートル程度であり、その周辺道路も狭隘道路が存在するなど、車両が通行しにくい感があることは認識している。このため、博多バイパス整備にあわせた周辺道路の交通安全対策については、国や県警と協議を行いながら、調査・検討していく。 368 ◯森(英)委員 平成29年に完成予定であるため、それまでにしっかりと検討し、何か知恵を絞らなければ、とんでもない渋滞と事故が起こる可能性がある。ぜひしっかりと、国、県警と協力しながら検討されたい。最後に、副市長に博多バイパスの早期開通と、交差点周辺の市道の交通安全対策についての決意を尋ねて、私の質問を終わる。 369 △中園副市長 国道3号博多バイパスについては、現在の国道3号の交通混雑の緩和を図り、福岡空港などの広域物流拠点への円滑なアクセスを目的として、東区二又瀬から下原までの7.7キロメートルの区間が国土交通省において昭和43年度に事業化されているところである。平成元年までに、東区二又瀬から国道201号松島間の2.6キロメートルが開通し、平成20年時点で、松崎までの総延長4.4キロメートルが開通している。この道路は、本市の市民生活や経済活動にとって非常に重要であると認識しており、29年度の全線開通に向けて、引き続き国に対し強く要望していく。また、国道3号博多バイパスの整備により、新たに設置される交差点周辺の市道については、私も現地の状況を確認したが、指摘のとおり、課題があると考えている。今後、国や県警と協議しながら、市民が安心して暮らせるよう、交通安全対策にしっかりと取り組んでいく。 370 ◯阿部(正)委員 福岡市民クラブを代表して、志賀島の活性化について、消費生活相談業務について質問する。志賀島の活性化においては、ことし1月、志賀島小学校の存続について地元から請願が出された。140年にわたり島内の子どもたちを育み、また地域コミュニティの核として地域の伝統や文化を受け継ぐ役割を担ってきた小学校の存続を求める請願であったが、教育環境の整備という直面する課題もあることから継続審査となっている。志賀島小学校の教育課題と志賀島校区における現在の取り組みはどのようになっているのか。 371 △教育長 志賀島小学校については、児童数の減少により、集団を前提とした教育活動が困難となるなど、過小規模によるさまざまな教育課題を抱えているため、課題解決の手法として、勝馬、志賀島、西戸崎の3小学校と志賀中学校を統合再編した施設一体型の小中連携校の整備を提案しているところである。現在、志賀島校区については、自治協議会や地域住民、保護者、教育委員会で、志賀島校区教育環境検討委員会を設置し、志賀島校区の教育環境整備の方向性について協議を行っており、合意形成を図った上で事業を進めていく。 372 ◯阿部(正)委員 志賀島は非常に豊かな自然に囲まれており、小学校の近くには幼稚園、保育園もある。可能であれば空き教室を使ったフリースクールの誘致なども検討されたい。旧志賀町は昭和46年4月に本市に合併され、当時の現状認識として、昭和33年をピークに人口が減少していること、地域の振興と生活環境の整備が急務であること、全就業者の39.4%が本市へ就業、通学していることなどから、本市への依存度がさらに高まっていくと考えられており、合併当時から人口減少に対する危機感があったことがうかがえる。この20年間で志賀島の人口はどのように推移しているのか。平成7年以降の志賀島島内の世帯数並びに人口、特に生産年齢人口の推移はどのようになっているのか。 373 △総務企画局長 志賀島島内の世帯数、人口並びに生産年齢人口の推移について、住民基本台帳に基づき平成7年から5年ごとの推移を各年9月30日時点の数で言うと、平成7年は793世帯、2,651人、そのうち生産年齢人口は1,676人、平成12年は794世帯、2,419人、そのうち生産年齢人口は1,523人、平成17年は791世帯、2,208人、そのうち生産年齢人口は1,361人、平成22年は843世帯、2,039人、そのうち生産年齢人口は1,191人、平成27年は6月30日現在で、828世帯、1,754人、そのうち生産年齢人口は911人となっている。 374 ◯阿部(正)委員 人口で約33%、生産年齢人口で約45%減少が進んでいる。保健福祉局が地域活動の検討を行う際、校区状況における傾向を把握するために作成している自然動態の参考データによると、志賀島校区では平成7年からの約20年間において、年平均出生数が7.8人、年平均の死亡数が25.2人となっており、実に20年もの間、毎年、自然に人口減少が続いていることになる。合併当時より人口減少の課題に直面し、ここ20年間でも自然に人口減少が続いている志賀島島内における将来人口をどのように予測しているのか。 375 △総務企画局長 本市において、第9次基本計画の策定に当たり、平成52年までの全市及び平成38年までの各区の人口推計を実施している。志賀島島内の将来人口の推計については、校区ごとの出生・死亡数、転入・転出数など、必要な基礎データがなく、信頼性の高い推計が難しいことから実施していないが、急速な高齢化や人口減少が課題となっている地域があると認識しており、第9次基本計画においても、農山漁村地域など市街化調整区域の活性化を重点事業に位置づけ、取り組み効果を検証しながら施策を推進している。 376 ◯阿部(正)委員 行政が示さなくても、大学などの研究機関に依頼して、人口減少の課題を抱えている地区を幾つか選び、10年後、20年後の将来予測を割り出し、人口減少を抑制する方向性をデータとして示すべきではないか。本市は、20年後の2035年ごろに人口がピークを迎えると言われているが、今回作成された福岡市人口ビジョン原案において、本市の地域別の人口をどのように分析しているのか。 377 △総務企画局長 地方創生に係る地方版総合戦略の策定の中で作成している福岡市人口ビジョン原案については、地域ごとの人口の現状として、校区別の人口増加率及び高齢化率を白地図に色分けし、わかりやすく示した。その結果、本市の中でも地域差があり、特に志賀島や曲渕などの周辺部、都心部近辺でも公営住宅が集まっている地域において、人口減少や高齢化が先行している現状が明らかとなった。 378 ◯阿部(正)委員 人口ビジョン原案の資料には、1990年から2014年の約25年間で30%以上人口が減少している校区が青色で示されており、また、2014年の65歳以上の人口比率が高い校区が赤色で示されている。本市は全体としては人口がふえているが、周辺部については人口減少が続いているため、その地区に合った将来的なデータを示すような研究をぜひしてもらいたい。次に、志賀島における1次産業従事者などの就労形態はどのようになっているか。 379 △総務企画局長 現時点では最新の平成22年国勢調査にある産業等基本集計結果によると、志賀島島内における産業3部門別の15歳以上就業者数については、第1次産業が194人で全就業者の約19%、第2次産業が144人で全就業者の約14%、第3次産業が616人で全就業者の約60%、分類不能が80人で全就業者の約7%となっている。 380 ◯阿部(正)委員 志賀島においては、これまでの人口動態、あるいは就労状況を踏まえて策定された志賀島活性化構想に基づき、活性化に向けた取り組みが進められているが、その背景並びに構想の概要を尋ねる。 381 △総務企画局長 志賀島においては、13年度に国民宿舎しかのしま苑が廃止されたことを契機に、志賀島の自治会、農協、漁協、商工会等で構成される志賀島振興協議会が発足し、総務企画局を初めとした関係局や東区役所が連携しながら、地元主体の活性化の取り組みの支援を行っており、19年度には志賀島活性化構想が策定されている。また、構想の中心理念を海から生まれる島づくりとしており、島づくりの方針として掲げられた、自然と歴史を継承する島づくり、訪れる人をもてなす憩いの島づくり、農漁業の営みを創り伝える島づくり、安心して住み続けることのできる島づくり、ふるさとをみんなで創る助け合いと協力の島づくりに向け、違法駐車の解決や電柱の地中化など、いわゆる道切問題の解決のほか、住み良さづくり、観光の振興の3つのアクションプランを短期の取り組みとして推進していくこととされている。 382 ◯阿部(正)委員 農業、漁業における活性化への具体的な取り組み内容と、その成果、課題を尋ねる。 383 △農林水産局長 農家所得の向上と農業地域の振興を目指して、地域の特産品であるあまおうを即売するあまおうまつりなどの志賀島都市農村交流事業や新規就農を促す青年就農給付金事業を実施している。この給付金事業の活用により、24年度に1名、26年度にも1名の方が新規に就農されており、さらに、地域の農家の方から栽培に関する技術指導を受けることで新規就農を目指す農業インターンシップ事業にも取り組んでいる。漁業については、水産資源の維持回復と魚価所得の向上を目指して、クルマエビ等の種苗を放流する栽培漁業推進事業を実施しており、クルマエビの生産量は前年比で2.6倍の約3.9トン、アワビの生産量が1.3倍の約2.5トンに増加している。また、磯焼け等で焼失した藻場の再生を図るために、豊かな海再生事業を継続して行っており、堅調に藻場が回復しつつある。さらに、志賀島の朝市、弘の夕市や親子漁業体験を支援する売る漁業推進事業を通じて、志賀島における水産物の消費の拡大及び市民の魚食普及に努めているが、農業、漁業とも高齢化や後継者不足による活力低下が懸念されていることから、志賀島振興協議会等と連携しながら、引き続き農業、漁業の活性化に取り組んでいく。 384 ◯阿部(正)委員 島内観光における活性化への具体的な取り組み内容と、その成果、課題を尋ねる。 385 △経済観光文化局長 志賀島における観光振興については、24年度に集客促進に向けた調査を実施し、その一環として地域の方々にも参加いただき、取り組むべき方向として、志賀島のグルメの開発、恵まれた自然の景色、景観の活用、金印に代表される歴史資源の活用の3つをまとめ、集客促進の取り組みを進めているところである。25年度には、地元事業者との共働によるご当地グルメ志賀島金印カレーの開発、提供や、情報提供ツール「志賀島じゃらん」による志賀島の魅力発信などに取り組み、また、26年度には、地域の方々とともに島をめぐる回遊ルートの開発や、これに基づくガイドブック「ようこそ志賀島」の発行、九州産業大学との連携による島おこしイベントの開催などにも取り組んでいる。主な課題としては、志賀島の有する自然や歴史資源のさらなる磨き上げや、その情報発信の強化などがあるが、地域や大学などとの連携が進んでおり、市としても、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えている。 386 ◯阿部(正)委員 市営渡船志賀島航路の乗客数、乗客収入について、3年間の推移を尋ねる。 387 △港湾局長 志賀島航路の乗客数については、24年度は年間20万4,460人、25年度は20万4,157人、26年度は18万8,607人となっており、乗客収入については、24年度は8,100万円余、25年度は8,200万円余、26年度は7,600万円余となっている。 388 ◯阿部(正)委員 昭和46年4月の合併時における糟屋郡志賀町の本市への編入に関する協定書においては、「渡船事業については、志賀町民の意思を尊重し、町民の利便を確保するとともに、観光事業振興のため効果的な運営を図るものとする」とあることから、本市は、これまで乗客数が年々減少傾向にあっても、多額の繰入金を負担しながらも存続し続けてきた。今後も、存続するからには、この路線を志賀島の活性化のための財産と位置づけて、人を呼び込むための重要なツールとして活用していかなければならないと考える。例えば、近年、サイクルツーリズムの人気が高まり、志賀島においてサイクリスタをよく見かけるようになったが、このような人々をターゲットに、志賀島航路では本年4月から自転車運賃を通常の420円から100円としているが、利用状況はどのようになっているか。 389 △港湾局長 志賀島航路においては、市営渡船事業の経営改善、あるいは志賀島への観光集客などを目的として、本年4月1日より1年間の社会実験として自転車運賃の割引を実施している。4月から9月までの半年間の自転車利用は約2,900台で、前年度と比較すると約1.8倍となっている。 390 ◯阿部(正)委員 集客という意味からも、しっかりと取り組んでもらいたい。このように志賀島の観光、集客と連携した航路の増収増客対策が重要と考えるが、ほかにどのような取り組みを行っているのか。 391 △港湾局長 志賀島の観光・集客と連携した航路の増客増収の取り組みについては、金印マラソンや志賀海神社薪能など、志賀島で開催されるイベントに合わせた臨時便の運航を行っている。また、市営渡船寄港地の観光情報等の発信や渡船のPR強化を図ることを目的として、本年6月に福岡市営渡船フェイスブックを開設したほか、市政だよりやフリーペーパーに市営渡船の特集を掲載し、この中で志賀島の観光情報の発信も行っている。 392 ◯阿部(正)委員 このほかの志賀島の地域振興における具体的な取り組み内容と、その成果、課題を尋ねる。 393 △総務企画局長 総務企画局としては、東区役所と連携し、志賀島の地域資源を活用したまちづくりの推進の契機となる金印まつりの開催を支援するとともに、志賀島振興協議会が行う地域主体のまちづくりの支援を行ってきた。金印まつりは、金印マラソンや地びき網体験、シンポジウム等のイベント開催により、毎年約3,300人から3,900人を集客しているが、地域住民は、イベントを活用した集客や活性化も必要であるが、人口減少や高齢化の進展への対応がより重要な課題であるとの認識を持ち、26年度には、地域において、志賀島活性化構想の見直しの機運が高まり、現在、地域主体により、その見直しに取り組んでいるところである。 394 ◯阿部(正)委員 これまで地元と連携して、活性化についてサポートしてきたことは認識したが、人口の減少に歯どめがかかっていないという現実はある。志賀島は自然が豊かで、歴史ある志賀海神社が鎮座し、金印公園や潮見公園など観光資源が満載である。金印公園は再整備が行われるとのことだが、潮見公園については、初めて行った人からは、公園に行くまでの表示が樹木に覆われて見にくいとの話があった。個人の樹木であれば勝手には切ることができないかもしれないが、観光資源をしっかり活用するためには、ぜひ点検もしてもらいたい。まちづくりは地域が主体であり、課題を共有して、それを行政がサポートすることが基本である。人口減少や高齢化の進展への対応が、より重要な課題であるとの認識が高まっており、10年後、20年後の将来人口推計等のデータを示すことによって、より現実的な取り組みにつながるのではないかと考える。9月定例会において条例改正が行われた市街化調整区域における定住化制度とはどのようなものか。 395 △住宅都市局長 市街化調整区域における定住化促進のためには、地域外からの転入者などが新規に居住することができる制度などが求められたことから、平成16年に、都市計画法第34条第11号に基づく区域指定型の制度を創設しており、既存集落内において、道路幅員等一定の基盤整備がされている区域を指定し、その区域内においては、一定の要件を満たせば誰でも住宅などの建築を可能としている。加えて、空き家を賃貸住宅として活用したいとの地域の要望を受け、平成26年10月には、一定の要件のもと、既存空き家住宅の賃貸化を許可する制度を追加している。さらに平成27年9月に、開発行為の許可等に関する条例を改正し、一部に狭隘な道路を含む既存集落においても、一定の要件を満たせば誰でも住宅などの建築が可能となる都市計画法第34条第12号に基づく新たな区域指定型の制度を追加している。 396 ◯阿部(正)委員 人口減少や少子・高齢化等の課題を抱える志賀島地域や北崎地区など、地区ごとに定住化制度を策定できなかったのはなぜか。 397 △住宅都市局長 市街化調整区域の既存集落における定住化制度については、地域外からの転入者が新規に居住できないことが、定住化に取り組む集落に共通する課題であると認識している。一方で、集落の特性に応じ、定住化または活性化のために必要とされる建築物の用途が異なることも考えられるため、平成27年9月に条例を改正して追加した区域指定型の制度においては、指定した区域内で許容する建築物の用途について、一戸建ての住宅を基本に、兼用住宅、小規模店舗及び共同住宅なども選択可能とするなど、地域の実情に応じて適用できる制度としている。 398 ◯阿部(正)委員 この質問に当たり、勉強会等で担当者から、定住化制度の効果は10年ぐらい様子を見ないとわからないというような話を聞いた。当然、地元の要望があり、行政が一方的には進められないかもしれないが、将来人口が減っていくと思われる地域は、もう少し対応の仕方があったのではないか。人口減少で働き手が減っているということは子育て世帯が減っているということであり、それらが学校の存続問題にまでつながっている。地元には学校を残してほしいという切なる願いがあるが、今でも特別支援学級の子どもが2人しか通っておらず、これから子どもをふやしていくことはかなり至難のわざであるため、こういう状況になってしまったことは非常に残念である。志賀島における定住化制度活用における具体的な取り組みについて尋ねる。 399 △住宅都市局長 志賀島における新たな制度の活用による定住化の取り組みについては、平成26年10月の既存住宅賃貸化制度の創設の後、26年度末に志賀島振興協議会と共働により空き家調査を実施し、現在は協議会において、調査結果をもとに制度を活用した定住化の検討が行われている。また、平成27年9月に条例を改正した新たな制度について、複数の自治会が参加した勉強会が開催されているところであり、本市としても、地域の取り組みに対する支援を行っている。 400 ◯阿部(正)委員 定住化、移住化支援に積極的に取り組んでいる徳島県神山町の例を紹介する。神山町は徳島市内から車で約1時間、世帯数約2,500戸、人口約5,900人の農林業を主な産業とする山合いの町である。神山町が注目されている主な理由は、平成23年に、町が始まって以来、初の人口転出数を転入数が上回るという社会増を実現したことにあり、移住者への支援などのプロセスが、俄然注目を浴びることになったものである。最盛期には約2万人近くいた神山町の人口も、林業が衰退し、日本中の中山間地と同じく、若者の町離れや住民の高齢化など、さまざまな課題を抱える過疎の町であったが、おおよそ20年をかけてグラフィックデザイナー、ウェブデザイナー、映像作家など、いわゆるクリエイターと呼ばれる方々を中心に、さまざまな人々が住みつく、または集まる町へと変貌を遂げていった。その中心となるのが、NPO法人グリーンバレーという、主に神山町のまちづくりを担う、ほとんどが地元出身の集団である。一言で言えば、町内の空き家を活用し、起業を希望する方、オフィスを構えたい方、移住したい方とのマッチングなどで、移住を全面的に支援するものであり、これまで85世帯、145人が移住している。NPO法人グリーンバレーの受け入れの特徴は、来る者拒まず、去る者追わずという全くの自然体であり、移住を勧めるようなことは全く言わないが、それでも人が集まってくる状況をつくり上げていることである。一方で、目的もしっかり持っており、子どもがいる家族が移住すれば、学校が存続できるということから、毎年5世帯、夫婦、子ども2人の4人家族で20人を受け入れる目標を掲げて活動している。このNPO法人のコンセプトは創造的過疎である。過疎化の現状を受け入れ、外部から若者やクリエイティブな人材を誘致することによって、人口構造の健全化や、多様な働き方を実現できるビジネスの場としての価値を高め、農林業だけに頼らないバランスのとれた持続可能な地域を目指すものであり、過疎化をポジティブに捉え、人や企業誘致における最大のツールとしているところにある。このNPO法人が実施する主な事業として、IT、映像、デザインなど、いわゆる働く場所を選ばない企業を誘致するサテライトオフィス事業がある。徳島県は、総務省出身の現知事が、情報通信の基盤は東京と何ら変わらないという移住化政策推進のために、県内どこでも光ファイバー網を張りめぐらした利点を生かし、現在まで12社がサテライトオフィスを設置し、約30名の新規雇用も生まれている。この事業では、東京に本社があるテレビ番組の制作会社が空き家を買い取り、リニューアルして本社のバックアップ機能を神山町に移している例もある。ここでは、約20人が勤務しており、パソコンやモニターを設置し、本社と全く同じ状況で仕事ができる環境がつくられている。また、空き家周辺のもともと畑だったところが広場になっており、徳島名物の阿波踊りの時期になると地域に開放して、地域の方と交流されていると聞いた。さらに、近くの田んぼを借りて職員みずから米をつくり、会社の厨房で働く給食調理員を地元から雇っている。これも、光ファイバー等の情報通信基盤が整備されているからこそ、できることではないかと思う。また、その他の事業として、町の将来のために必要になる働き手や起業者の誘致を行うワーク・イン・レジデンス事業、求職者支援訓練による後継人材を育成する神山塾の事業などがある。神山塾では、これまで6期77名が受講し、そのうちの約半分が神山町に移住し、サテライトオフィスに10名就職し、10組のカップルも誕生している。このほかに、カフェやパン屋、地元のオーガニック野菜を使うレストランなども移住者によって運営されている。企業誘致といえば、工業団地などの整備を想像してしまうが、神山町の取り組みは、ネット環境さえしっかりしていれば対応可能であり、まさにネット環境が整備され、豊かな自然環境に囲まれている志賀島にはぴったりのモデルではないか。しかしながら、まちづくりの中心は地元であり、地元の方々のいろいろなアイデアによって魅力を発信し、人や企業を誘致し、あくまで行政はサポート役であることは神山町でも同じであった。NPO法人の話では、定住化を行政が担当しているところは、補助金等のインセンティブにより移住希望者を取り合う状況が生まれているとのことであり、それをよしとしない、自然に人が集まるような環境、雰囲気をつくっている神山町に非常に人気が集まっているのではないか。志賀島の活性化に向けて、農林水産業に限らず、観光や企業誘致など、定住化、移住化を促進するためには、仕事の創出に取り組む必要があると考えるが、所見を伺う。 401 △貞刈副市長 志賀島においては、人口減少や高齢化の進展による活力低下により、農林水産業の振興やコミュニティの維持など、さまざまな課題を抱えていると認識している。志賀島の活性化のためには、豊かな自然環境と金印などの歴史資源、あまおうを初めとした新鮮な農水産物、都市部との近接性を生かし、農林水産業や観光などの産業振興に取り組むことが重要と考えている。そのような中、現在策定中の福岡市まち・ひと・しごと創生総合戦略において、主な事業として自然と調和した市街化調整区域のまちづくりを掲げるなど、地方創生の観点から施策を推進していくこととしている。今後も引き続き、総務企画局や住宅都市局、農林水産局を初め、地域に最も近い区役所など、関係部局が連携し、規制緩和による民間活力の導入など、地域特性を生かした地域主体の取り組みを支援していく。 402 ◯阿部(正)委員 次に、消費生活相談業務について尋ねる。昨年の決算特別委員会においても、消費生活相談業務における委託については、政令市中、本市を含むごく少数の自治体が委託という形態をとっており、消費者相談の専門家集団である県の弁護士会からは、委託はそぐわないとの意見書が出されていることなどを指摘した。さらに、ことし4月には、本市の消費生活相談業務における民間委託の事例が国会で取り上げられたが、これは、本市が民間営利企業へ委託していることに対して、消費者庁の見解を求める趣旨のものであり、あくまで一般論として、民間委託について専門性を有する民間団体のノウハウの活用などのために行われてきた例、行政改革の一環として民間委託が選択される例、価格を重視して一般競争入札により受託者が決定される例などが見受けられ、消費生活相談の質の低下が懸念されることから、消費者トラブルに直接的な利害関係がないこと、活動実績が消費者の権利の尊重及び自立の支援に資するものであること、委託を受けた者が相談等の業務を積極的に行う意思があり、かつ体制を整えているかなどを踏まえて、慎重に判断することが必要であるとの見解が示された。まず、消費生活センター相談事業経費の3年間の推移を尋ねる。 403 △市民局長 消費生活センターの相談事業経費については、24年度は3,908万円、25年度は3,851万7,000円、26年度は3,995万4,000円となっている。 404 ◯阿部(正)委員 26年度は経費が増加しているが、理由は何か。 405 △市民局長 26年度の経費が25年度に比べ増加した理由は、相談員が研修に参加するための旅費の増額や消費税率の引き上げに伴うものである。 406 ◯阿部(正)委員 本市の消費生活相談件数の3年間の推移並びに政令市における順位を尋ねる。
    407 △市民局長 消費生活相談件数については、24年度は1万4,159件、25年度は1万4,822件、26年度は1万4,951件となっている。また、政令市の中で比較すると、26年度の相談件数は、20政令市中4番目に多い状況である。 408 ◯阿部(正)委員 他政令市と比較した26年度の相談員1人当たりの相談件数の順位はどうか。 409 △市民局長 26年度の相談員1人当たりの相談件数は、大阪市に次いで2番目に多い状況である。 410 ◯阿部(正)委員 26年度においても、相談件数及び相談員1人当たりの相談件数も昨年度同様に、政令市中でも上位を占めている。この相談件数は、新規の相談件数であり、継続相談を加えれば、一体どれくらいの数になるのか。相談業務の質のさらなる向上、相談件数の増加や相談内容の多様化に対応するため、相談員の数を見直す時期に来ているのではないかと指摘しておく。ここ数年、相談件数は増加しているが、相談者の年齢層や相談内容など、どのような傾向にあるのか。 411 △市民局長 26年度の相談内容としては、年代を問わず、パソコンやスマートフォンの情報サイトなどのインターネットに関する相談が上位を占めている。また、年代別の傾向としては、20歳代ではエステティックサービスが、30歳代から60歳代では不動産貸借、フリーローン、サラ金などが上位を占めている。70歳以上ではインターネットに関する相談が前年度の2倍と急増したところである。 412 ◯阿部(正)委員 本市の消費生活相談について、市民の認知度はどのようになっているのか。 413 △市民局長 22年度の市政に関する意識調査では、消費生活センターを知っているとの回答が約80%であったが、23年度の市政アンケート調査では、約95%の方から知っているとの回答を得ている。 414 ◯阿部(正)委員 消費生活相談業務における市民向けの啓発や消費者教育は、どのような内容となっているのか。また、それらに係る3年間の経費の推移を尋ねる。 415 △市民局長 市民向け啓発や消費者教育については、インターネットトラブルや悪質商法に関する注意喚起を市政だよりや公民館だより、新聞やさまざまな情報紙などを通じて行っている。また、高齢者や知的障がい者の支援者、中学生や高校生、教員などを対象に出前講座や研修などを実施している。また、市民向け啓発や消費者教育に係る決算額については、24年度はテレビCMなどの約2,000万円を含め、3,630万3,000円、25年度は1,241万5,000円、26年度は1,038万9,000円となっている。 416 ◯阿部(正)委員 出前講座の具体的な内容並びに3年間の実施件数の推移を尋ねる。 417 △市民局長 出前講座の内容としては、悪質商法の手口や対処法の紹介をする「だまされんばい悪質商法」と家庭で起きる電化製品の事故やジュースに含まれる糖度測定などの「くらしの実験講座」を行っている。実施件数の推移については、中学生や高校生、専門学校生及び大学生を対象とした講座は、24年度が10回、25年度は9回、26年度は10回、障がい者及びその支援者の方々を対象とした講座は、24年度が4回、25年度は10回、26年度は5回である。さらに、26年度は出前講座とは別に、新たに中学生及び教員を対象にインターネットトラブル等に関する講座、研修を8回、知的障がい者の家族や就労支援施設などの職員を対象に被害事例を紹介する消費者トラブル防止講座を3回実施している。 418 ◯阿部(正)委員 高齢者や障がい者、子どもなどが大きな問題や事件に巻き込まれないよう、引き続き啓発や教育に取り組まれたい。福岡市消費者教育推進計画について、その策定目的、重点目標及び進行管理はどのようになっているのか。 419 △市民局長 福岡市消費者教育推進計画については、消費者教育の推進に関する法律に基づき、安全で安心できる消費生活の実現を目指し、本市の消費者教育を一体的かつ総合的に推進していくことを目的に、平成27年3月に策定したものである。計画の重点目標としては、さまざまな担い手による消費者教育の理解と取り組みの推進、若年者に対する消費者教育の推進、高齢者への啓発と福祉関係者等との連携による支援、小中高校における消費者教育の推進の4つを掲げている。また、関係局で構成する福岡市消費者教育推進会議を設置し、計画に基づく取り組みについて進行管理を行っているところである。 420 ◯阿部(正)委員 消費生活相談業務の委託に関する消費者庁の国会答弁では、委託に当たっては、消費者トラブルに直接的な利害関係がないこと、活動実績が消費者の権利の尊重及び自立の支援に資するものであること、委託を受けた者が相談等の業務を積極的に行う意思があり、かつ体制を整えているかなどを踏まえて、慎重に判断することが必要であるとの見解が示されている。政令市中、唯一営利企業への委託を取り入れた本市においては、どのような議論を経て方針を転換したのか。 421 △市民局長 消費生活相談業務については、消費生活センター開所以前の昭和48年度から委託により実施しているところであり、約40年にわたり、特命随意契約による業務委託を行ってきたが、当時の受託事業者のほかに、受託能力を有する団体が育ってきたことから、23年度に市民局において、価格競争による質の低下を避けるとともに、相談業務の質の向上を求める提案競技方式に契約方法の見直しを行ったものである。 422 ◯阿部(正)委員 他の政令市における消費生活相談業務の委託状況とその傾向を尋ねる。 423 △市民局長 26年度における他の政令市の委託状況については、25年度と同様に、札幌市、川崎市、神戸市、北九州市の4市が委託を行っており、横浜市1市が指定管理で業務を行っている。 424 ◯阿部(正)委員 昨年と同じく、委託に広がりがないことを見れば、各政令市とも課題や懸念も多い委託に慎重になっているのではないかと推察する。ことし3月に公表された地方消費者行政ガイドラインの策定の趣旨を尋ねる。 425 △市民局長 改正消費者安全法の実施に係る地方消費者行政ガイドラインについては、平成26年6月の消費者安全法の改正を踏まえ、地方消費者行政のさらなる充実強化を実現することを目的に、国において、今後の地域における取り組みの方向性をまとめ、策定されたものである。 426 ◯阿部(正)委員 ガイドラインの中の委託に当たっての留意事項として、委託先の選定後に理由を公表することや適切なモニタリングをすることとあるが、本市はどのような対応をしているのか。 427 △市民局長 委託先の選定理由の公表については、平成27年3月に国において策定されたガイドラインにおいて、民間委託の際の留意点として、委託先の選定後にその理由を公表すべきと示されており、今後適切に対応していく。また、モニタリングについては、25年度の委託開始時から、管理運営体制や行政サービス向上への取り組み状況などについて実施している。 428 ◯阿部(正)委員 他の政令市で委託が進まない中にあり、本市は特に民間営利企業への委託を選択し、3年目を迎えている。モニタリングの徹底は当然だが、県弁護士会等から相談業務の委託はそぐわない等の意見がある中で、ガイドラインに沿って選定後の理由を公表するなど、説明責任を果たすよう要望しておく。相談員の研修について、国民生活センターが実施する研修は市民生活に直結することから、その重要性を指摘し、受講拡大を要望したところであるが、研修の重要性の認識とあわせて研修参加状況の推移を尋ねる。 429 △市民局長 国民生活センターが開催する研修への参加状況については、消費生活相談員9名のうち、25年度は4名、26年度は6名が参加し、27年度については7名が参加予定となっている。今後とも、研修への参加など、資質向上の措置が十分に図られるよう努めていく。 430 ◯阿部(正)委員 市民の暮らしに直結している市民相談の専門家である消費生活相談員の専門知識を向上させる手段として、研修は大変重要であると考える。24年度まで受託をしていたNPO法人コンシューマー福岡の時代は、相談員全員が研修を受講できていたと聞くが、25年度から受講者数が4名まで減らされている。本市が予算措置をすればよいだけであり、まずは全員が受講できるように早急に体制を整えてもらいたい。また、相談員1人当たりの新規相談件数は1,600件を優に超えており、これに継続相談が加われば、どれくらいの相談件数になるのか見当もつかない。昨年に引き続き、相談員1人当たりの相談件数が政令市中、大阪市に次いで2番目に多い状況に変わりがないことから、相談業務の質をさらに向上させるためにも、国民生活センターが主催する研修への相談員の全員参加はもちろんのこと、相談件数の増加と相談内容の多様化への対応等、相談体制のさらなる充実のため、相談員の増員を求めておく。 Copyright (c) FUKUOKA CITY, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...